【第一部-拾玖】時雨を見つめる夕立 #見つめる時雨

夕立×時雨
11
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

僕に出撃命令が出たよ。カレー洋の制圧作戦だって。油断は禁物だけど、金剛たちが一緒だからそれほど不安はないかな。ちょっと、行ってくるね

2014-02-23 17:35:48

夕立視点

とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

いつもの部屋。いつもの夕立と時雨の部屋。あの時から何も変わらない部屋。夕立がこの鎮守府に来てから何も変わらない部屋。時雨と一緒になってから、何も変わらない部屋。でも、今日はいつもと違って見える。不思議。…そっか。時雨がいないからだ。…時雨はまだ帰ってこない。遅いな…。

2014-02-23 22:00:26
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

今日、出撃する前に時雨と約束した。お話がしたいことがあるから、待ってるって。でも、思ったより作戦が難航してるっぽい? 夕立も一緒に連れてってもらえば良かったかな…。 「…時雨」 思い返してみれば、この鎮守府に来てから、時雨とはずっと一緒だったっぽい。

2014-02-23 22:05:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

時雨と一緒に鎮守府に来て、時雨と一緒に演習を重ねて、時雨と一緒に第一艦隊へ転属になった。あの戦争では一緒にいたことは殆どなかったけど、ここにきてからずっと一緒。出撃も、いつも一緒。でも今日は違った。いつもと違うって、こんなに不安なんだ…。 「…ぽい…」

2014-02-23 22:10:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

そうだ。時雨が帰って来た時の為に準備をしておこう。時雨、帰ってきたらまずご飯かな。きっとお腹空いてる。でも、それなら夕立が出来る事はないっぽい…。お風呂の準備しておくといいっぽい?海水で濡れてたら、真っ先にお風呂に入りたいって思うかも。バスタオルとか準備してあげると喜ぶかな

2014-02-23 22:15:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…もし怪我とかしてたらどうしよう。今のところはそういう連絡はないっぽい…。けど、もし連絡もできないほどの状態になっちゃってたら…? …でも、金剛さん達も一緒だし、そんなことにはならないよね…。…どうしよう、考えれば考えるほど不安になってくるっぽい…。

2014-02-23 22:20:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「第一艦隊が帰投しました」 寮内のスピーカーから扶桑さんの声が聞こえた。時雨達が帰ってきたっぽい! 良かった…。すぐにでも迎えに行きたいけれど、艦隊は提督さんへの報告がある。それが終わってからの方がいいっぽい。そうだ、提督室の前で待ってよう。出てきたら、一番に会えるよね

2014-02-23 22:25:30
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

提督室まで走ってくると、部屋から金剛さん達が出てくるのが見えた。もう報告は終わったっぽい。…あっ! 「時雨ー!」 「夕立! どうしたの、そんなに息切らして…」 乱れていた息を深呼吸で整える。ふう…落ち着いたっぽい。 「…おかえり、時雨!」

2014-02-23 22:30:25
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

ふたりで並んで廊下を歩く。今回の出撃で時雨は無傷だった。さすが幸運艦!っぽい! 「そういえば夕立、話って?」 「あ…えっと…時雨は、お風呂とかいいの?」 「うーん…話って長くなりそう? だったら先に入ろうかな」 「うん!それがいいっぽい!バスタオル取ってくる!」

2014-02-23 22:35:20
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

部屋に駆け込んで箪笥から時雨のバスタオルを引っぱり出す。あ…お風呂ってことは、下着とかも必要っぽい…? えっと…どうしよう…。 「もう、夕立ってば…急に走りだして…」 時雨も部屋に入ってきた。走ってきたのか、息が荒くしてる。 「時雨…えっと、パンツ…」 「は…えっ!?」

2014-02-23 22:40:23
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「そう…僕のお風呂の準備しようとしてくれてたんだ…。でも、着替えとかまでは流石にいいかな…」 「…ぽい…」 「…そんな顔しないでよ。気を利かせてくれたんでしょ?ありがとう、夕立」 時雨に頭を撫でられた。何だか余計恥ずかしいっぽい…。 「でもどうしたの?何か夕立、変だよ」

2014-02-23 22:45:36
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…な、何でもないっぽい…」 「そう…?じゃあ、僕はお風呂に入ってくるから。話はその後でね」 時雨が部屋を出て行く。はぁ…何だかもう疲れちゃったっぽいぃ…。…確かに夕立、変。多分…この後の話のせい…。今日、夕立は、時雨にもう一度告白するつもりだから…。

2014-02-23 22:50:34
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…どうやって話を切り出せばいいんだろう。時雨が戻ってきて、座ったらすぐに言う?「時雨のことが好き」って…。でも、幾らなんでもいきなり過ぎるよね…。ああ、どうしよう…何だかどうすればいいのかわからなくなってきたっぽい…。 「うーん…と、取り敢えず顔を洗って気分転換しよう…」

2014-02-23 22:55:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

冷たい水を顔に被る。でも心のモヤモヤしたものはさっぱりしない。どうしよう…もうすぐ時雨、戻ってきちゃう…。 「はぁ…」 部屋に戻り、入口で座り込む。全然考えがまとまらないっぽい…。ただ一言伝えたいだけ、それなのに…こんなに難しい…。 「…時雨、好き…大好き…」

2014-02-23 23:00:37
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…え?」 身体が固まった。思考も。凍りついたみたいに。…たった今、傍から聞こえた声。それは、毎日聞いてる声。夕立の、同室者の声。…夕立の、好きな人の…声…。 「…夕立、それってどういう…」 時雨が、扉を開けて…入口に立っていた。

2014-02-23 23:05:33
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…部屋の真ん中で向かい合わせに座る。でも夕立、時雨の顔を見れない…。心構えも何もできてなかったのに…。時雨も雰囲気でいつもと違うことを察してるみたいで、きっと困ってるっぽい…。しばらくして…時雨が口を開いた。 「…ねぇ、夕立…さっき夕立が言った“好き”って…」

2014-02-23 23:10:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…どうしてこんな時ばっかり察しがいいっぽい…?今までずっと…ずっと気づいてもくれなかったのに…。時雨の意地悪…馬鹿…ばかぁ…。 「…夕立…?」 目から涙が溢れてきた…。ダメ…何も考えられないっぽい…。どうしよう…どうしよう…村雨… 「…無理そうなら、答えなくてもいいよ…」

2014-02-23 23:15:25
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…!ダメ、そんなの…!村雨と約束した!扶桑さんに背中押して貰った!夕立…ここで逃げちゃ…ダメ! 「時雨…!」 顔をあげる。手で乱暴に涙を拭う。時雨の困惑する瞳が、夕立を見つめてた。 「…夕立は…ゆうだちはね…」 声が…震える。

2014-02-23 23:20:20
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「夕立は…時雨のことが…好き…。時雨が…山城さんを見てるのと同じ、好き…。好きなの!」 …時雨が目をパチパチさせる。何が起こったのか、頭がついてきてないみたいだった。 「…え?夕立…」 …扶桑さん言ってた。伝わるまで、何度でも言えって。時雨に…夕立の想い、伝える…!

2014-02-23 23:25:23
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「夕立…時雨のこと、好きなの…。鎮守府に来て同じ部屋になって…時雨とはあの戦争では殆ど会えなくて、すっごい緊張してた夕立を、優しく撫でてくれたよね…。その日からずっと一緒に行動して、第一艦隊にも一緒に転属して…ずっと、ずっと一緒で…気づいたら…時雨のこと、好きで…」

2014-02-23 23:30:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

また、涙が溢れてきた。 「…夕立…時雨に怪我させちゃったこと、あったよね…。あれ…我慢できなかったの…。時雨の身体に触ってたら…我慢できなかったの…。ごめんなさい…ごめんなさい…」 時雨の目が真剣になっていた。真剣になって、夕立の話を聞いてくれていた…。

2014-02-23 23:35:32
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「でも…時雨、夕立の事…許してくれた…。噛んでもいいよって、いってくれた…。でも、あれ…辛かった…。ここまで許してくれたのに…時雨は夕立のこと、姉妹艦としてしか見てくれてなかった…。とっても、悲しかった…」 視界が再び滲んでくる。夕立は何度も、何度も涙を拭った。

2014-02-23 23:40:23
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「夕立は…夕立は…」 もう、全部勢い任せだった。まるでソロモン海戦みたい…。もう考えない…夕立、突撃するっぽい。 「時雨のこと…好き…!」 時雨の胸に、思い切り…抱きついた。

2014-02-23 23:45:32