“意識に沈む”

かく たべる
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浅欺@TO THE TOP!! @asagi01dog

その部屋を開けた瞬間に大きな何かが体を襲った。それは重たく、冷たくも熱い。思わず膝を着いた先で視界を釘付けにしたのは、部屋一面を覆い尽くす、たくさんの楽譜だった。

2014-03-30 20:20:39
浅欺@TO THE TOP!! @asagi01dog

どれも奏でるにはめちゃくちゃな形で、くしゃくしゃな紙にまるで何かに取り憑かれたかのように隙間なく、壁も床も天井も埋められていた。

2014-03-30 20:24:25
浅欺@TO THE TOP!! @asagi01dog

感情の海が押し寄せる。書く書く書く。書き続けなければならない。完成させなければならない。書く書く書く。書き続けろ。そうでなければ、

2014-03-30 20:30:06
浅欺@TO THE TOP!! @asagi01dog

涙が溢れた。何を感じたか、そんなものは解らない。ただただ圧倒され、息を詰まらせそうして起こった一つの変化が涙だった。あとからあとから溢れ出す。開いたままの瞳が痛かった。

2014-03-30 20:32:10
浅欺@TO THE TOP!! @asagi01dog

其所にいるはずの、いない誰かが恋しかった。手を伸ばして、何かを言ってあげられたなら。いや、きっとそんなことをしても気付かれはしなかっただろう。そんなにも彼はそれしかなかった。

2014-03-30 20:34:34
浅欺@TO THE TOP!! @asagi01dog

蒼い宝石を噛み砕く。薄く、水に近い方がいい。氷のように冷たく、刃のように刺す宝石。舌で転がして噛み砕いて飲み干し、それを幾重も繰り返す。

2014-03-30 20:40:45