ヨウジョスレイヤー【ラスト・ロリータ・スタンディング】#1

うぃんこさん @koiflachuchu

【こいしちゃんじゃない】

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幼◎女

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(これまでのあらすじ)キョートの高校生ヤモト・コキは飛び降り自殺を図った同級生と激突し、意識不明の重体に。その時、ヤモトの体に「シ・ヨウジョ」のヨウジョソウルが宿り、ヨウジョと化す。キョートにもハイスクールにもいられなくなったヤモトはネオサイタマへ渡り、幼稚園に入る。

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転校二日目、ヤモトは友人のアサリと夜道を歩いていたところ、ファック＆サヨナラ目的のロリコンヨタモノに襲われてしまうが、これを撃退するも、二週間の入院を余儀無くされた。

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ヨウジョスレイヤー第一部「ペドフィリア炎上」より【ラスト・ロリータ・スタンディング】

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ヤモトは一人で黙々と朝食のイチゴジャムたっぷりのトーストを食べ、園児服に着替えると、装甲仕様のバスに乗って幼稚園へと向かう。バスの装甲はものものしい。加えてミニガン四門に電磁バリア。ロリコンから身を守るため、備える必要があるのだ。 1

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車内で一番後ろの座席に座るのは、同じ幼稚園の園児服をスカートだけ着た女児だ。アフロヘアーで上半身は裸。乳首の位置には絆創膏が貼ってある。異様ななりである。無言でじっと見つめてくるその女児と目を合わせぬように、ヤモトは外の景色に集中する。 2

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「ヤモト＝チャン！」停留所で乗り込んできたアサリが声をかける。口元にややあざが残り、憔悴しているが、つとめて明るく振る舞っている。「オハヨウゴザイマス。ヤモト＝チャン、もう大丈夫？」「ドーモ、アサリ＝チャン」ヤモトは笑顔を向けた。「あなたこそ」「私、今日からなの」「アタイも」 3

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ヤモトはアサリを嬉しく思った。乳首絆創膏の注視を意識せずに済むのは有難い。何よりヤモトはアサリのことが好きだった。班長の義務感もあろうが、転入したばかりのヤモトに親切にしてくれている。二週間前の事件が、極限の状況を共有したことで、それはより強くなったのだ。ユウジョウ！ 4

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「アサリ＝チャン」ヤモトは耳打ちした。「なあに？」「一番後ろの絆創膏、誰？」アサリは絆創膏を見やり、ぎょっとして「知らない！」「ずっとアタイを睨んでるでしょ」「ええー……」アサリはこわごわ横目で見ながら「あんな変態、今まで見たことないけど……あなたみたいに転校生かも」 5

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ぼそぼそと小声で会話するうち、バスは幼稚園の敷地内に入り、門が閉められ過激派ロリコンが柵を乗り越えようとしてミニガンの斉射を受けミンチになる。「アタバキ・ブシド・ハイスクール附属幼稚園」。巨大な園長彫像が園児を出迎え、真鍮ダルマが幼稚園屋上から敷地を睥睨する。 6

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おゆうぎ時間中、ヤモトはほとんど上の空であった。あの日の恐るべき暴力衝動、シ・ヨウジョという単語の意味、そして自身の体が縮んで幼女になってしまったこと。そういったものの正体は結局わからずじまい、二週間経っても答えが出ないままだ。 宿ったのはいつから。ヤモトには心当たりがある。 7

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驚くほどに晴れたあの日のキョート。そう。ネオサイタマではない。キョート独立国。太陽の光を受け、ゆっくりと降ってくる影。校舎屋上から落下した男子生徒。それをなす術なく見上げていた自分、暗転する意識、恐怖。あの時ヤモトのナカに何かが入り込んだ。そしてヨウジョとなった。 8

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「ざっけんなこらー！」「すっぞこらー！」窓の外で罵声。ヤモトは我にかえった。「しゃっこらー！」「なまっこらー！」「あっこらー！」ヤクザ・スラングを真似た恫喝の真似事だ。カワイイ！おゆうぎの時間であるが、園児は先を争って立ち上がり、窓にかじりつく。 9

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「アイエエエ！君たち！おゆうぎは！？」「おい、見ろよ！」「誰だあいつ……」「転校生……」「髪型が……」「裸族……」「変態……」「ちくわ大明神」口々にさえずり合う園児達。「君たち！遊びに戻って！」「だってせんせー、ちびっこギャングですよ、いっぱいだよ」「アイエエエ！？」 10

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遊具が立ち並ぶ敷地内には、ナムサン！私服のちびっこギャング三十人超が門を突破、ミニガンは子供相手に撃ってはいけないという条例が出されているため撃てない！そして園児の一人と対峙している。後ろ姿であるが、そのアフロヘアーと上半身はあまりにも特徴的だ。 11

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ちびっこギャングとは、反社会的な未就学児がノリで形成する危険なイタズラグループ構成員の総称である。「だおらー！」「なんおらー！」ちびっこギャングはその半数が違法改造された三輪車にまたがっていた。もう半数は、その三輪車の後ろに乗って移動してきたのだ。違法な二人乗り行為である！ 12

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頭目と思われる小学生級のデブがウレタン製バットを振り上げた。「だーらー！」「とっとと始めるぜ。メシの時間だ」アフロ乳首絆創膏幼女は腰に手を当て、挑発した。「ざっけんなこらー！」頭目はバットをためらいなく絆創膏幼女へ降り下ろす！「イヤーッ！」絆創膏幼女はバットを掴み遮った。 13

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「なんおらー？」「すっぞこらー？」ちびっこギャング達はお互いに顔を見合せ、あるいはわけもわからず叫んで威嚇した。頭目はバットを持ったままブルブルと震えている。「お前ら、脱ぐんだぞ」アフロが不敵に言う。外の会話がヤモトの耳に入るのはヤモトに備わったヨウジョ聴力のためだ。 14

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「あいつ……！」「どうしたの？」アサリがヤモトを不安げに見つめる。あいつ、脱がすつもりなのか、ここで？ヤモトの胸騒ぎが強まる。あのアフロは自分の同類だ。ヤモトはこの正体不明の直感に疑問を抱かなかった。実際その直感は当たりである。ヤモトは彼女のヨウジョソウルを知覚している。 15

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ヤモトは衝動的に窓を蹴って飛び降りそうになった。しかし思いとどまった。そのときだ！「あれは！」「何だ？」「くっ伝説の」「手品？」「ここでこんなとは！」 「コワイ！」 「許せないぜ」園児達がざわめいた。その時にはもう、全てが終わっていた。まさに一瞬の出来事だった。 16

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それはコロイド光であった。全てのちびっこギャングのリボン、シャツやスカートから、白い光の筋がアフロのかざしたは左手に向かってまっすぐに伸び、集束した。直後、アフロを取り囲んでいたちびっこギャングの衣服はパンツを残して脱げ、アフロの上半身をキメラめいて纏い、すぐに消えた。 17

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がくり、がくり、がくりがくりがくり！ちびっこギャング達は羞恥心で崩れ落ち、上半身を手で覆い隠した！頭目とて例外ではない！三十人のちびっこギャングが悲鳴をあげる中、半裸のアフロ園児が一人立っていた！「へっ！」彼女が侮蔑的な笑いを吐き捨てたのをヤモトは聞き取った。 18

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敷地の外、数台の装甲ビーグルがサイレンを鳴らしながらドリフトし、停止した。服の脱げた子供達を保護するためマッポが到着したのだ。「あー君！そのままそのまま！動くと私たちは君に手を出すかもしれない！そのままだぞ！」拡声器から轟く警告。キャンディをちらつかせるマッポが近づく。 19

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ヤモトはおゆうぎ室を窓から飛び出していた。敷地内には大人しくマッポに囲まれてお菓子を貰うアフロが今まさに懐柔され保護の名のもとに連行されようとしていた。地面に倒れこんだちびっこギャング達を片手でヒョイと持ち上げるマッポもいる。おお、ナムアミダブツ……ナムアミダブツ…… 20