イスラエルからの大脱出(エクソダス)? ― 超正統派ユダヤ教徒に対する兵役免除の撤廃とその行方

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直立演人 @royterek

1827年に導入された対ユダヤ人特別徴兵制では、各共同体に割り振られた一定数の12歳以上の男子(他の民族は18歳以上)に徴兵が課せられ、兵役期間は25年にも及んだ。運悪く徴兵された青少年の多くは、ユダヤ教の伝統的環境から引き離され、その結果キリスト教に改宗する者も少なくなかった。

2014-03-13 02:13:37
直立演人 @royterek

30年余りの治世の間に約600もの対ユダヤ特別法を施行したニコライ一世は、ユダヤ人を「有用な臣民」に鍛え上げるだけでなく、キリスト教に改宗させることにも意欲的だったと言われる。それ故、ユダヤ人の親たちの中には、我が子の手足をへし折ってまで徴兵にとられまいとした者もいたと言われる。

2014-03-13 02:12:58
直立演人 @royterek

「ラシ(の注解)とともにトーラーを学んだ方がいい。軍のお粥をすするくらいなら。生まれてこなかった方がよかった。ツァーリの軍服を着るくらいなら」(イディッシュ語の民謡)

2014-03-13 02:17:21
直立演人 @royterek

ちなみに、イェシヴァ(タルムード学院)に通うことを条件に徴兵が免除されるなど、イスラエル在住の超正統派ユダヤ教徒が例外的に教授してきた社会的特権は、イスラエルの建国直前に後に初代首相となるベングリオンと超正統派指導部との間に交わされた「紳士協定」(Status Quo)に基づく。

2014-03-13 02:23:30
直立演人 @royterek

シオニスト以前からパレスチナに居住してきたか、ナチの迫害を逃れてパレスチナに移住した超正統派ユダヤ教徒たちは、反シオニスト的スタンスから、「ユダヤ人国家」には原則反対してきたが、ベングリオンは、少なくとも体裁上は、超正統派からの「ユダヤ人国家」建国の支持もとりつけておきたかった。

2014-03-13 02:27:00
直立演人 @royterek

そこでベングリオンは超正統派ユダヤ教徒に対する「配慮」を見せて、兵役免除などの例外的な措置を認める「協定」に署名したが、ベングリオンは、彼にとっては「生きた化石」のようにしか見えなかった超正統派ユダヤ教徒のような存在など、近い将来に消えてなくなるだろうと高を括っていたと言われる。

2014-03-13 02:32:06
直立演人 @royterek

いずれにしても、超正統派に対する今回の徴兵免除の撤廃措置は、イスラエルに在住する超正統派の二極化をこれまで以上に劇的に促進することにつながるだろう。アシュケナジーム系で 反シオニスト的な超正統派からは、イスラエルを見限って再びディアスポラに活路を見出す者が続出してもおかしくない。

2014-03-13 02:55:29
直立演人 @royterek

というのも、ニューヨーク、ロンドン、パリ、アントワープ、モンレアルなどには、正真正銘の同胞たちによる強固で安定した共同体がすでに存在するのだから。

2014-03-13 02:59:24
直立演人 @royterek

一方で、イスラエル以外の地に生活基盤を求めるのが比較的困難であり、しかもシャス党を通じてイスラエルの国政に深く関与してきたスファラディーム系の超正統派の多くは、国外への移住のハードルが高いために、少なからぬ妥協を余儀なくされることは必至だろう。

2014-03-13 03:01:55
直立演人 @royterek

さらに、数的には今のところとるに足らないと思われるが、ユダヤ人入植地に多く居住する一部の右傾化ないし極右化した超正統派のグループ(「ハルダリーム(=ハレディーム+ダティーム:宗教・超正統派)」と言われることもある)のシオニスト化がますます進むだろう。これが最も厄介な人たちである。

2014-03-13 03:06:37