- kojirase_tokiya
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「……都合に沿わないのならば、遠慮なく言ってくれて構わないぞ」 「よ、宜しいんですか! 私と二人っきりで!!」 「? 別に、構わないが……」 「行きましょう!!! 是非!!! 是非!!!!」
2014-04-05 13:44:18「うわっ、まぶし…!」 「イッチーのあの茶番に付き合うために薄暗い場所でずーっとスタンバってたから、そりゃあ外の太陽も眩しく感じると思うよ」 「誘うまででもうかなりぐだぐだだったけど、トキヤ大丈夫かなあ…」 「あの様子を見ると大丈夫じゃなさそうだけどね。手と足両方同時に出てるし」
2014-04-05 13:46:20「おお……確かに満開だな」 「そうですね。ぼんぼりのように、花自体が丸く集まっているものも可愛らしいですが、やはり枝に均等に花をつけているものが風流で美しいです」
2014-04-05 13:47:15「最近ぼんぼり型が増えてきたな。ぼんぼり型は愛らしいが、俺も枝に均等に花をつけているものが一番良いと思う。淑やかで趣があるな。京都の景色を思い出す」 「そうですね。淑やかで趣があります」
2014-04-05 13:49:13「うん。聖川のことガン見しながら言ってるね。多分桜じゃなくて桜と聖川のハッピーセットを満喫してるねイッチーは」
2014-04-05 13:49:44「おや……」 「? どうしました。何か落としましたか?」 「いや、散っている桜の花びらの中で、一輪丸ごと落ちているものがあってな」 「……傷もついていなくて、綺麗ですね」
2014-04-05 13:50:52「やはり今年の桜は例年のものよりも色が薄く、白っぽいな。そこがまた妖艶で良い」 「そうですね。妖艶で美しいです」 「夜になり、光に照らされれば尚映える事だろう」 「…………」 「……トキヤが白昼夢見てる」 「……イッチーの妄想力が爆発してるね」
2014-04-05 13:51:32「? どうした、一ノ瀬。白昼夢か?」 「! い、いえ、何でも! 別に風呂上がりの聖川さんの着流し姿の妄想はしていませんよ!! 赤く上気した頬に差すライトが美しくまた背後で揺れる枝から舞い散る白い花びらがその妖婉さを引き立てているなんてそんな事考えてませんよ!!!」 「そうか」
2014-04-05 13:53:00「突っ込み不在かつド天然の聖川が居合わせるとあそこまでカオスになるんだね…」 「トキヤは本来は突っ込み役なんだけどマサと二人っきりになった途端に使い物にならなくなるからね」
2014-04-05 13:53:32「しかしこの通りは夜になればまた違った美しさを見せるだろうな」 「えっ、駄目です、駄目です聖川さん!! やっと初春が来たからと言ってまだまだ夜は冷えます!!! そんな時に湯上がりで着流し姿なんて体を冷やします!!」 「?」 「あっすみません今のは白昼夢です忘れて下さい!!!」
2014-04-05 13:54:26「土手の方の桜の咲きぶりも見事だな」 「たしか、土手に桜を植えるのは古い知識だそうですね」 「そうなのか?」 「はい。地盤が安定しない土手に桜を植えると、こうして人が花見に寄ってくるのでそれで土が踏み固められるそうです」 「なるほど。先人の知恵とは偉大なものだな」 「ええ」
2014-04-05 13:56:16「また、桜の木の下には~という都市伝説もありますが、あれは昔、戦争で亡くなった方を供養する墓標のために桜が植えられたという通説があるそうです」 「……供養する墓標が桜か。この花の散る姿は、人の命の尊さを思わせるようだな」 「そうですね」
2014-04-05 13:57:11「一ノ瀬は相変わらず博学だな。話していて興味深い」 「ありがとうございます」 「ここ最近必死に勉強してたからね」
2014-04-05 13:57:57「それに、なんだかんだ言って一番俺と趣味が合うのも一ノ瀬だからな。お前と一緒にいると、とても気が楽で、楽しい」 「……!!!」(チュイーン) 「ねえイッキ、今の『チュイーン』って音、何?」 「ああ、あれ? トキヤの愛用録音機だよ。マサの声を録音してるんだよ」 「…………」
2014-04-05 13:58:56「!!! そんな、滅相もない!! 私からすれば聖川さんの手ずから頂けるものは全て国宝級です!!! これも家に持ち帰り次第すぐに押し花にして大事に保管します!!」 「押し花か。それは良いな。一ノ瀬は本を読むのが好きなようだし、栞にして使って貰えれば嬉しい」 「栞にします!」
2014-04-05 14:00:40「……おや。もう桜の道も終わりか。残念だな」 「そうですね……もう時間も時間ですし、そろそろ帰りますか」 「小腹が空いたような感じもするし、軽く近くの店で食事をしてから帰ろう」 「!! 聖川さんと二人の食事!! 是非!!!」
2014-04-05 14:01:33「お前のお勧めの店などはないだろうか……」 「そうだ。この前愛島さんから教えて頂いた和食屋さんがこの近くに……」 「ほう」
2014-04-05 14:02:31「…………」 「…………」 「終わったあああああっ」 「何だろう。たった数時間の出来事だったはずなのにどっと疲れたよ……」 「何か尾行っていうより後ろでひたすら突っ込みしてたような気がする……」
2014-04-05 14:03:41「あの二人はもう大丈夫……っていうより、何で尾行してたんだろうね。バカバカしい」 「レンはマサの事心配だったんでしょ?」 「えっ?」 「少なくとも俺はトキヤの事心配だったけどな」 「…………」 「とりあえず俺もお腹ぺこぺこ。ねえレン、どっかで食べてこー」 「…………。ああ、うん」
2014-04-05 14:04:26「どこにするんだい?」 「んー、さっきトキヤが言ってた和食屋さん?」 「もういいよ、あの二人は見てるだけで疲れるから」 「じゃあファーストフード行く? レン初めてでしょ?」 「あー、手で食べる奴? 汚れるから嫌なんだけどなあ」 「食べてみたら病み付きだよ。一回行ってみよーよ」
2014-04-05 14:05:20(…………) 「どうした一ノ瀬。かろりーを気にしているのか?」 (あの二人め……結局最後までずーっと後ろでぼそぼそぼそぼそ……折角聖川さんと二人っきりの散歩だったというのに、集中出来ませんでした。後でお説教です……) 「? 一ノ瀬?」
2014-04-05 14:06:12