ゴリラスレイヤー　エピローグ

碌星らせん（ろくせい・らせん） @dddrill

◆ゴリラスレイヤー　エピローグ◆

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復讐を終えたゴリラスレイヤーは、ピラー跡地に佇んでいた。その巨体に反し、存在感は陽炎の如く希薄だ。(((ゴリラスレイヤー……いや、ゴリキド。少し話をせぬか)))ナラクピテクスの声がする。(……なんだ)ゴリキドは億劫そうに返事をする。 1

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(((なあ、ゴリキド……ワシはゴリラではない)))(知っている)(((バナナが無くても、オヌシは生きられるだろう)))(……そうか)興味など無い。ゴリキドの身体はナラクへと渡り、……今度は、人間を殺すために用いられるのだろうか。 2

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そうなる前に、死を選ぶつもりだった。だが、今はそれすらどうでもよく感じてしまう。(この身体も、命も……もうオヌシのものだ。好きに使え)(((……ゴリキド)))(……) 3

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(((ワシは偏在する……あまねく大地に在り、憎悪を吸い、栄え過ぎた種を刈り取る。これからもだ)))(……そうか)人は確かに、栄え過ぎたのかもしれぬ。その邪悪は、或いはゴリラなど比較にならぬやもしれぬ。 4

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（ナラク……私は意識どうなるのだろう？)ゴリキドはふと尋ねた。ナラクピテクスに身体を明け渡した後、己の意識はどうなるのか。((ワシは全ての類人猿の還る場所……全ての原型……それはヒトとて例外ではない)) 5

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ナラクと一体となる。それもまた、良いのかもしれない。(殺戮者として生き、殺戮者として死ぬ……か)人としての生は、既にナラクピテクスへと売り払ったのだから。ゴリラを殺すために。 81

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((では、オヌシの身体は、約束通りワシの自由にさせて貰おう))(……ああ)最早、思い残す事は無い。ゴリラスレイヤーは静かに目を閉じた。ナラクの存在を近く感じる。その存在の揺らぎさえも。 7

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((ワシは………眠る。オヌシの生きる間に目を覚ます事は、もうあるまい。その体を、生かせ))だが、ナラクは唐突にそう告げた。(それは、一体)((此度は……少しばかり疲れた……))「ナラク!!」 8

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ゴリキドは声を上げた。己の中から、ナラクピテクスの存在感が薄れていくのを感じたからだ。ゴリラスレイヤーの身体が縮み、赤黒の体毛が抜けていく。……馬鹿な、これはダークゴリラと同じ。 9

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ナラクピテクスは類人猿全ての怨念を吸い、種の原型と化した存在だ。故に、ゴリラスレイヤーはゴリラやギガントピテクスの姿を行き来出来た。……それは、人も例外ではないという。ならば、もしや。 10

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((……ワシは、この大地と共にある。人の営み……見守っておるぞ)）その言葉を最期に、ニューロンからナラクの存在感は完全に消滅した。後に残されたのは、裸の人間の男が一人。男は茫然と立ち尽くしていた。 11

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やがて、破壊の跡から男は去る。その足取りは覚束ない。それでも後ろを顧みる事は決して無かった。……それが、ゴリラという存在の完全なる終焉であり、ゴリラスレイヤーという復讐鬼の結末であった。 12

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◆ゴリラスレイヤー　完◆

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ゴリラがこの星から消えようと、世界は回り続ける。荒れ果てた大地へ降り注ぐ重金属酸性雨は尽きず、人の物となった世の闇もまた晴れない。……それでも彼の戦いには、確かに意味は有った。 13

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……人は、もしかしたら、もっとゴリラについて考えるべきなのかもしれない…… 14

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◆実況お疲れ様でした。そのうち、後日談めいた……ゴリジュゲイターとか出る……そういうのをちょっとだけするかもしれませんが、ゴリラスレイヤーはこれで完結となります。実況、感想、RT、ふぁぼなどお疲れ様でした。大変励みになりました。 #grlslyr ◆

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◆原作者を初めとするニンジャスレイヤーに携わる全ての方々、そしてニンジャヘッズの皆さんに感謝を #grlslyr ◆