イツカさんのセルライベル（ピアノ演奏家）

イツカ @5tht5

ベルトルトが反応しない時に思いつきのように思わず「マルセル」って呼んだらベルトルトが返事をするんだよ。まるでマルセルみたいに。ベルトルトもマルセルと同じでもう壊れてたんだよね。これ以上、マルセルとベルトルトを一緒には出来ないってライナーがベルトルトとマルセルを引き離そうとするけど

イツカ @5tht5

ベルトルトにとってピアノを弾く事は贖罪であるし、マルセルにとってベルトルトは自分の人生のようなものだから中々引き離せなくて、でもマルセルとベルトルトの関係がどうもおかしいって気付いてたユミルが一ヶ月くらいベルトルトを留学先の国へと呼び寄せるんだよ。留学前に交流をしようって。

イツカ @5tht5

ライナーもそれにほっとするんだけど、明日国を発つって夜に家に泊めていた筈のベルトルトがいないんだ。あれから見張るようにずっと一緒にいたけどこんな事初めてで、急いでマルセルの家(かつてピアノ教室をしていた家)に行くとそこにマルセルとベルトルトがいるんだよね。

イツカ @5tht5

人影のうちひとつは床に寝転がっていて、もうひとつの人影が寝転がっている人物に馬乗りになってて、恐る恐る名前を呼ぶと馬乗りになってる方が振り返るんだよ。カーテンの隙間から車のヘッドライトが差し込んで、一瞬だけ部屋が明るくなるんだ。そしたら見えたんだよね、血まみれのマルセルが

イツカ @5tht5

転がってるのはもちろんベルトルトで、辺りは血の海で、マルセルが笑って言うんだよ。「これは俺とベルトルトの問題で、お前は部外者だ」って。でもライナーは「違うんだ」って言うんだ。その場に座り込んで、頭抱えて、「違うんだ」って繰り返すんだよ。

イツカ @5tht5

「あの時、わざと投げたんだ。わざと、ベルトルトが取れない様に車道の方に投げた。だってベルトルトはいっつもお前ばっかり見てて、悔しくて、だから、こっち見て欲しくて、わざとベルトルトが取れない様にって・・・でもまさか、あんな事になるなんて、分かる筈もねーだろ、まだ、俺は子供で！」

イツカ @5tht5

自分が故意に投げたボールがマルセルの人生もベルトルトの人生も大きく歪めるなんて知らなかったんだよ・・・まだ子供だったんだよ、でもそれが悪な方向へと転がるきっかけになっちゃったんだよ・・・皮肉だよ・・・誰も悪くないんだよ～

イツカ @5tht5

すぐに救急車が来てベルトルトは一命を取り留めたし、大きな騒ぎにはならなかったんだけどベルトルトは意識が中々戻らなくて、ようやく戻ったと思ったら幼児退行してるんだよね。あの大きな事故が起こる前に戻ってしまって自分の事をまだ11歳の子供だと思い込んだままなんだ。

イツカ @5tht5

ライナーは毎日毎日お見舞いに行くし、ベルトルトの為に画用紙とか色鉛筆持っていくんだけどベルトルトどうしてだか絵は描こうとしないんだよ。ただ昔みたいにボールで遊んだり、お花を摘んだり、そんなことばっかりして過ごしてて、ある時ライナーが病室を離れた隙に病室にビニール袋が下げられてるの

イツカ @5tht5

中には画用紙と色鉛筆が一本入ってて、ベルトルトが「マルセルに似たお兄ちゃんがいつも持ってきてくれるの」って笑うんだ。それから毎日ベルトルトの病室に二本ずつ色鉛筆が増えていくんだ。マルセルとライナーからの。それに興味を示しつつも絵を描こうとしないベルトルトにライナーは約束するんだよ

イツカ @5tht5

「お前が全部思い出したらきっと俺を嫌いになるだろう。けれど嫌われたとしても俺はお前の側にいたい。もし罪を償う方法があるとすれば、それはお前の側にいる事だと信じたい。ずっと罪から逃げてきた。でももう逃げない。だからもう一度だけでいい、チャンスをくれないか。俺にお前を守らせてくれ」

イツカ @5tht5

そんなライナーさんにベルトルトくんふにゃって笑って「知ってるよ。だってライナー言ってたもん。いつも僕を守るって。いつもそばで守ってくれたでしょう？」記憶戻ってるのかわかんないベルトルトくんの言葉に男泣きするライナーさんと「ライナー泣かないで、だいすきだよ」っていうベルトルトくん

イツカ @5tht5

その日ライナーがベルトルトにシロツメクサの指輪を作ってくれて、それがとてもとても嬉しくて、それをどうにか残したくて部屋に溢れてる色鉛筆にようやく手を伸ばすベルトルトくん　でおわり

イツカ @5tht5

本来の方向とは違う方向に走ったけど、これはこれで・・・？？ライナーさんの葛藤はね、もうちょっと足したかった・・・自分のほんの少しの意地悪が、自分の好きな子と大切な幼馴染の人生を変えてしまったんだもんなー・・・部外者と言われてそれ以上入って行かなかったのはどこかほっとしてたんだろ

イツカ @5tht5

自分は部外者だ。だってあの時はまだ子供で、こんな事になるなんて思わなくて、それに、今更、事故から五年も経って今更言うべき事じゃねーし、言ってどうなるわけでもないしって言い訳し続けた結果がコレなんだもんなーーーーーーーーーー地獄のような5年間だっただろうよ、三人にとって。

イツカ @5tht5

あーーーー中学生になったライナーが部活に熱中して、その時ようやく自分の大切なものが奪われてしまう事の大きさに気付く話入れ忘れたけど、まぁ、いいか・・・

イツカ @5tht5

@otokogi_aot その後はハッピーエンドです！マルセルは二人が暮らす町から離れた町でピアノ教室を開いて子供達にピアノを教えてますし、ベルトルトはライナーの家で絵を描きながら暮らしてます(暮らせるほどの金にはまだならない)二人の部屋にはマルセルから届いた写真が飾られてます