「電書革命」橘川幸夫( @metakit )さん

既存出版社のラッダイト運動と、草の根ユーザーの自炊運動。出版社が躊躇しているうちに、強烈な草の根ユーザーの「自炊」による電子書籍化が進み始めている。
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橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

1●マスコミは「電子書籍元年」と呼び、電子書籍の時代が本格的に登場したというファンファーレを鳴らしている。日本の出版関係者の間でも、集まれば話題の中心は電子書籍だ。果たして、電子書籍は日本の出版業界に何をもたらすのだろうか。

2010-10-29 08:23:06
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

2●18世紀の後半にイギリスでスタートした産業革命は、人間の労働力を機械に依存するようになり、生産の効率化と拡大を果たした。余剰価値と余剰時間が生まれ、資本家と余暇という概念が生まれるようになり、近代的な個人の成立基盤となる。

2010-10-29 08:25:30
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

3●私たちの読書という習慣は産業革命なくしてありえなかっただろう。しかし、その革命において、それまで肉体を行使して生産につとめていた多くの肉体労働者や技術者が職を奪われることになり、ラッダイト(機械打ち壊し)運動がヨーロッパ各地で起きた。

2010-10-29 08:25:46
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

4●20世紀、コンピュータの登場により、同じように職を奪われそうになった事務処理労働者たちは、似たようなコンピュータ打ち壊し騒動を起こしている。

2010-10-29 08:26:11
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

5●我が日本でも、コンピュータによる事務合理化に反対した組合などは、「コンピュータの導入は認めるが、今まで通りの帳面記帳作業は残せ」という、訳の分からない要求をして、長く、そうした無駄な人件費が支払われていたのである。

2010-10-29 08:26:25
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

6●日本の出版文化は、明治の近代化による印刷技術の発展と轍を一にする。オフセット印刷による大量生産のシステムが出来たからこそ、100万部のベストセラーが登場し、最盛期800万部と言われた少年ジャンプの発行が可能になったのである。

2010-10-29 08:26:49
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

7●その延長線上に登場したのが、電子書籍という近代の印刷技術とは無縁の異邦人である。無縁どころか、印刷業界、書籍流通業界を無用にしてしまう破壊者である。

2010-10-29 08:27:23
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

8●現状の電子書籍コンソーシアムの賑わいは、電子書籍の未来への期待と渇望というより、職を奪われる側が中心となって作られた、非暴力のラッダイト運動ではないかと思われる。

2010-10-29 08:35:17
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

9●メーカーはともかく、中心になるべき出版社の煮えきれない態度がそれを表している。電子書籍コンテンツの流通の拡大は確実に、既存のリアル書籍の売上げを、今まで以上に押し下げるのは明白だからである。

2010-10-29 08:35:28
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

10●グーグルの電子書籍化の提案に対し、日本の出版業界は業界をあげて反対し、全く停滞したままだ。アメリカでは、グーグルの呼びかけに応えた出版社数はすでに25000社を超え、ほぼ大半の出版社が参加していることになる。

2010-10-29 08:35:43
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

11●日本は反対するだけで、独自の道を探るわけでもなく、放置のままである。無気力なラッダイト運動と言われても仕方ないだろう。

2010-10-29 08:35:56
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

12●日本の出版業界は、ニューメディアの時代から、こうした方法でぬらりくらりと時代の流れを停滞させながら生き延びてきた。しかし、永久に未来から押し寄せる波から逃げ切れるものではない。

2010-10-29 08:36:11
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

13●こうした閉塞状況の中で、ユーザーである読者の側から、世界的にも類を見ない、全く新しいムーブメントが起こりつつある。それは、版元が電子書籍を販売しないのなら、自前で電子書籍を作るという「自炊」と呼ばれている行動である。

2010-10-29 09:09:03
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

14●自分で購入した書籍を、断裁機とドキュメントスキャナーでPDF化し、iPadやKindleで読むのである。スキャナーは、評価の高い富士通のscansnapが爆発的に売れており、電子書籍自炊の流れが、少数のマニアだけのもではなくなっていることを示す。

2010-10-29 09:13:04
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

15●無気力なラッダイト運動の既存出版社に対する、強烈な草の根ユーザーの反乱であり、この流れは更に加速されるだろう。この動きは、日本の出版業界にとって無視できない大きな動きになるはずだ。

2010-10-29 09:13:19
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

16●ちなみにアメリカでの自炊の動きは聞かない。なぜなら出版社が電子書籍コンテンツ化しているので、手間暇かけないでもKindleで安く購入できるからである。

2010-10-29 09:13:49
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

17●すでに書籍のスキャン代行サービス会社が数社、登場していて自宅にある本を宅急便で送付すると、1冊100円でPDF化してくれる。また、自炊向けの本の断裁サービスを行う製本業者も現れた。

2010-10-29 09:14:34
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

18●断裁後の本のリサイクルを扱うサイトも登場したが、これはさすがに早々と撤退した。あくまでも個人で購入した本を個人でPDF化して電子書籍化することは、法律的に何ら問題はない。

2010-10-29 09:15:11
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

19●狭い住環境の中で大量の蔵書の山に、奥さんに嫌味を言われながらも、捨てるには惜しいと思われてる方は多いのではないか。自分の蔵書を電子化すれば、すべて解決がつく。

2010-10-29 09:15:31
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

20●書籍の電子化は、出版社がイニシアチブを取る前に、個人のレベルで急速に拡大しているのである。

2010-10-29 09:16:12
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

21●近いうちに、アマゾンジャパンが、データのダウンロード販売サービスを開始するという情報が入った。アメリカではすでにサービスインしているが、さまざまなデータ情報をダウンロードで販売するサービスが、本格化するだろう。

2010-10-29 09:31:19
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

22●他人の書籍のPDFデータを販売するのは犯罪であるが、著者自身が、自分の原稿テキストを再編集してPDFデータとして販売することが安易に可能になる。出版社・書店を中抜けして、著者が個人出版社になれる体制が着々と進んでいるのである。

2010-10-29 09:31:35
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

23●電子書籍の革命は、単に書籍を電子機器で閲覧することだけではなく、近代の印刷・流通にもたれかかっていた版元の立場を崩壊に追い込むだろう。

2010-10-29 09:31:48
橘川幸夫(きつかわゆきお) @metakit

24●インターネットはさまざまな局面において、根底的な中抜けを果たして古い業界に衝撃を与えた。出版業界も、著者がインターネットの海を介して、直接、読者と結合することが出来るようになる。

2010-10-29 09:32:04