ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/10/25

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い短い物語です。 過去のまとめ http://togetter.com/id/laybacks
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@Aya52lily

「絶対絶対秘密だよ!」って、言っちゃてるだろ。私に。そんなこと口には出さないけどね。あーあ。きっとこういう風に私の秘密も他人にバラしてんだろうな。相槌打つ気にもならないわ。氷のとけたグラス。飲みかけのアイスコーヒー。ストローでグルグル。早くおわれ嫌な時間。 #twnovel

2010-10-25 00:09:33
@marknovel

ここは僕の秘密基地。真っ暗な押入れの奥。ミニライトを持ち込んで引き蘢る。親にも分らない様に隠れていた。「お〜い、純、どこだ。」お父さんは諦めたらしい。暫くして外でけたたましいサイレンと人の泣き叫ぶ声。外の様子がおかしいので僕は震えながら自分に偵察の指示を出した。 #twnovel

2010-10-25 00:31:03
ささめっぽいきりこ@鈍色スイッチ @kiricoil

星に街が降った。普通逆だと思われるかもしれないが本当なので仕方がない。星に街が降った。町の住人の反応は様々で、絶望するもの騒ぎ出すものが色々。僕は佇んで君とふたり。喧騒の中で空を見上げて、うんそうだ、あれがいいなんて指をさし、次に落ちる先の星を見極めてみていた。 #twnovel

2010-10-25 01:41:31
layback @laybacks

お風呂上がりにバスタオルも巻かずに脱衣所を出ると猫のラスカルが座り込んでいた。私の裸を目にした途端、怯えたように後ずさり、吐いた。おい。なぜ吐く。彼氏に電話で愚痴る。「動物から見ると毛皮に覆われてない生肌の人間は気持ち悪いらしいよ。僕は好きだけど。君の裸」ふん。 #twnovel

2010-10-25 01:49:02
@tohmei

観覧車から見える夕景に見とれるふりをして、君の横顔を見つめる。何を考えているのだろう。何も考えていないのかもしれない。天辺でキスをすれば幸せになれるという噂もきっと知らない。いつもどおりぼんやりとしている。君はぼんやりと私を見て「あ、未来の嫁さんだ」と呟いた。 #twnovel

2010-10-25 02:05:31
hizmi @donkideouda

#twnovel 「好きです。付き合って下さい」「あなたと?冗談じゃない」「どうしても駄目ですか」「そうね、今度生まれ変わったら考えるわ」鼻で笑い、去ってゆく彼女の背に大きくため息をつく。また前世と同じ台詞でフラれた。

2010-10-25 02:29:44
浅葉積木 @tsumiki_a

母の誕生日を忘れていた父をなじった。父は目を逸らしながら返事をした。「母さんの誕生日は、銀の水の月の43日なんだ…」 …。2人が出会ったときの“設定”を継続していたら、本当の誕生日を忘れてしまったらしい。両親の互いの呼び方が本名とはかけ離れていた理由がわかった。 #twnovel

2010-10-25 07:03:18
おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 浜辺に打ち上げられた無数の石ころは、トマトぐらいの大きさしかないのに、どれもうずくまる人間の形に見えた。だから、毎年夏になると、海の家ではその石ころを一個500円でお土産品として売っていた。それらはある日一斉に孵化するのだが、一万年後の話なので、誰も見られない。

2010-10-25 07:08:27
泥辺五郎 @dorobe56u

#twnovel 右の眼球を売った金で購入した義眼が届いた。眼帯ともお別れだ。擬人屋で一目見た瞬間から何もかも投げ捨てても欲しくなった。翡翠を通したその目で世界を見てみたいと思った。そのためには今ある眼球が邪魔だったのだ。眼窩にはめて右目だけを開ける。鏡には義眼しか映っていない。

2010-10-25 07:26:33
たくわん @takuwan_takusan

ドイツ人の彼が日本食をお箸で食べてくれるのが嬉しかった。ドイツスタイルのビアホールに行った時、同じ気持ちを味わってもらおうと思った。私はプロストという挨拶でビールを一口飲み、グラスを床に叩きつけた。グラスが割れなかったせいか、彼は苦笑いをしながらダンケと言った。 #twnovel

2010-10-25 09:28:01
みゃあ @myahuu

「おお、久々の青空だ!」「我々は助かったぞ」数日ぶりに見えた空に人々は歓喜の声を上げた。地球の海で生まれた宇宙クジラが、その身を呈して地球を口に含み、生命と引き換えに彗星との衝突から地球を守ったことは誰も知らなかった。 #twnovel

2010-10-25 11:38:55
@kyokuhi2

#twnovel 当たりつき自販機でジュースを買ったらルーレットが回った後、プッシュボタンが赤く光った。当たったのだと思い何の疑いもなく二本目をGET。しかしさらにボタンは光る。「また当たったのか!」と浮かれて三本目をGETしたところ、そばにいた友人が言った。「千円札入れたよね」

2010-10-25 12:58:04
ジュン @jun50r

#twnovel 「辛い」「死ぬほど辛い」毎日苦悩をつぶやく男がいた。しかし誰も、その男のつぶやきを深刻に受け止める者はいなかった。Twitterは冷たい人間の集まりだ。男は今日も、一人涙するのであった。男の自己紹介にはこうあった。在日インド人。カレー店経営。

2010-10-25 16:15:31
@wakegiorino

#twnovel 俺のアイデンティティはなんだろう、と考え始めたら、不安でいても立ってもいられなくなった。妻に「俺のアイデンティティって何かな」と聞いたら「盆栽じゃないの」と言われて安心したが「それは趣味ではないのか」と「そもそも凡才と言われたのではないか」の不安で夜も眠れない。

2010-10-25 17:05:24
layback @laybacks

私の小説の最初の読者は母でした。私が小さな手を鉛筆で真っ黒にしながら書き上げるおかしなお話を母はいつも面白いと言って褒めてくれました。それはけっして子供向けのおべっかではなくて、本好きな一人の大人としての真摯な感想だったと思います。妄想受賞挨拶。私に母はいない。 #twnovel

2010-10-25 18:03:12
nohironogi on earth @nohironogi

#twnovel 子供たちの声が近づいてきた。妻が、いそいそとお菓子を用意した。小さな拳で扉を叩く音。「とりっく、おあ、とりーと!」「はいはい」と扉を開くと、かぼちゃ頭の小人たち。「えーと……十一人ね」「違うよ、十人だよ」「え? ひいふう……十一人よ」「あ、本物のジャックがいる」

2010-10-25 18:28:40
ひらばるまなぶ(平原学)@もの書き @chocolatesity

#twnovel A介に「俺と付き合ってくれ」と告白される夢を見た。正夢だといいな。すると、体育の授業中。突然後ろから聞こえたA介の声に振り向くと、竹刀が私の頭を襲う。慌てて自分の竹刀で庇う私に、彼は闘志を漲らせて言った。「俺と突き合ってくれ!」…やだ、何か違う!

2010-10-25 19:31:48
未知数 @31Harmony

#twnovel 寝言に返事をしてはいけない。聞いたことはないだろうか。返事をすると、相手が目を覚まさないだとか、死が訪れるだとか、とりあえず不幸な目に遭うらしい。だから私は、いまこうして、寝息を立てて眠っている彼のそばで息を殺して待っている。彼が寝言を言うのを。闇の中で。

2010-10-25 22:19:12
激走くじゃわさん🍀 @Qjawa_san

タイムマシンの開発に成功した孤独な老科学者は云った「若いころの自分に会って話してくる。こんな研究にばかり時間を費やしても虚しいだけだと」博士がスイッチを押すと研究所内は眩い光に包まれた。設計図や研究資料は煙のように消え去り、後には幸福そうな老夫婦だけが残った。 #twnovel

2010-10-25 23:19:48