【twitter小説】水中に沈む花#1【ファンタジー】

スキュラの住む観光都市を訪れた二人の観光客。彼らはこの街の名物を観光しに来ましたが、二人はそこでアクシデントに見舞われます。小説アカウント @decay_world で公開したファンタジー小説です。この話は#4まで続きます
0
減衰世界 @decay_world

 彼女は潜水しようとしているらしいが、うまく沈めないようだ。スキュラは水中で呼吸できる。しかし、今の彼女はかなり苦しそうだ。まるで普通の人間が溺れているように手足をばたつかせている。不思議なことに、彼女の周りの水が赤みを増していく! 24

2013-10-26 13:39:37
減衰世界 @decay_world

 レッドは明らかに異常を感じていた。この湖には何かがある……そして彼女には何か目的がある! レッドはもがいているスキュラの娘と目があった。次の瞬間、彼は湖に飛び込んだ! レッドは泳ぎは得意だ。着衣水泳くらいならできる。 25

2013-10-26 13:44:11
減衰世界 @decay_world

「レッド、ロープを持っていけ!」  フィルは上からロープを投げる。ロープの先には重りがわりの浮きがついていて、レッドの目の前に落ちた。レッドはそれを掴み、器用に泳ぐ。今のところ何も異常はない。スキュラの娘は何に苦しんでいるのか……? 26

2013-10-26 13:48:25
減衰世界 @decay_world

 レッドは平泳ぎの形でゆっくりと娘に近づいていった。ロープは口にくわえ、後は彼女に手渡してフィルが引っ張るだけだ。だが、湖の中心に近づくにつれ、レッドもまた明らかに異常を感じるようになる。 27

2013-10-26 13:52:32
減衰世界 @decay_world

 水が妙に重いのだ。まるで油の中を泳いでいるように、水が身体に纏わりついていく。泳ぎの形が乱れるほど、水の重みは増しており息継ぎにも苦労するようになっていた。そして……レッドの目にもはっきり異常が見えてきた。 28

2013-10-26 14:00:02
減衰世界 @decay_world

 水が……赤いのだ。レッドの周りの水が急激に赤みを増していく。あと少しでスキュラの娘に近寄れそうなのに、あとひとかきが届かない。遠くから声が聞こえる。フィルの呼ぶ声だ。そしてそれにかき消されそうな……小さな声。 29

2013-10-26 14:05:13
減衰世界 @decay_world

「生贄……生贄を……お前か……」  確かにそう聞こえるのだ! 30

2013-10-26 14:08:05