ついりみっくす（ #twremix ）オムニバスついのべ 不思議な自動販売機

Kazue @kazue555

今から９ツイートのツイリミをツイートします。 元となったツイリミはこちらです。 https://t.co/40633qW2QN

23時の夢物語 @23novel

#twnovel 自動販売機であったか〜い心を買ってきた。これでもっと人に優しくなれる、はずだった。帰り道には自動販売機でつめた〜い心を買っていた。失敗には冷静な判断。これであんまり落ち込まずにすむ、はずだった。翌朝にはまたあったか〜い心。やっぱりちょっと自分に優しくするために。

Kazue @kazue555

町はずれに続く道に、不思議な自動販売機が現れた。売られているのは「愛」「嫉妬」「情熱」「冷静」「夢」「妄想」 といった、人間の感情が書かれた缶飲料だ。代金は缶に書かれたもので、欲しいもののボタンを押せば支払完了、足りなければ出てこない。9-1 @23novel #twremix

Kazue @kazue555

何事にも熱が入らない人が、試しに「情熱」というボタンを押してみると、何も出てこない。ならばと「冷静」のボタンを押すと「冷静」と書かれた缶が出てきた。 その後彼は仕事にに過剰に打ち込むようになったが「冷静」を飲むと元に戻ってしまった。9-2 @23novel #twremix

Kazue @kazue555

不思議な自動販売機の噂はたちまち町に広がった。いらない感情が缶になって処分できると、連日、自動販売機の前には行列ができる。よく押されるボタンは「嫉妬」や「恨み」「妬み」といった負の感情だ。心安らかに過ごすため、負の感情を捨てたいのだろう。9-3 @23novel #twremix

Kazue @kazue555

残業で帰りが真夜中になってしまったある夜、僕はあの自動販売機に続く道を歩いていた。人っ子一人歩いていない。怖くはないが自然と急ぎ足になる。 暫く歩くとあの自動販売機が見えてきた。明るい自動販売機の前面とは対照的に後面は暗くてよく見えない。9-4 @23novel #twremix

Kazue @kazue555

自動販売機の前までやって来た時、自動販売機の後ろで見知らぬ男が、ゴソゴソと缶を箱に詰めているのに気が付いた。「あの～」「ひゃっ」男はビックリした様子で僕の方を見た。「こんな時間なら誰も通らないと思ったのに」男はブツブツと何やら言っている。9-5 @23novel #twremix

Kazue @kazue555

「こんな時間に何をされているのですか」不思議に思った僕は、男に尋ねた。「見れば分かるだろ。缶の回収だよ」「缶の回収？」「そうお代を回収してるんだ」 「それって」「そう、この缶には皆が払った感情の半分が詰まっている」9-6 @23novel #twremix

Kazue @kazue555

「半分？」「そう、色々含めて半分。後の半分は、缶とか諸々手数料ってことで」「それ、どうするんですか」「どうするって、売るんだよ。売るに決まってるじゃないか」「負の感情が多いじゃないですか。そんなもの売れるんですか？」「ああ、売れるね」9-7 @23novel #twremix

Kazue @kazue555

「は、は～ん、お前さん、まだ若いね、っていうか純粋。負の感情の使い道なんて、幾らでもあるじゃないか。ま、具体的には教えてあげないけど。それより、俺、これ回収してるとこ見られるとマズいんだよね。だから、こて見たこと、誰にも言わないでよね」9-8 @23novel #twremix

Kazue @kazue555

「これあげるから、絶対内緒だよ」男はそう言うと僕に缶を一つ押し付けて、そそくさと行ってしまった。あの男が言う負の感情の使い道って何だろう。考えると寒いような気がする。僕の手には男が押し付けて行った「嫉妬」の缶があった。 9-9 @23novel #twremix

23時の夢物語 @23novel

.@kazue555 大作ツイリミありがとうございましたー！「売れるね」と言った男性の不思議な説得力にうわぉおおおーってなりましたー！

Kazue @kazue555

@23novel 大きいものから小さなものまで、いたるところに闇があるということで、そこでは彼が暗躍しています。