ケンペイ天狗「ダンシング・バックトゥーバック・ウィズ・テング」

ANA @ANIGR

これはネオヨコスカを影から牛耳る巨大軍閥、グンレイ・アクシズのマークである！『グンレイ……！』龍驤にとっても因縁浅からぬ相手、龍驤の顔に苦渋の表情が浮かぶ。その時―――　３９　#ケンペイ天狗

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―――その時、黒と緑で構築されていたデータベース和室空間が、突如赤と黄色の警戒色に変わる！『BEEP!!BEEP!!』けたたましいサイレン音！『……何も起こらないってのを期待したんやけどなー！』　４０　#ケンペイ天狗

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『BEEP!グンレイIRCへの不法接触を検知。直ちにスラッシャーを送り込みます』無慈悲なマイコ音声と共に、データベース空間の中に３ダースはいようかというファイアーウォール・イノシシが出現！龍驤へ猛然と体当たりを仕掛ける！『ブモォーッ！』　４１　#ケンペイ天狗

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「アカン、バレた！」龍驤は瞬時に状況判断し、LANケーブルを引き抜いた。龍驤の視界からイノシシが消え、黒と緑の世界が本来の色を取り戻す。強制接続切断によりニューロンが灼かれるのを感じながら龍驤は即座に目の前のUNIXを片手で叩き潰した。逆探知防止である！　４２　#ケンペイ天狗

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グンレイ・アクシズが関わっているのは龍驤にとって想定外だった。恐らく奴らならば容易に逆探知をし、口封じの刺客を差し向けてくるだろう。「RJ＝サン！？どうしたんですか」「説明は後！早く逃げ――」CRUSH！その瞬間、部屋の窓を破り部屋に突入してくる影あり！　４３　#ケンペイ天狗

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「ハワワオワー！？」龍驤の加速したニューロンが電の悲鳴とゆっくりと飛び散る窓ガラスの破片、そして突入してきた人型の影を捉える。これは……艦娘！アンブッシュか！龍驤の身体が反射的にカラテ防御をとる！「イヤーッ！」直後、強烈なトビゲリが龍驤を襲った！　４４　#ケンペイ天狗

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「ンアーッ！」ガードでは勢いを殺しきれず、龍驤の小さな身体が提督机に置かれたUNIXを巻き込んで吹き飛ぶ。更に追撃すべく龍驤へと飛びかかる侵入者、その手には恐るべきヤリ、串刺し狙いか！「イヤーッ！」龍驤は受け身を取るとこの追撃を側転回避！ヤリはUNIXを貫通！４５　#ケンペイ天狗

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「ドーモ、龍田だよ～。」侵入者……龍田はヤリをUNIXから引き抜くと龍驤に対しオジギをする。ゆったりとした口調であるが、紫の髪越しに見える瞳は冷酷そのもの……。その胸は豊満である！「ドーモ、龍田＝サン、RJです 」龍驤もオジギを返す。その胸は平坦であった。　４６　#ケンペイ天狗

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「貴方が不法ハッカー？悪い子は始末しないとねぇ～」「ちょっとしたイタズラや、堪忍やで。まあ、キミらがしたことはイタズラじゃ済まんようやけどな」龍驤は軽口を叩きながら後ろを見る。電を連れて逃げるのは厳しいか。「天下のグンレイ・アクシズがボーキ強盗殺人とはなあ」　４７　#ケンペイ天狗

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「……。さあ、なんのことかしら～？」龍田は一瞬眉を跳ねさせると、威圧的にヤリを構える。薄紫に光るヤリの刀身に刻まれるは「ドエス」のルーンカタカナ。「ドン・ハリマ鎮守府麾下、軽巡龍田。ハリマ元帥の艦娘の手にかかることを光栄に思って、ありがたく沈みなさぁい」４８　#ケンペイ天狗

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「ドン・ハリマ、ねぇ」「そうよぉ。知ってるでしょ？グンレイの偉大な首領」「そらもう。私的な恨みがあるからなぁ」龍驤は自身の周りに紫電改ニと天山九三一をビットめいて巡らせると、龍田を睨み返した。「こちとらゾンビみたいなもんや、沈められるもんなら沈めてみい」　４９　#ケンペイ天狗

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（「ダンシング・バックトゥーバック・ウィズ・テング＃２」おわり＃３へつづく） #ケンペイ天狗

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【ダンシング・バックトゥーバック・ウィズ・テング＃３】　　#ケンペイ天狗

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ネオヨコスカ沖で船が燃えている。ボーキサイトを満載した海軍の輸送船が。工業排水と重金属酸性雨に侵された水面が、船から吹き上がる炎を反射し、血のように赤く染まっている。　１　#ケンペイ天狗

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護衛についていた艦娘達は既に全員が気を失い、艤装の力だけで水面にゆらゆらと浮いている。炎がくまなく舐める甲板の上に立つのは二人の男。ひとりは床に尻もちをつき恐怖に顔を歪ませた提督。もうひとりは……テング・オメーンを被った狂人！　２　#ケンペイ天狗

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「ドーモ、ナオマス＝中佐、ケンペイ天狗です」憤怒の形相のテング・オメーンがナオマスを威圧的に見下ろす。ケンペイ天狗の腰にはここに来るまで殺してきたであろうブラック提督達の生首が３人分、巾着めいてぶら下げられている。それはまさに理不尽な憎悪の暴風であった。　３　#ケンペイ天狗

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「私の名を騙り不都合な提督を暗殺、更にその資源まで収奪する。なるほど貴様らグンレイ・アクシズの考えそうなことだ。喜べ、貴様らグンレイが捏造する新聞の死亡欄に、数少ない真実として貴様らの名を加えてやろう」テング・オメーンの奥の瞳が赤く光る。深海棲艦の光。　４　#ケンペイ天狗

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「アイ、アイエエエ……」根源的恐怖にナオマスは尻もちをついたまま後ずさった。グンレイ・アクシズ所属であった彼は、総帥ドン・ハリマから直接の任務を受けて強奪ボーキサイトをグンレイ傘下の工廠へと輸送する任務についた。それは出世を望む彼にとり新たなステップだった。　５　#ケンペイ天狗

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ヨクバリ・プロジェクト。大型建造で新型装甲空母建造、その材料となるボーキサイトはグンレイに反抗的な提督を殺して確保する。まさにアブハチトラズのグンレイ一大プロジェクトだ。末端とはいえこの輝かしい計画に関わったナオマスを待っているのは成功と出世だったはずだ！　６　#ケンペイ天狗

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それが、こんな！ネオトーキョー湾内を密かに航行するだけの任務に、どこで嗅ぎつけたかケンペイ本人が現れようとは！食い止めるために特攻を命じた駆逐艦達はケンペイに傷すらつけられなかった。（役立たずめ！）ナオマスは胸中で吐き捨て、ケンペイを媚びるように見上げる。　７　#ケンペイ天狗

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「ケ、ケンペイ天狗＝サン。こ、これには深い事情が……」「そうか、ならばその事情とやらより深く後悔せよ」身を灼く炎を気にもとめず、ケンペイはナオマスの首を掴み吊り上げた。「アイエッ！」ナオマスが宙に浮いた二本の足をばたつかせるも、ケンペイの腕は微動だにしない。　８　#ケンペイ天狗

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「ヨクバリ・プロジェクト」「！」「私は常に貴様らブラック提督を監視している。貴様らの陳腐な計画など全て私が叩き潰し、水の泡に変えてくれよう。計画の実行犯は３人殺した、キサマが最後だ」ナオマスを吊り上げたままケンペイが歩き出す。向かう先は燃え上がる、炎の海。　９　#ケンペイ天狗

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「ま、待て！」「サツバツ……」ナオマスの首を掴んだままのケンペイの手が、燃え盛る炎へと差し入れられる。炎がナオマスの靴、そして軍装の裾へと燃え移りナオマス自身を生きたまま焦がし始める。「アバッ、アババーッ！？」ナ、ナムアミダブツ！マルヤキである！　１０　#ケンペイ天狗

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「さてナオマス＝サン、インタビューだ。答えればすぐに殺してやろう」「アバッ……」炎がナオマスの脚を燻していく。「今回殺されたコイチ提督。遺された艦娘達は今後どうなる？」「アバッ……アバババッ……」「答えろ」炎がナオマスの背中を舐める！「アバーッ！？」　１１　#ケンペイ天狗

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「アバッ、全員捨て艦に使う手はずがついている。今頃"収穫役"が向かっているはずだ」「そうか」「アバッ、助けにいく気か？無駄だ、収穫役はグンレイ・エイトエイツの一人、確実にお前を殺すだろう！自己満足の狂人め、お前は結局誰一人助けられないのだ！アバババーッ！？」　１２　#ケンペイ天狗