【右脳左脳について質疑応答】hogefoobar & vikingjpn

言語野(左脳)と左右対称に位置する右脳の部位にはどんな機能があるのか,について現役の神経科学者に聞いてみた
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hogefoobar @hogefoobar

@vikingjpn 言語野(ウェルニッケ野やブローカ野など)の(左右)対称(反対)側は健常なヒトでは普段どのような機能を果たしていると考えられているのでしょうか?ぶしつけなつぶやきですみません.togetter→貴ブログ→Terms→機能局在 という経緯でたどり着いた次第です

2010-10-26 15:45:11
@vikingjpn

@hogefoobar 右半球ということでしょうか?対応する部位はブローカ野なら右下前頭回で、受動的注意や行動抑制(青信号の交差点が続いている時に車で走っていてに赤信号を見たらピタッと止まるなど)に関連すると報告されています。

2010-10-26 15:49:30
@vikingjpn

@hogefoobar ウェルニッケ野に対応する右半球の部位は右上側頭回(の後部)で、通常なら聴覚に関連します。また解剖学的位置には体性感覚(触覚)と空間位置情報とを統合するとされている縁上回に近いので、その機能にも関連する可能性があると思います。

2010-10-26 15:53:52
@vikingjpn

@hogefoobar あくまでも比較の問題ですが、右半球における「ブローカ野の左右対称部位」(下前頭回)の研究は割と盛んである一方で、「ウェルニッケ野の左右対称部位」(上側頭回)の研究はあまり多くない印象です。こんなところでいかがでしょうか。

2010-10-26 15:54:53
hogefoobar @hogefoobar

@vikingjpn ご丁寧に教えて下さってありがとうございます!マーケティングやコンサル分野などで商業的に利用されているハーマンモデルを現在の科学的国際的な共通見解を示して論破したいとの想いがあり質問いたしました.右脳の具体的な機能と部位と専門用語を知ることができてうれしいです

2010-10-26 17:02:20
hogefoobar @hogefoobar

@vikingjpn これを教えてもらった私としては,劣位半球の上側頭回(の後部)と下前頭回は,意識可能な表象操作の一形態として「"言語を使わない"表象操作」(おおざっぱな表現ですみません)のような特徴/機能を持っているのでは?と予想(または期待)してしまいます.面白いですね

2010-10-26 17:03:21
@vikingjpn

@hogefoobar ハーマンモデルとは http://www.herrmann.co.jp/01.html これのことですね。俗に言う右脳左脳論であり、これを反証する研究結果ならザッとPubMedで調べた範囲でも山ほど出てきます。実際にfMRIの生データを見ても同様です。

2010-10-26 17:11:11
@vikingjpn

@hogefoobar それから、過去の神経心理学研究からは左半球が言語半球になる割合は右利きで96%、左利きで70%ぐらいと報告されていて、実は左右逆になる人がそれぞれ4%、30%いると推測されています。というわけで、「右利き」に限定して議論するケースが多いようです。

2010-10-26 17:14:04
@vikingjpn

@hogefoobar ちなみに「○○野が××機能に関連している」というfMRI研究のデータを見てみると、たとえ論文に載っているものであっても結構○○野以外の場所が活動しているケースが多いです。最終的に「○○野が重要」という結論を確定させるには最低50件ぐらいの研究が必要ですね。

2010-10-26 17:16:23
@vikingjpn

@hogefoobar 個人的には、そのハーマンモデルなるものはそこまで証拠が積み重ねられる前に作られたものではないかと推測されるので、本気でこれをマーケティングに生かそうというのならまず初めに証拠の積み直しからやった方が良いのではないかと個人的には思います。

2010-10-26 17:17:24
@vikingjpn

@hogefoobar その意味で、仰るような「非言語的表象操作」の件も、実は似たような機能に関連するとおぼしき脳部位はかなりたくさん報告されている(しかも左右半球を問わず)ということで、実は憶測の域を出なかったりするのです。現場の感覚としてはこんな感じですね。

2010-10-26 17:18:28
@vikingjpn

何か最近「ニューロマーケティング」話題絡みで頻繁に右脳左脳論を見かけるなぁ、と思ったら http://www.herrmann.co.jp/01.html マーケ業界にはこんな主張があるんだそうです。しかも30年ぐらい前に。30年前ってfMRIどころかPETも怪しい気が。。。

2010-10-26 17:22:10
@vikingjpn

にしても、これをレーダーチャートにかけて人格(個性)評価を行うとなると「脳」に関連させる必要はないですね。 http://www.herrmann.co.jp/01.html あくまでも質問紙調査に反映される人格傾向がわかるというお話に留まるはず。

2010-10-26 17:26:19
hogefoobar @hogefoobar

@vikingjpn 右脳の当該部分の研究は研究目的の設定(仮説の内容)の性質上エビデンスを得にくいのか,左脳の言語野の研究に比べるとまだ蓄積というか成果は少ないということですねー.本当に丁寧なご回答を頂き恐縮です.現場の方に日本語で質問できるのは幸せです.ありがとうございます

2010-10-26 17:33:55
hogefoobar @hogefoobar

環境(排出権取引)バブルが起き,その次に来るのは"エセ脳科学バブル"だと思う.既に起きている感はあるがマーケティング,プロモーションのビジネス領域で,エセ脳科学を根拠として信用創造がなされ経済バブルが起こる.情報爆発社会での新しいバブルは物理的実体を必要としないところに怖さがある

2010-10-26 17:51:17
@vikingjpn

@hogefoobar 言語という機能があまりにも明確で、エビデンスの差別化が図りやすいというのも一因ですね。それ以外の大抵の機能は互いに複雑に絡み合いますから、エビデンスとしては入り組んだものになる、ということだと思います。また何かおありでしたらお気軽にご質問下さい。

2010-10-26 18:15:35
hogefoobar @hogefoobar

右脳への過大な評価/期待は幻想である.科学的な反証が学術研究によってなされていることは情報化社会の市民のリテラシとして知るべきだと思う.「不安マーケティング」や「全能感刺激マーケティング」の誘惑に負けないように,自分の感情のコントロールの能力を日々涵養する意識を持ち続けるべし

2010-10-26 18:16:48