茂木健一郎（@kenichiromogi）さんの連続ツイート第1178回「権力ではなく、影響を！（Influence,not power）」

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイートをお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、このところのニュースを見ていて、感じたこと。

茂木健一郎 @kenichiromogi

けえ（１）何時だったかわからないけれども、英語圏でしばしば使われるフレーズ「Influence, not power」（権力ではなく、影響を！）を目にして、好きになって、時々使ったり、またその筋について考えてみたりしている。影響と権力だったら、前者の方が絶対にいい。

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けえ（２）例えば、ジョン・レノンは、世俗的なpower=権力（他の人に、自分の意向を法律やルールを通して押しつけること）は持たなかったけれども、圧倒的なinfluence=影響を与えたし、今も与え続けている。権力なんてなくても、彼の楽曲、生き方が多くの人に感銘を与えた。

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けえ（３）芸術の世界でも、なんとか協会の理事とか、なんとかの会長とかいう「権力」は本当は余計なわけで、影響があればいい。最近も、寺山修司に影響を受けて今の仕事を始めたという若者に会った。寺山さんの影響は今も続いている。一方、寺山さんが生前に何らかの権力を持っていたか？

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けえ（４）影響というのは、つまり、愛だから、強制するものではなく、自然にあふれ出るものである。よいもの、美しいもの、ぐっとくるものを創り出し、あるいは自分をそのような存在にすることができれば、自然に周囲の人が感化され、その影響力は広がっている。権力などいらない。

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けえ（５）逆に言えば、権力というのは時に空しいもので、その人自身が魅力的なのではなく、単にそのような権力を持っているから恐れ入っている（ふりをしているだけな）のである。だから、その人が権力から離れてしまえば、さっと水が引くように人が消える。

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けえ（６）権力者も、自分自身に影響を及ぼす魅力や見識があるわけではないと知っているから、つまらない人ほど、権力に固執する。他人に対して、強権的にふるまおうとする。影響を与えることなどできないと内心知っているから、猜疑心にあふれ、つまらないことをネチネチ言って他人を恐怖させる。

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けえ（７）もちろん、理想的な場合は、権力を持つ人が、同時に、社会全体や若者、次に続く人たちによきインスピレーションを与え、影響を及ぼすこともある。しかし、そのようなことはむしろ例外であって、残念ながら、凡庸な人が権力に惹きつけられ、その地位に固執することがしばしば見られる。

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けえ（８）自分自身の存在や作品を通して影響を及ぼすことができる人など一握りだから、凡人が権力に惹きつけられること自体は、人間の心理として理解できる。もし、幸いにして権力を及ぼすことができる地位についたならば、己の凡庸さを認識し、謙虚に耳を傾ければよき指導者になることができるだろう

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けえ（９）特に若い世代に伝えたいこと。「Influence, not power」（権力ではなく、影響を！）を心に置いて欲しい。小集団の中のほんの小さな権力さえ、あなたの心をマヒさせる麻薬となる。権力など要らない。むしろ、よき影響を。そう考えて努力していれば、いい人になれます。

茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート連続ツイート１１７８回「権力ではなく、影響を！（Influence, not power）」でした。

茂木健一郎 @kenichiromogi

ちなみに、今日の連続ツイートの「権力に固執する凡人」は、昨今の日本国内外の＜特定の人物（単数、複数）＞を念頭に置いたわけでは＜決して＞ないので、その点、お間違えないように、お願いいたします。