【第一部-拾参】誰かを見つめる時雨とサービス券 #見つめる時雨

夕立×時雨 夕立×村雨
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夕立視点

とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「サービス券?」 白露がケーキと紅茶の写真がプリントされた紙を二枚くれた。…新規開店記念? 「そう!今日街でオープンした喫茶店に行ってみたの!多分、この鎮守府では白露達が一番に行ったよー!」 昼に村雨と二人で出掛けたと思ったら、そこに行ってたっぽい?いいなぁ

2014-02-08 19:30:24
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「でね、この券を見せると、ケーキをひとつサービスしてくれるんだって!」 券にプリントされたケーキを見つめる。赤いソースがかかったレアチーズケーキ、これ美味しそう…。 「ふたりは何を食べたの?」 「私はチョコケーキ、村雨はベイクドチーズだよ」

2014-02-08 19:35:25
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「美味しかった?」 「ええ。あと紅茶も美味しかったわ。ちょうど二枚あるし、時雨を誘ってみたら?」 村雨がウインクをしながら言う。時雨…。一緒に行けたらいいな…。でも、夕立と一緒に行ってくれるかな…。

2014-02-08 19:40:26
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「もうすぐ二人ともオフでしょ?ほら、誘いに行って来なさい!」 村雨に背中を押される。で、でも…。 「ちょっと喫茶に行くだけだって。あんまりうじうじしてると春雨に笑われるわよ?時雨も結構甘いの好きだし、ノってくれるって」

2014-02-08 19:45:34
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…村雨はそう言ってくれるけど、時雨は受け取ってくれるかな。夕立と二人で行くの、嫌じゃないかな…。考えれば考えるほど、不安になってくるっぽい…。…そんな風に考えていたとき、村雨が夕立の頭に手を置いて、撫でてくれた。 「…大丈夫だよ、夕立は可愛いから。きっと、喜んでくれるよ」

2014-02-08 19:50:27
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

優しい手つき。ちょっとずつ不安がほぐされていく気がする。…何だか、少し安心してきたっぽい…。 「…うん、頑張ってみる」 村雨が親指を立てて、とびきりの笑顔をくれた。白露は頭に「?」を浮かべてる。 「誘うなら普通に誘えばいいんじゃないの?」

2014-02-08 19:55:34
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「あいた!?」 村雨が白露の頭を叩いた。白露は「何で!?」と言いたそうな顔になってた。夕立、つい笑っちゃった。 「白露は鈍すぎるのよ!そんなんだからファーストキスもまだなのよ!」 「え…えー!?どういうこと!?というか、なんで知ってるの!?」

2014-02-08 20:01:02
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

ファーストキス…。夕立もまだしたことない。どんな風なんだろう。レモンの味って聞くけれど、本当にそうなのかな。…時雨はどうなんだろう?したことあるのかな。…わからない。でも、まだだったらちょっと嬉しいっぽい。夕立と一緒…。夕立の初めては……がいいな……。

2014-02-08 20:05:29
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…? 村雨?」 村雨が背中に抱きついてきた。どうしたんだろう? 「…ごめん、なんでもない!頑張ってね」 「…うん!ありがとう、村雨!」

2014-02-08 20:10:21

時雨視点

誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「え、これくれるの?ありがとう」 ケーキと紅茶の絵が書かれた紙を貰った。サービス券と書かれたそれは、最近、新規開店した喫茶店のものらしい。ケーキをひとつサービスしてくれるのか。へぇ、美味しそう。今度オフだし、折角だから行ってみようかな。 「あれ?これ、二枚あるけど…」

2014-02-08 21:30:10
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「五月雨ちゃんと二人で行ったら二枚貰えたのよ。両方あげるわ。ねね、どうせなら誰か誘ってみたら?」 そういうことか…夕張、気を使ってくれてるんだね。ちょっと照れくさいけど、気持ちは嬉しい。 「…ありがとう、夕張。頑張ってみるよ」 夕張がにっこりと笑う。

2014-02-08 21:35:11
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

券を手に持ち廊下を歩く。窓に目をやると雪がちらついていた。…また冷え込みそうだ。券にプリントされた温かそうな紅茶に目がもっていかれる。山城、一緒に行ってくれるかな…?確か山城も同じタイミングでオフだったはず。

2014-02-08 21:40:11
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

喫茶店に入ったらカウンターがいいかな。それともボックス席がいいかな。やっぱり向かい合わせだと恥ずかしいから、カウンターがいいかな…。でも山城の隣っていうのも、それはそれでドキドキしてしまいそう…って何考えてるんだ、僕…。まだ承諾すらしてもらってないのに…

2014-02-08 21:45:10
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「あ…」 部屋の扉が開き、羽織を羽織った山城が出てきた。窓に視線を向けて、外を眺めている。寒そう、なんて思ってるのかな。…そして少しして、山城がこちらに体を向けた。あれ、こっち来る…!? 「…あら、時雨。こんにちは」 「う、うん。こんにちは、山城。また寒くなりそうだね」

2014-02-08 21:50:10
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「そうね。こんな日は部屋でゆっくりするのがいいわね」 しまった。今からではないとはいえ、外出に誘おうとしてるというのに…。で、でも何とか… 「そうだね。あと、こんな日は、温かい紅茶とケーキとかいいと思わない?」 山城が少しキョトンとした顔になる。

2014-02-08 21:55:10
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「そうね…温かいものが欲しいかしら」 我ながらかなり強引な流れだ…。でも、とりあえずわたす流れにもっていきたかった。 「ここ、最近開店したんだって」 山城が益々目を丸くした。券をまじまじと見つめている。 「どうかな、一緒に…」

2014-02-08 22:00:22
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「あら、どうかしたの?」 そのとき、扶桑が部屋から出てきた。僕と山城を交互に見た後、山城が手に持っているものに興味を示した。あ…。 「あ、姉様。時雨から貰ったの。最近開店したんですって」 「あら、美味しそう…」

2014-02-08 22:05:09
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「…よかったらそれ使ってよ。ちょうど二枚あるし」 扶桑と山城の、二人分。…扶桑がいる前で山城を誘う勇気なんてなかった。それに…この方がいいよね…。 「…そうね。ありがとう、時雨」 山城が言う。うん、山城のその言葉が聞けただけで嬉しいや。…ごめん、夕張。

2014-02-08 22:10:10
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「で、いつにする?そういえばオフが近いわね。そのときにする?」 いいさ、機会はこれっきりってわけじゃないんだ。また今度、誘おう。 「…ちょっと、聞いてる?時雨」 ああ…でもやっぱり残念だな…。幸運艦って名ばかりでしょうがないよ…。 「時雨ってば」

2014-02-08 22:15:10
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「えいっ」 「うわぁ!?」 突然頬に冷たいものが触れた。ってこれ、山城の手…!? 「話を聞きなさいよ。いつ空いてるの?」 「え、何が…?」 「もー!」 山城がご立腹。ど、どういうこと…?

2014-02-08 22:20:11
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「私を誘ってくれたんでしょ?これ」 山城が券を僕の目の前に持ってくる。え、でもそれ…。 「いつ行く?」 「…え、行くって、僕と…?」 「私はそのつもりで聞いてるんだけど、違うの?」 ほ、本当に…僕といっしょに行ってくれるの?ど、どうしよう…嬉しい…

2014-02-08 22:25:09