【第一部-拾玖】時雨を見つめる夕立 #見つめる時雨

夕立×時雨
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とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…時計の音がとっても大きく聞こえる。時雨の心臓の音も…ドクン、ドクンって、大きく鳴ってる。…時雨は固まったまま。どんな顔をしてるんだろう。どんな思いで、夕立の言葉を聞いてたんだろう…。…とっても、こわいっぽい…。何か…何か言って欲しい…。時雨の声が聞きたいよ…。

2014-02-23 23:50:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「……ごめん」 …その一言に、全身が強張った。胸に衝撃が走った。何処かで覚悟はしていたかもしれない。けれど…一番聞きたくなかった言葉…。 「…僕は…山城が好き…」 全身の力が、抜けていく。涙を止める力も、全部……

2014-02-23 23:55:26
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

時雨の胸に、顔を埋める。胸の奥から込み上げてくるものを抑えられない。…なんで…なんで…。 「しぐれ…わかってるでしょ…?グスッ…山城さんは…扶桑さんのことが好きなんだよ…?時雨の好きは…届かないんだよ…なのに…どうして…」 言葉にならない言葉で、時雨に向かって言う…。

2014-02-24 00:10:23
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

時雨の手が夕立の頭を撫でる。とっても優しい感触で…とっても辛い…。 「…僕ね…この先もずっと、山城の傍にいたいんだ…。僕は、山城が好き。幸せに笑う山城が好き。でも、山城をそんな笑顔に出来るのは扶桑だけ。…僕は、ふたりの傍で…その笑顔をずっと見守っていければ、それで幸せなんだ…」

2014-02-24 00:15:28
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…時雨…ずっと片思い続けるの…?ずっと…。そんなの…辛すぎるよ…」 時雨が夕立を宥めるように、頭をぽんぽんと叩いた…。 「いいんだ、僕はこれで…」 良くない…。夕立、そんなの納得しない…。時雨がそうなら…夕立だって…。手に力を入れて…時雨を押し倒した。 「ゆ、夕立…?」

2014-02-24 00:20:24
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

困惑する時雨の顔が見えた。時雨の顔に、涙が落ちる。 「…夕立も、時雨と一緒にいる…。ずっと、ずっと一緒がいい…。一緒にいさせて…」 「え…」 倒れこんだ時雨の胸に、また顔を埋めた。もう時雨の寝間着は、ひどく濡れていた。 「…時雨…しぐれ…ぅ…ぁぁ…」 「…夕立…」

2014-02-24 00:25:27
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

時雨が…ぎゅっと、抱きしめてくれた…。 「うん…いいよ…。…ごめんね…夕立…。…ありがとう」 …ずっと、ずっと…時雨の胸で、泣いてた。温かい時雨の体温が、柔らかい感触が、優しい手が…全部、悲しい…。でも、こんなに辛いのに…ここを離れたくなかった…ずっとここにいたかった…

2014-02-24 00:30:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…夕立、もうどれだけ泣いたんだろう…。わからない…。自分が起きてるのかも、よくわからなくなってきた…。でも、時雨はずっと、夕立のこと抱きしめていてくれた…。…きっと夕立は、この温かさが…好きっぽい…。 「…しぐれ…」 「…うん…ずっと一緒に、いるから…」 時雨…。うん…――

2014-02-24 00:35:27