「セカイ系とは何か」実況読書 2章

前島賢著「セカイ系とは何か」の、読書メモです。2章。
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望月茂 @motidukisigeru

さて、「To Heart」で後退した物語が、「One」から始まる鍵系で揺り戻された、と、前島は記しているが、これについては、よくわからない。「To Heart」は学園ラブコメとして、まっとうな起承転結のある物語が存在している。 #sekaikeitoha

2010-02-18 01:11:53
望月茂 @motidukisigeru

「プレイヤーは美少女キャラとのたわいもない日常を過ごしながら、やがて彼女が悲劇的な背景を持つことに気付き、その苦悩やトラウマを癒すことで添い遂げるという構造を持つ一連の作品」が泣きゲーだそうだが。 #sekaikeitoha

2010-02-18 01:13:45
望月茂 @motidukisigeru

これらは王道というもので、「ToHeart」を言うなら、マルチや琴音、いいんちょ他のルートにぴったり当てはまる。逆に、「One」の場合、悲劇・トラウマは「途中で、よくわからん理由で消える主人公」であって、少女側のトラウマではない場合が多い。 #sekaikeitoha

2010-02-18 01:16:41
望月茂 @motidukisigeru

鍵系独自の流れというと、その後、前島も書いているとおり、「永遠の世界」をはじめとする、童話的、内面的な設定が、唐突に物語の現実を侵蝕しつつ、特にフォローもない、というあたりだろう。 #sekaikeitoha

2010-02-18 02:07:05
望月茂 @motidukisigeru

これはこれで面白いんだけど、「物語性の前進」かなぁと言われると、ちょっと悩む<唐突な侵蝕 #sekaikeitoha

2010-02-18 02:07:35
望月茂 @motidukisigeru

そこから「最終兵器彼女」に飛ぶ。主人公の周辺だけを丹念にリアリティもって描きつつ、世界全体(敵とは何か?最終兵器とは何か?)を全く描写しないことで、逆に迫真感を出すテクニックが、エヴァからの系譜だというもの。 #sekaikeitoha

2010-02-18 02:17:24
望月茂 @motidukisigeru

エヴァの系譜も無論あると思うが、主人公の周辺だけを描きつつ全体像を隠すことで、サスペンスを作るのは手法としては一般的ではあることは一応指摘。 #sekaikeitoha

2010-02-18 02:24:40
望月茂 @motidukisigeru

兵士の日常と、戦局の不透明さを幻想やSFを交え「敵とは何で、自分は何のために闘うのか?」という観念的な問いの空転を描くパターンは定番ではある。不条理としての戦争。もちろん、それらをオタク文脈の中に位置づけて、大いに視聴者を獲得したエヴァの影響は大きい。 #sekaikeitoha

2010-02-18 02:28:47
望月茂 @motidukisigeru

結局のところ何を描きたいか、という話になる。エヴァが何を描きたかったか……というのは、色々解釈が分かれそうなのでおいとくとして。「最終兵器彼女」で描きたかったのは、「極限状況での恋愛」、だろう。 #sekaikeitoha

2010-02-18 02:31:39
望月茂 @motidukisigeru

「極限状況の恋愛」に必要なのは極限状況だ。「最終兵器彼女」では恋人たちが物理的心理的社会的に追い詰められることのみが大切であって、世界や戦争の謎が明かされたら、それは一個の救いとして働く。だから説明されない、というわけだ。 #sekaikeitoha

2010-02-18 02:34:43
望月茂 @motidukisigeru

あの世界の戦争が何のためにあって敵がどういう存在で、ちせの戦略的位置づけとかが分かったら、あの話のせつなさは増すか? むしろ減るだろう。そういう話だ。 #sekaikeitoha

2010-02-18 02:38:43
望月茂 @motidukisigeru

次に、「ほしのこえ」と「トップをねらえ!」を比較し、両者が、光速の壁から生まれるドラマをセンチメンタルに描きつつ、後者が設定・元ネタ過剰で前者が設定が薄いことを対比している。 #sekaikeitoha

2010-02-18 02:44:25
望月茂 @motidukisigeru

「ほしのこえ」は、今さら言うまでもなく、新海誠が、ほぼ一人で全てを製作したことで話題を呼んだ作品である。一人でアニメ作るのがえらい大変なのは言うまでもない。 #sekaikeitoha

2010-02-18 02:46:38
望月茂 @motidukisigeru

そのように作られた「ほしのこえ」は無駄をそぎ落とされた作品だ。自分のできるところ、できないところを冷静に計算し、描きたいものを集中して、そこに注力するというスタイルで、「過剰な設定/オマージュ」が、そぎ落とされたのではないかと思う(想像・感想だが)。 #sekaikeitoha

2010-02-18 02:49:38
望月茂 @motidukisigeru

「イリヤ」は、この本では蛇足と思うが、「妖精作戦」の明白なオマージュである点は指摘しておきたい。しばしばライトノベル最初の作品と呼ばれる「妖精作戦」こそが、84年の時点で、「学園」における「日常」に、オタク好きな要素をぶちこみまくった作品であることも。 #sekaikeitoha

2010-02-18 02:52:43
望月茂 @motidukisigeru

学園という楽園の中に、メカから美少女から超能力からなんでも放り込まれて、「終わらない日常」が、「卒業」とぶつかりあう、「妖精作戦」を見れば、安直な世代分けなり、時代分けなりが機能しないことはわかるだろう。 #sekaikeitoha

2010-02-18 02:57:38
望月茂 @motidukisigeru

さておいて、セカイ系とされた作品群に、背景世界、設定への欲望が抜けているという指摘は、正しい。個人的に俺が聞いた範囲のセカイ系作品は、ブギーとエヴァが大きくて、「三大セカイ系」と呼ばれる作品は、あんまりセカイ系っぽくない印象があるが、そこはまぁ。 #sekaikeitoha

2010-02-18 02:59:19
望月茂 @motidukisigeru

前島は、設定の充実した「ファイブスター物語」と、謎が明かされない「エヴァ」を対比してるが、正直、この対比は微妙だと思う。 #sekaikeitoha

2010-02-18 03:02:45
望月茂 @motidukisigeru

「ファイブスター物語」は、確かに年表は公開されてるが、設定も用語もジャーゴンと電波だらけであり、実際に描かれる物語は断片的で、何がなんだかよーわからん部分も多い。そのレベルなら、エヴァだって設定・用語は無数にあって、欲望を刺激する。 #sekaikeitoha

2010-02-18 03:04:51
望月茂 @motidukisigeru

「ファイブスター物語」は、ガンダムセンチネル的な、世界に対して、確固とした理屈と形を与えようというタイプの設定ではないと思う。 #sekaikeitoha

2010-02-18 03:05:53
望月茂 @motidukisigeru

つーかまー、この手の過剰すぎる設定は、往々にして、あふれでた自意識なんだよね。そういう意味では設定過剰も、設定過小も、あんまり変わらない。だからこそ、エヴァとONEに共通点を感じるわけで。 #sekaikeitoha

2010-02-18 03:07:17
望月茂 @motidukisigeru

前島は、大塚の「物語消費」の視点から、エヴァは「謎が明かされていないから失敗」と述べているが……実のところ、「物語消費」は、別に謎が解けることとは関係無い。 #sekaikeitoha

2010-02-18 03:08:43
望月茂 @motidukisigeru

断片から「大きな物語」「秩序」を、連想させることが、物語消費であるなら、「はっきりとわかる」タイプの「秩序」もあり、「存在は感じられるが、ぼんやりとしている」タイプの「秩序」もある。 #sekaikeitoha

2010-02-18 03:10:10
望月茂 @motidukisigeru

それこそ大塚の書いている「サイコ」とかは、その線だろう。読者は、無数の断片から、「ガクソ」他の「大きな物語」を妄想するが、それは、もうちょいではっきりしそうで、なかなかはっきりしない。 #sekaikeitoha

2010-02-18 03:10:53
望月茂 @motidukisigeru

だから、「あと少し」を求めて、作品を追い続けることになる。……いやまぁ、それにも飽きたので、もう読んでないんだけどさ<「多重人格探偵サイコ」 エヴァが、空前の謎本ブームを読んだのは、そういう部分が機能していたといえるだろう。 #sekaikeitoha

2010-02-18 03:11:43
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