ヒフウ・イン・ナイトメア・フロム・リューグー#6

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@nezumi_a

赤い警戒灯の中、一人の男が立っている。「キサマらか、こそこそと嗅ぎ回っているのは」そこには体格に対しアンバランスに大きい頭部をネイビーブルーの頭巾で覆った姿。人間とも思えない気配。なにか計器で測定したわけではないが、人間とは違う異質な何かが滲み出ている。49

2014-04-10 21:17:24
@nezumi_a

冷たい手で心臓を掴まれるような根源的な恐怖。本能的な失禁を堪え、メリーが恐るおそる口を開く。「貴方は……妖怪?」メリーの眼で視ても人間とは言い難いアトモスフィアを纏っている。 「ヨウカイ?妖怪ナンデ?」男はヘラヘラと笑った。頭巾で見えないが侮蔑の表情を浮かべている。50

2014-04-10 21:20:05
@nezumi_a

「ドーモ、俺はテルビューチェ。ニンジャだ」「ニンジャ!?」蓮子は思わず聞き返した。ニンジャ。秘封倶楽部は過去に存在した半神的存在を知識として知っている。忍者とは違う。ニンジャだ。前者が職業であり人間でもなれるが、後者は種族に近い。ただ鍛錬しただけでは辿り着く事は出来ない。51

2014-04-10 21:23:17
@nezumi_a

ニンジャは吸血鬼や天狗、河童に近いフィクションの存在だ。その恐怖は日本人の遺伝子レベルに刻み込まれている。オカルト仲間の間でもニンジャを見たら覚悟を決めろという言葉がある。本物のニンジャであれば言うに及ばず、そうでなければニンジャの格好をした狂人だからだ。52

2014-04-10 21:25:15
@nezumi_a

江戸時代を境にその姿を消したとされるニンジャ。歴史の中に埋もれたはずの神秘が今、二人の目の前に居る。「ニンジャ……!」いや待て。メリーは唐突に違和感に気付いた。何かを忘れていないか。ニンジャ。最近聞いた単語ではないのか。53

2014-04-10 21:27:33
@nezumi_a

「クローンヤクザの警備を抜けるだけならケチなスパイでも出来るが、ニンジャソウルを感じるとなれば話は違ってくるな」テルビューチェの言葉が思考を中断する。「まあいい、どのみち不法侵入。このままファック&サヨナラだな」「冗談じゃないわ……」蓮子は冷や汗をかきながら後退りする。54

2014-04-10 21:29:52
@nezumi_a

「これまでにもヤバい橋を渡ったけど」とメリー。「やめてよそういう総括めいた台詞」蓮子が止める。「抵抗するなよ、足とか折るのは趣味じゃないんだぜ?」テルビューチェが友好的な素振りをする。回避不能の危機的状況!秘封倶楽部はこのままファック&サヨナラされてしまうのか!?と、その時!55

2014-04-10 21:33:54
@nezumi_a

「そうか、私はお前の足を折る事に躊躇いが無い」何者かの声!「グワーッ!?」テルビューチェが遠ざかっていく!通路の向こう、テルビューチェの背後に現れた何者かがフック付きのロープで牽引しているのだ!蓮子とメリーは見た。通路の先、ブザマに転がるテルビューチェと、もう一人の姿を!56

2014-04-10 21:37:28
@nezumi_a

その人影は全身を動脈血めいた赤黒い装束に身を包んでいた。その人影は顔面に『忍』『殺』とレリーフされた黒鉄の面覆を装着している。その人影は全身から異常とも言える殺気を放ち、眼前のテルビューチェへとアイサツをした!「ドーモ、初めまして。ニンジャスレイヤーです」57

2014-04-10 21:39:25
@nezumi_a

#6 終わり #7 へ続く

2014-04-10 21:40:30