今泉デレラ

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やる気のない御堂筋 翔 @0pb3254810c176w

ボク「医者を、早く。助けなきゃ、俺、人からこんなに血が出てるの見たことねぇよ。何かしないと、コイツ死んじまうって。ぐるぐると混乱する頭の中で考えながら、足を動かそうとしますが、まるで床に釘で打たれたように動きません。サカミチも彼と同じようでした。」

2014-02-22 23:47:44
やる気のない御堂筋 翔 @0pb3254810c176w

ボク「バキリ、と。今泉デレラの指輪が割れる音が部屋に響きました。…その割れ目から煙りのようなものが空中を渦巻きます。それは、あの金髪の女の髪を思わせました。散り散りになっていく煙りをぼんやりと目で負っていると、鳴子が動き、御堂筋のもとに走りました。」

2014-02-22 23:54:22
やる気のない御堂筋 翔 @0pb3254810c176w

ボク「必死で鳴子は御堂筋に呼びかけますが、彼は床に伏したまま、ピクリとも動きません。…これは御堂筋が今泉デレラに会ったら…死ぬ魔法がかけられとったんや。しばらくしてから、悔し気にそう呟く鳴子の肩は、震えていました。」

2014-02-23 00:00:24
やる気のない御堂筋 翔 @0pb3254810c176w

ボク「…それから、今泉デレラは御堂筋から血を洗い流し、綺麗な服を着せました。そして、その御堂筋を使われていない部屋のベッドに寝かせます。鳴子はそんな事をして何になると言いましたが、今泉デレラにはどうしても眠ったような御堂筋を土に埋める事など到底できなかったのです」

2014-02-23 00:07:49
やる気のない御堂筋 翔 @0pb3254810c176w

ボク「今泉デレラにとって、御堂筋はただの召使いではなく、初めて自分と対等に話してくれた人間でした。…今泉デレラは毎日御堂筋の様子を見にいきますが、不思議と彼の亡骸は朽ち果てる事はありません。顔色はよく、今にも起き出しそうです」

2014-02-23 00:15:32
やる気のない御堂筋 翔 @0pb3254810c176w

ボク「今泉デレラは、昔病気で寝込んでいた母親に、庭の綺麗な花をつんで渡すととても喜ばれたことを思い出しました。サカミチと話すついでに花屋に向かったり、鳴子と散歩をする途中に花をつんだり。外に出るたびに持ち帰る花々は、眠る御堂筋の部屋に飾ります。」

2014-02-23 00:22:32
やる気のない御堂筋 翔 @0pb3254810c176w

ボク「色とりどりの花を持ち帰る事をどれほど続けたでしょうか。今泉デレラがもうすっかり大人になった頃には、部屋にはもう収まりきらない程になっていて、家の外にまで花々が溢れるようになりました。」

2014-02-23 00:29:37
やる気のない御堂筋 翔 @0pb3254810c176w

ボク「花は飽きちまったかな。ベッドに座り、今泉デレラは御堂筋に話しかけました。遠くで鐘の音が聞こえ、さぁさぁと窓から風が吹き込みます。花びらたちが舞い、御堂筋の頬をかすめていきました。今泉デレラは髪に絡まった花びらを取りながら、今度は別のもん持ってくるよ。と部屋を後にします」

2014-02-23 00:37:56
やる気のない御堂筋 翔 @0pb3254810c176w

ボク「…ある日、今泉デレラは誰かに激しく体を揺すぶられて目を覚ましました。誰だよ!と朝一のかすれた声でそう叫び、半身を起こして顔をあげると、そこには御堂筋が、立っていました。」

2014-02-23 00:48:57
やる気のない御堂筋 翔 @0pb3254810c176w

ボク「…目をこすれど、頬をつねれど、そこには冷たくなってしまったはずの御堂筋が自分を見下ろしていました。…ボク、花の匂い嫌いなんよね。どうにかしてやこれ。そう言ってべろりと長い舌を出す御堂筋はどう見ても生きていて、今泉デレラは顔をくしゃくしゃにして笑いました」

2014-02-23 00:53:13
やる気のない御堂筋 翔 @0pb3254810c176w

ボク「よし今日はここまで」今泉君「っあーーーーーーーーーーーーーーーーーー御堂筋それ絶対あげて落とすだろ!!あげて落とすだろ!!!!!」ボク「ソンナコトナイデ」巻島君「こんなにいやなカタコト聞いたことないッショおおぉ」

2014-02-23 00:57:14
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