#リプ送ってきたやつロワ

現在未完結
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3g @3g7ttdMh3Q

むせ返るような熱気に目眩を覚えた。 蝉が鳴いている、騒騒しい。 「勘弁してくれよ……」 口に出せばいいというものでもないが、文句でも言わないとやっていられない。 「神様、俺が何をしたっていうんだ」 道路の上で人が焼けている。 死んでいる。 さっき殺した。 名前は知らない。

2014-02-20 21:52:09
3g @3g7ttdMh3Q

さっき人を殺したばかりだというのに、心は異常なほどに落ち着いている。 外は熱い。 クーラーがガンガンに効いた室内でアイスコーヒーでも飲んだ方がいい。 じゃないと、熱中症で死んでしまう。 そう、俺が殺したアイツみたいにだ。 「フフ」 おかしくもないのに笑いがこみ上げた。

2014-02-20 21:55:19
3g @3g7ttdMh3Q

俺の名前はぶりゅーわ。 性癖にほんの少しの異常性があることを除けば健全な大学生だ。 「アイスコーヒーお待たせいたしました」 「はいはい」 急いで入った喫茶店で、 アイスコーヒーを啜りながら、何の気なしにウエイトレスの顔を見た。 ああ、殴りながらヤりまくりたいと思った。

2014-02-20 21:57:28
3g @3g7ttdMh3Q

殴るだけでもなく、ヤるだけでもなく、 殴りながらヤリまくらなければならない。 そうでなければ、満足できない。 異常性は自覚している。 我慢しようと、彼女が出来る度に思う。 だが、一度も上手くいったことはない。

2014-02-20 22:01:44
3g @3g7ttdMh3Q

そして、とうとう今日。 殴りながらヤりまくった彼女の兄が押しかけてきた。 口論になって、金属バットで彼を殴りつけた。 彼の頭はザクロの中身みたいにはじけた。 目の前で展開されるスプラッタに特に何も思わなかった。

2014-02-20 22:06:25
3g @3g7ttdMh3Q

死体は発見されてしまうのだろうか。 親父や同級生に俺はなんて言われるんだろうか。 「ああ……」 深くため息をついた。 何故、こんなことになってしまったんだ。 「やり直したい」 アイスコーヒーのおかわりを頼んだ後、ボソリと呟いた。 ああ、誰でもいい。この願いを聞き届けてくれないか

2014-02-20 22:11:29
3g @3g7ttdMh3Q

――その願いを その時、俺は鼓膜ではなく。 脳に直接、音を捉えた。 世界が暗転する。 目の前のテーブルが、喫茶店が、世界が消える。 瞬間移動――存在するはずのない超能力を思った。 ――聞き届けよう どうやら、神様辺りは俺の味方だ。

2014-02-20 22:13:30
3g @3g7ttdMh3Q

◇ 「願わない人間はいない」 彼――ぶりゅーわが移動した先はどうやら教会であるようだった。 彼と同じくこの場所に呼び寄せられた人間たちは皆、意識的か無意識的か長椅子に座っていた。 ただ一人、スーツを着た長身で長髪の男だけが呼び寄せられた者達の方を見て、立っていた。

2014-02-20 22:20:21
3g @3g7ttdMh3Q

「赤子の時、泣き喚いて何かを求めていた。 幼児になっても、まだ泣き喚いて何かを求めていた。 歳を経て、歳を経て、それでも求めていた。 自分の人生を振り返ると、どんどんと欲望が大きくなっていくなぁ、なんてことを思ったよ」

2014-02-20 22:22:20
3g @3g7ttdMh3Q

「そういう話いいんで」 「すまないねロリスキーさん」 座っていた男の内の一人が、長話になりそうな長身の男の話を強制的に切らせた。 ロリスキー ――とても親が正気で付けた名前とは思えない。 渾名か、あるいは何らかの記号であるのだろう。

2014-02-20 22:24:43
3g @3g7ttdMh3Q

「本題に入ろう」 誰かが唾を飲み込む音が、やけに大きく響いた。 「君達は皆、何かを願っている。そして私は君達の内の誰か一人の願いを叶える」 ああ、とぶりゅーわはすんなりと飲み込んだ。 なんとなく、最初から彼はそう云うのだろうという気がした。

2014-02-20 22:29:26
3g @3g7ttdMh3Q

「君達を今から、ある無人の街に解き放つ、そして最後の一人になるまで殺しあってもらいたい。 最後の一人になった者の願いは叶えられる」 「殺し合い!?」 座っている内の一人、少年が叫んだ。 「……いやなら、街から逃げて、この機会のことは忘れてしまえばいいさ」

2014-02-20 22:33:54
3g @3g7ttdMh3Q

ただ、と前置きして長身の男は言葉を続ける。 「君は諦められるか?今、君は死んでるようなものだ。 たった三十数人殺せば、君の願いは叶えられる……シュンキチ君。 生き返りたいなら、今の機会を置いて他はないと、断言しておこう」

2014-02-20 22:36:45
3g @3g7ttdMh3Q

「僕の……願い……」 「みんなも聞いてくれ、この場所から逃げ出せば元の生活に戻れる。 だが、それだけだ。 君達は願いを燻らせたまま、死ぬまで生きていられるかい? もし、それが出来るなら……君達は最初から、願いはしないよ」

2014-02-20 22:39:54
3g @3g7ttdMh3Q

長身の男の言葉に、ここにいるどれだけの人間がその心を動かされたのだろうか。 「後は君達の願いのまま、好きにするがいいさ」 その言葉を最後に、心に願いを秘めた者達がここに来た時と同じように街へと向かっていく。

2014-02-20 22:45:39
3g @3g7ttdMh3Q

「ああ、俺の願いは叶えられる……」 ぶりゅーわは隣にいる男がつぶやくのを聞いた。 その男は、ぶりゅーわと同じ目をしていた。

2014-02-20 22:46:32
3g @3g7ttdMh3Q

◇ 赤髪(赤い髪をした男で、名前もそのまま赤髪である)はホモだ。 ホモ・サピエンスという意味でも、またホモ・セクシュアルという意味でもそうである。 ホモだから、その生活に問題があるかといえば表面上は何の問題もない。 ただ、好きな人間に告白することが出来ないだけだ。

2014-02-20 22:50:46
3g @3g7ttdMh3Q

願いが叶う――自分は何を願ったのだろう。 性癖が真っ当になることだろうか、ストックしてあるホモビを親に発見されないことだろうか。 いや、違う。 好きな人間に告白できるように、それだけだ。 赤髪は女性になることを願い、そしてこの場所に来た。

2014-02-20 22:56:38
3g @3g7ttdMh3Q

モロッコに行けば、その願いは叶うので赤髪は普通に脱出した。

2014-02-20 22:57:03
3g @3g7ttdMh3Q

◇ 「他人を殺してまで叶えたい願いって何ですか?」 「それを言えば、ゲームから降りてくれるんですか?」 「まぁ、考えないことも無いですかね」 街に飛ばされて直ぐに、ロリスキーとプロトオーガは対面することとなった。

2014-02-20 23:04:09
3g @3g7ttdMh3Q

幸か不幸か、プロトオーガに殺人の経験は無く、 そんな彼に、ロリスキーは声をかけたのである。 「……借金ですよ借金、生きてる内に返しきれないような借金を友人が背負っちゃって」

2014-02-20 23:10:43
3g @3g7ttdMh3Q

他人のための願いも、どうやらこの空間に呼び寄せられる条件付けにはなるようだった。 プロトオーガの親友が騙されて背負った借金、それをどうにか出来ないか、 そう苦悩する内に、彼はこの空間に呼び寄せられた。

2014-02-20 23:10:47
3g @3g7ttdMh3Q

「へぇ……」 プロトオーガははっきりと空気が冷えるのを感じた。 プロトオーガの願いを聞いたロリスキーの目はこちらに興味を失っている。 気づけば指に嵌められていた指輪は願えば、ランダムに武器が出るらしい。 先制してロリスキーを殺すか、殺せるのか、己は。

2014-02-20 23:13:38
3g @3g7ttdMh3Q

「俺はロリスキー、願いは……」 ロリスキー――その名を聞いて、プロトオーガは凍りついた。 正気か――そんな犯罪者丸出しみたいな名前の奴が現代日本で生きているのか。こわ。 「少なくともお前よりは面白い」 名前に凍りついている内に、プロトオーガは全身穴だらけになって死んだ。

2014-02-20 23:16:07