【亡命線、街】福間健二 2factory58

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福間健二 @acasaazul

曲がり角をいくつ曲がったのか。亡命だ。狡猾さと卑屈さと善意にサヨナラして。ふとっている。やせている。どちらでも。目ざめることをおそれる三姉妹に会う街の、風と光と影。何をささげよう。内在的に、地面で起こっていることの、速さのヴァリエーションに。(亡命線、街1)#2factory58

2014-02-28 11:04:01
福間健二 @acasaazul

地面にゆっくり滲みだす新しい血。でも、他人の古傷からの。半ズボンの天使に苦しめられた夜からの二日酔いには効くのだろうか。フロム・X。死んでいる木からの暗号。森山先生からの、撚り合わせ型の欲望。複数の黒い心臓を同時に脱出して詩を書いている。(亡命線、街2)#2factory58

2014-03-01 07:50:14
福間健二 @acasaazul

「たいしたもの書いてないくせに」錯乱する。言われちゃった。けれども揺れる三月。ぼくの両手、どう動くかを見破られながら、必要なときはすべてを握る。物、動物、人。それぞれのジュースを浸出させて。惨劇にはじまって恋に終わるこの盗んだ夢を変奏して。(亡命線、街3)#2factory58

2014-03-02 10:17:34
福間健二 @acasaazul

変装もする。男、女、子ども。あらわれてはすぐに消える影の一族とともに眠り、硬いものをやわらかく包み、散歩して書く。きのうは孤独なカウボーイ。きょうは覆面作家。ひとつのマフラーで赤い谷をいくつも廃棄して、そう、あしたはふりだしに戻る老人だ。(亡命線、街4)#2factory58

2014-03-03 07:56:13
福間健二 @acasaazul

言葉、まなざし、身ぶり。ついに目ざめた姉妹の、なまの部分から放たれる「非難」のアピールに。恢復期の快感で、こんにちは。隷属も、破滅も、開発も、のぞみません。ぼくが言うのではない。混成型の、エロティックな雲の下、この街のあたらしい本能が言う。(亡命線、街5)#2factory58

2014-03-04 08:16:07
福間健二 @acasaazul

「死体が倒れていても跨いでいく人たち」の不平不満。その隣の機械が何を生みだすのか。言われちゃった。けれども姉妹よ、よく見ると粒状の生命がきみたちの足もとにこぼれている。黒く塗られても、三月。リスボンでもリュブリャナでもないこの街。この夢の中。(亡命線、街6)#2factory58

2014-03-05 09:44:09
福間健二 @acasaazul

吉岡さんの書く姉妹は、ドジソン家のルイザ、マギー、ヘンリエッタ。寝巻の中が気になった。悪い夢でも「生きる権利」の汗を滲ませたいこの線には、たとえばユリエさん、ツカサさん、ノンちゃん。仮称の、隣人。オン・ザ・ロード、亡命してやっと会ったけど。(亡命線、街7)#2factory58

2014-03-06 08:16:02
福間健二 @acasaazul

血を必要とする。カフカのようにそうである者の「あ、まちがえた」となる冒険の入口。亡命しても、懐かしい展開型の街。目ざめても、ほら、理解できない影に囲まれる姉妹の、それぞれの容器からあふれる蜜の匂いが、それなしでは生きていけないと泣く虫を呼ぶ。(亡命線、街8)#2factory58

2014-03-07 08:25:13
福間健二 @acasaazul

虫たちは読まない。文字の上を這い、風邪をひかない。危険を察知するだけ。歩道の人々は風邪をひき、移動販売車の一ドルのホットドッグを食べ、道路標識を見る。何がおなじか。踏みつぶされること。姉さんたちのうわべだけの連続性では、ね。末娘のノゾミです。(亡命線、街9)#2factory58

2014-03-08 08:40:29
福間健二 @acasaazul

暗くなったら接触する。雨の中を歩く虎。つまり、信号無視の、湿った先端を求める湿った内側。いやなら、溶ける全体の、過敏な部分である街の皮膚の下を走る赤い回路に。必要なのは、ノンちゃん、雲の上からの分析じゃない。手続きなしの、振動の、火花だ。(亡命線、街10)#2factory58

2014-03-09 09:20:49