イッツ・ア・サツバツ・ワールド

鼠 @nezumi_a

着ぐるみが起き上がり、エーリアスと握手をした。エーリアスは着ぐるみに抱きつき、振り返った。「じゃあ、次にいこうぜ！」しかし、「エ？」エーリアスは笑顔の観衆の中で、一人立ち尽くしていた。「モリタ=サン？」そこにフジキドの姿は無かった。

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ホワイトエド城地下。発電施設。大型のジェネレーターがタノシイランドを保つために黙々と仕事をしている。そこに、「イヤーッ！」赤黒の疾風が舞い降り、張り巡らされたケーブルの上に着地をする。ニンジャスレイヤーの目の前には「普段は開けない」と書かれた非常ドア。ためらいなくノブを捻り切る。

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そこはダンボールが山と積まれた倉庫めいた部屋だった。フジキドは箱のひとつを開ける。中には、おお、エーリアスらが身に着けていた耳型カチューシャである。フジキドはナンシーから渡された探知機を取り出し、カチューシュに向けた。すると液晶画面に「電波ドスエ」の表示。と、その時。

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「そこで何をしているのかな？」背後からの誰何に、フジキドは０コンマ３秒で振り向き即座にアイサツ！「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」オジギから頭をあげたフジキドが見たものは、テーマパークのメインマスコットであるミッ01ーマウス。その着ぐるみだった。

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「キミの名前はニンジャスレイヤーっていうのかい？ハハッ」マスコットは笑う。そしてアイサツを繰り出してきたのだ！「ドーモ、ミッ01ーマウスです」アイサツは古事記の時代からのニンジャ習性のひとつである！ニンジャのアイサツに返礼したこの着ぐるみは……まさかニンジャだというのか！？

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「ここは関係者以外立ち入り禁止だよッ」大げさな身振りで言う。「関係者だ。オヌシをサンズリバーに送る係というな」ニンジャスレイヤーはカラテを構える。対するミッ01ーマウスは自然体。しかしフジキドは相手から漂う只ならぬカラテアトモスフィアを感じ取っている。これは、相当の手錬。

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「ずいぶん物騒だね？ここは夢の国、ここではそんなコワイ顔をしていてはダメさ！ハハッ」「ほざけアマクダリの走狗め。オヌシを殺し、この馬鹿げた箱庭も看板に偽り無くユメマボロシに消し去ってくれよう。ニンジャ、殺すべし」「アマクダリ？」ミッ01ーマウスが首を傾げた。そこへ「イヤーッ！」

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ニンジャスレイヤーが４枚のスリケンを放った！着ぐるみは頭が大きく実際狙いやすく、分厚い手袋はスリケンを投げ返すには不得手！「ハハッ！」ギャリン！しかし死のメタファであるスリケンは逸れた！背後の闇で破砕音が４つ！一体いかなる防御行動を取ったのか！？

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皆様の中にニンジャ動体視力の持ち主が居られれば目にできたはずである！スリケンが命中するその瞬間、ミッ01ーマウスはその鼻を高速振動させ、死の刃を弾き飛ばしていたのだ！しかも複雑な軌道を描く４枚すべてを防御したのである！ゴウランガ！なんたる摩訶不思議な防御カラテか！

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「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーが駆けた！三十メートルの距離を一気に詰め、カラテ距離へと移行！疾走の勢いをそのままに頭部を狙ったジャンピングパンチだ！「ハハッ！」ミッ 01ーマウスはこれをブリッジで回避！巨大な頭部をものともしない軽快な動き！そのまま背後へ反転跳躍！この動きは！

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「グワーッ！？」これは暗黒カラテ奥義、サマーソルトキック！ニンジャスイレイヤーは顎をカウンターで蹴り上げられ垂直に吹き飛んだ！弾丸めいた勢いで天井に激突！「グワーッ！ 」しかし落下中に反転、スリケンを高速連射！「イヤーッ！イヤーッ！イヤーッ！イヤーッ！」スリケンの雨アラレ！

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しかし！「ハハッ！ハハッ！ハハッ！ハハッ！」ミッ01ーマウスはダンスめいた動きでこれを回避！更に鼻防御でスリケンを反射！ニンジャスレイヤーの着地を狙う！「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは空中制御で身体を垂直に立てると高速キリモミ回転！一瞬だけヘルタツマキを行い滞空！スリケン回避！

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「ハハッ！」ミッ01ーマウスが踏み込む！ニンジャスレイヤーの着地の隙をつきその手を掴む！「トモダチ！」「グワーッ！」ナムサン！ユウジョウ握手だ！さらに高速で上下に振る！ 「グワーッ！」ミッ01ーマウスのニンジャ筋力によるシェイクハンドがニンジャスレイヤーの腕を破壊せんと荒れ狂う！

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「ハハッ！」「イヤーッ！」握手からのジゴクめいたハグを、ニンジャスレイヤーは紙一重で回避！５連続バクテンで間合いを取った！（おそらくはハグからの高速鼻振動カラテのコンビネーション、まともに喰らえばひとたまりもなかっただろう）ニンジャスレイヤーは分析し、メンポの下に冷たい汗をかいた

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カラテを交錯し、フジキドは着ぐるみだと思っていた相手が、そうではなくそういう姿の生き物であると気づいた。「ヨロシサンのバイオニンジャか……」いずれも強敵だった。今回も楽にはいくまい。しかし「ニンジャ！殺すべし！」決意は曇りなきカタナめいてフジキドのカラテに宿る！「イヤーッ！」

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「まだやるのかい？ハハッ！」ミッー01マウスが構える！振り下ろされるニンジャスレイヤーのチョップ！ハヤイ！「ハハッ！？」ミッー01マウスはクロスアームでこれをガード！尋常ならざるニンジャ反射神経！しかしこれは悪手！ニンジャスレイヤーは既に次のカラテムーブメントに！「イヤーッ！」

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ガードの上がった所に中段正拳突き！ポン・パンチだ！「グワーッ！」身体をくの字に折り吹き飛ぶミッー01マウス！背後の発電機に激突！破壊！感電！「アバーッ！」カートゥーンめいて発光痙攣するミッー01マウスめがけニンジャスレイヤーが決断的跳躍！「ニンジャ！殺すべし！」ドラゴンドビゲリ！

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ジゴクのオニが振り下ろす憤怒の金棒めいたニンジャスレイヤーの蹴撃が、高速振動するミッー01マウスの鼻を蹴り潰し、そのまま頭蓋骨を粉砕貫通、ニンジャスレイヤーは首を失ったミッー01マウスの背後に着地した。「サヨナラ！」ミッー01マウスは爆発四散！「と、思ったかな？」

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ニンジャスレイヤーは、己がアイサツした場所から一歩も動いていない事を察した。「ゲン・ジツだと」見ればミッ01ーマウスも生きている。認めなくてはならない。(((フジキド！そやつはタノシイ・ニンジャクランのアーチニンジャだ！１匹ならどうということは無いが、とにかく数が多い！)))

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（残さず殺すまで）(((その気概やよし、しかし今は控えよ、彼奴に及ばぬとはいえそこそこの使い手が山のように沸いてくるのだ！それが奴のジツよ！)))（ポータルの類か）(((然様。ほれ、見よ)))ナラクの言葉通り、ミッ01ーマウスの周囲には、いつの間にか複数のニンジャの姿があった。

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犬、アヒル、その他様々な着ぐるみめいた装束のニンジャたち。園内いたるところに居た着ぐるみ、その全てがニンジャだったということなのか！？フジキドはカラテを構えるが、その間にも続々とニンジャが召喚されていく。もはや、包囲陣と化していた。「ヌウウーッ！」

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「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ」

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「ドーモ……、ニンジャスレイヤーです」ニンジャスレイヤーはアイサツをした。もはや逃げることすら叶わぬ状況か。これほどのジツを持ったニンジャがまだいたとは。そして、ソウカイヤよりも前にネオサイタマに存在していたとは。「ニンジャスレイヤー=サン」ミッ01ーマウスが歩み出る。

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「キミはここに何をしに来たんだい？教えてくれないかな？ハハッ」ニンジャスレイヤーはカラテを解き、争う意思が無いことを示した。そして言った。「オヌシらがしている事を止めに来た」「している事だって？」「左様」フジキドは頷き、先ほど手にした耳型カチューシャを掲げる。