悪い男に騙される山城【解】『HAruna's waRD』 三次創作「CobraHistory」~プロローグ1~
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「えー…んんっ。コブラ提督、君をここに来させた理由が…分かるか?」 俺より髪がボサボサで、年老いた爺さんが俺の目の前にいる。 「なんだ?俺にはさっぱりだ。」 …嘘だ。 この老人はこの鎮守府の責任者の一人、主に人事異動について担当をしている。 名前は確か、「水谷」と言ってた。
2014-04-07 10:05:58この爺さんに呼び出されるとすればその内容は簡単だ。 「君に…異動するよう命が下された。」 …まったくだ。 この鎮守府全体を脅かす出来事があったからだ。 榛名、山城、最上、夕張、金剛、そして多数の提督。紫水。 多くの艦娘が、この出来事に関係している。
2014-04-07 10:13:03もちろん、俺も関係している。主に榛名と山城…それに、過去に沈んだはずの新月。 思えば随分と前から彼女達に接触していた。
2014-04-07 10:16:36「…異動先は?」 前まで起きていたことをある程度で思い出すのを止め、水谷に聞く。 「君が過去に勤めていた所。前線の中の前線だよ。」 …トラック泊地。 数ヶ月前まで俺はそこにいた。荒れ狂う戦況の中、陣頭指揮と艦娘の治療やカウンセリングをしていた。
2014-04-07 10:20:39「準備期間は一週間。お前の部隊の奴も、艦載機も、艦娘も同行だ。これは上層からの決定事項でもある。お前が過去にどんな戦果があろうとも、前の戦争の事も関係ない。分かったな?」 「ああ、分かったよ。」 軽い返事をして、部屋から去ろうとする。 「…まだ話は終わってないぞ。」
2014-04-07 10:26:01「なんだい?」 振り返り、もう一度その老いた身体を正面に見る。 「…本部から客が来てる。お前を良くは思わない奴だ。」 分かった。もういい… 話を途切れさせるように部屋を出る。怒鳴り声で呼び戻されそうだったが何もなかった。 急いで執務室に向かう。
2014-04-07 10:30:34……結局はこうなる運命だった。 俺はここにはいられない。安泰な生活を送ることは許されない。 椅子に腰掛け、机にひじを打ちつけ手に顎を乗せる。 ベルトに付けてあるポーチから葉巻を取り出して吸い始める。 …今日は少し味が良くないみたいだ。
2014-04-07 10:35:24葉巻を吸いながら、この先の事を考える。 一週間という短い期間。部隊員や俺が開発してた兵器の輸送準備に早くても3~4日はかかる。その間にこの執務室を最初の時みたく何もないようにしなきゃならない。 …ふと一つ、していないことを思い出した。 「…あいつらに、顔をあわせないとな…」
2014-04-07 10:40:17…右側にある衣装棚の中から黒いスーツを探す。少しボロくて、色あせているやつ。 「あったあった…へへっ、いつ見ても変わらねぇな。」 取り出して早速着始める。汗と潮と、よく分からない匂いが鼻を刺激する。 …ドアを叩く音がする。 「ああいるさ、誰だ?」 扉が開く。
2014-04-07 10:46:54瑞鶴が元気良く飛び出して興味を示すように俺を見る。 「ん?ああ…ちょいと、行く所があってな。」 「ふ~ん…あ、ねぇ…?」 何か言いたそうだが、あまり意識を向けられない。
2014-04-07 10:52:37スーツを着終え、身だしなみを整える。 「そういや瑞鶴、今日はお前を秘書に呼んでいたな。執務を頼んだ。」 えぇー?と落胆するが、すぐさま元気を取り戻して笑顔になる。
2014-04-07 10:57:43そう言って抱き着く。 ……姉や、他の正規空母と比べるとやっぱりないなぁ… とりあえず、腕を引き離そうとするが、力が強い。 仕方なく椅子まで誘導して力強く強制的に座らせる。
2014-04-07 11:05:21「そこでちゃんと秘書をしてろよ?」 言い聞かせ、部屋を出る。 …外の日差しはまだ真上ではないが、多少暑く感じる。だがそれを長く気にするほど時間は残っていない。 俺はある場所に向かうために、歩き始めた…
2014-04-07 11:09:42