10周年のSPコンテンツ!
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NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
(これまでのあらすじ:ネオサイタマの北東……産業道路沿いのさびれた村、カナリーヴィルは今、謎めいたアマクダリ要塞ロケット実験施設居住区に変貌していた。もとの住人は奴隷化され、逃げること許されず、屈辱的貫頭衣の着用を義務付けられて、過酷な労働に従事させられていた)
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(閉塞した地方自治体をロケット施設で振興する……降って湧いた開発計画がもたらす希望の未来が一転、このような悲劇に結びつくなど、ナイーブな住人達が果たして予測し得たであろうか。推進派はもとより、反対派の住人ですら、この状況は想像を超えたものであった)
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(改造された建物群の通路をクローンヤクザや飛行ボットが巡回し、鋼鉄ゴーレムニンジャが徘徊する。ナムサン。だが、希望を捨てるにはやや早い。ロケット陰謀に勘付いた者達……ニンジャスレイヤー、レッドハッグ、ナンシー、サヌマの四人が、陰謀を阻止すべく潜入。行動を開始したのである)
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(鋼鉄ゴーレムニンジャとの断続的戦闘を強いられながらも、ニンジャスレイヤーはついに、脱走して潜伏するレジスタンス村人とのコンタクトに成功。たまたま村に帰省した少年、ハマも、ナンシー達が保護している。数カ所の居住施設に押し込められた奴隷村人を解放し、暴動を起こすのだ!ガンバレ!)
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「スケジュールの点で我々に落ち度はない。理想的と言ってもよい」ユリシーズは言った。「為せば成る」「うむ」どこか浮世離れした厭世的なアトモスフィアを漂わせるユリシーズはもとより、ヘファイストスの目にも楽観の色はない。ユリシーズはヘファイストスを見、もう一度尋ねた。「首尾は」1
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「それを確かめるにはコーナラーを一度呼び戻さねばならん」ヘファイストスはむっつりと答えた。「その間、警戒と探索が手薄になる」「ままならんな……貴公のブードゥーは」ユリシーズが無感情に呟いた。ヘファイストスはやや険しく言った。「だが、強い」 2
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「否定せんよ」ユリシーズは言った。ヘファイストスは納得しなかった。「ブードゥー呼ばわりもやめろ。コーナラーはアーティファクトだ。優雅で強力な古代のジツの体現だ。この地のセキュリティは奴のカラテに負うところが大きい事、忘れるな」「否定せんよ。その通りだ。有害電磁波を差し引いても」3
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一言多いニンジャだ。ヘファイストスはユリシーズを睨んだ。実際、コーナラーの体内に燻るジツの炎は電磁波の発生源であり、記録カメラの類を拒む。コーナラーはヘファイストスの忠実な下僕であるが、ヘファイストス自身ではない。ジツをかけ直す際に記憶を吸い出すまで、正確な成果はわからぬ。 4
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「兵卒の点呼に乱れが生じている」廊下を歩いてきた第三のニンジャがいきなり会話に加わった。「好ましからぬインシデントを感じる」「ドーモ。ロングカット=サン」「ドーモ」二人はアイサツした。「ドーモ」ロングカットはオジギを返した。右腕には特徴的なガントレット。スナイパースリケンだ。 5
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ロングカットは謎めいた暗殺クラン「シャーテック」の出身であり、極めて遠い距離にスリケンを投擲するスナイパースリケンのワザを受け継いでいる。アマクダリ・セクトには何人かのシャーテック出身者がいた。「メフィストフェレス=サンが来るのか?」「らしいぞ」「物見遊山よな」6
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「ならば尚更、懸念は断つがよかろう」ロングカットは言った。「虫の一匹を捕らえた」「虫?」ヘファイストスは彼女を見た。「反動分子か」「然り。其奴を練り餌にして残るシロアリをおびき出し、一網打尽だ」ロングカットは目を細めた。それからユリシーズを見た。「どうした。何か言いたげだな」7
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「それは脱走者の一匹か」「ああ、そうだ。レジスタンス気取りのカス共に合流しようとしていた」「それはグッドニュースではあるが、所詮は非ニンジャ……」ユリシーズはなにか言いかけ、やめた。「否、まあいい。進めるといい」「お前の物言いはどこか不愉快だ」「同意するね」とヘファイストス。8
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「お前は何か気にしている。それは形のないものか」「然り、形のない予感だ。ゆえに議題に載せるには弱い……」ユリシーズは呟く。「とにかく言え」「兵卒に生じた波紋、貴公のブードゥーの動き、そうしたものだ。レジスタンスは所詮非ニンジャの屑。それと別種の異物を感じる。この地にな」 9
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「不愉快だがお前のニンジャ第六感は特に鋭い」ロングカットは言った。「頭の隅には入れておくさ」「……やはりコーナラーを一度戻す」ヘファイストスも認めた。「そうすればはっきりする。余所者を仕留めているかもしれん」三人のニンジャは通路を進み、青いUNIX光で満たされた管制室に入る。10
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壁の一面はガラス張りで、このタワー周囲の空白地を見下ろすことが出来る。空白地の先に、彼らが手中に収めたくだらぬ村、カナリーヴィル居住地。光はまばらだ。ネオサイタマとはまるで違う闇である。ヘファイストスは管制室を横切り、床の間のショウジ戸を開けると、重箱のスシを食べ始める。 11
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ロングカットはそれを横目に見ながら、UNIXデッキを操作し、IRCメッセージのキャッシュ確認を始める。ユリシーズはガラス窓の前で佇み、動かない。ヘファイストスはスシを食べ続ける。ジツのエネルギーのためだ。……ガゴンプシュー。「到着ドスエ」やがて床の間の逆方向のフスマが開く。 12
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「ああ皆さんお揃いですか」ブツブツと呟き、頭を搔きながらエレベータから出てきたのは、ネルシャツと色あせたジーンズ姿の男。油っこい髪を撫で付け、メガネには指紋がつき、シャツのポケットに5,6本のボールペンが収まる。三人のニンジャも特に彼に注目しない。彼がフクトシン博士である。 13
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「忘れ物をしたんでね」博士の落ち窪んだ目は、誰のことも見ていない。ロングカットの横を通過し、キャビネットからファイルを回収した。ロングカットは巡回クローンヤクザ部隊からの通信キャッシュ確認を続ける。彼女も博士の事はほとんど無視に近い。博士は"非ニンジャの屑"だからだ。 14
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「大規模な破壊痕跡が複数確認された」ロングカットが呟く。「お前だ、ヘファイストス=サン」「コーナラーは理由も無しに破壊行動などせぬ。注意深く調整されたアーティファクトだ」ヘファイストスはスシを食べ終え、床の間を出る。「戦闘痕だとよ。第六感が裏付けられたか?ユリシーズ=サン」15
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「そうか」ユリシーズはほとんど上の空で答えた。彼はガラス越しに闇夜を見ていた。ヘファイストスは思い出したように尋ねた。「どんな気持ちなんだ?栄光か?恐れか?」ユリシーズは答えない。フクトシン博士はデスクの引き出しからレポート類をかき集めながら、その姿を盗み見るように眺めた。16
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ロングカットはUNIXモニタから顔を上げた。「捕らえた脱走者が下に連行されてきた。今からちと、作業をしてくる」スタスタとエレベータのフスマに歩き、中へ消えた。「ああ、私も乗ります」博士が後を追った。「俺はコーナラーとリンクする」ヘファイストスは先程入ってきたゲートから出た。 17
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廊下を歩きながら、ヘファイストスは胸中にしこりのような不安がわだかまるのを感じる。何らかの敵対者がこのカナリーヴィルへ潜り込んだとすれば、それは誰だ。答えの幅はそう広くない。……そう広くはない。 18
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2014年3月21日
ヒア・カムズ・ザ・サン #1 http://togetter.com/li/638869 ヒア・カムズ・ザ・サン #4 http://togetter.com/li/645031
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