座礁艦隊その21 ~初雪をダメにする提督~

朝生中佐はまるで人をダメにするソファのようだ!初雪がとろとろだ!! ※個人の感想です~
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RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「で、どんな違反なのさ?」 「ちょっと長波はん、聞いてたんと違いますの!?」 「ごめん忘れちゃった」 「艦隊構成艦数超過、だよ」 木曾がフォローを入れる。 「七隻以上の艦隊がいた。始めは見間違いかと思われていたが、今月に入って報告数が急増した」 #座礁艦隊

2014-04-15 20:26:33
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

木曾は四年半少し前、陸戦を経験するきっかけとなった出来事、紅海で発生したイベント海域のことを思い出す。あの時も七隻以上の艦隊がいた。今ではペルシャ湾同様、深海棲艦のいない安全海域となっている。 「アデン湾、アラビア海、オマーン湾。まさに俺たちの縄張りで、だ」 #座礁艦隊

2014-04-15 20:34:08
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「そういえば、最近出撃のローテーションが激しくなったね。窓から見てたよ」 古鷹が空を見上げる。 「遠征も三艦隊全部警備任務や警戒任務だよね」 「問題は、なぜ敵の違反艦隊が増えたか、だ。艦娘の方からの違反はあり得ない、なぜなら」 #座礁艦隊

2014-04-15 20:46:27
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「妖精さんが仕事してくんないんだろ。あたしだってそれくらいは知ってるぜ」 長波が肩を鳴らす。 「しっかしけったいな規則だよなー。確かに従わないと妖精サン即ストライキなんだけどさ。古鷹サン、規則って昔からあったの?」 古鷹はうーん、と記憶から引っ張り出す。 #座礁艦隊

2014-04-15 20:50:36
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「確か、深海棲艦との初戦闘から五年目くらいに決められたと思う」 「それまでは?」 「ルール無用だよ。人類存亡の危機だったんだから」 「じゃなんで作られたのさあ、規則ゥ」 「長波はんそれも知らんの!? …あれ、ウチも分かれへん」 仲良く頭に?マークを浮かべる二人。 #座礁艦隊

2014-04-15 21:00:55
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「深海棲艦が真似するから、ですよね」 赤城が微笑を崩さずに言った。鉄面皮。 「その通りだ。奴ら深海棲艦は、こっちの戦い方に常に合わせてくる。大艦隊で行けば大艦隊で。ミサイルを撃てばミサイルで。核を使えば核でやり返してくる。古鷹、あんたは当事者だから分かるだろ」 #座礁艦隊

2014-04-15 21:17:19
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

木曾の視線に、第一世代の古鷹は無言で頷いた。 「若い艦娘たちが規則の作られた経緯を知らんのも無理からん。俺だって調べて初めて分かったんだ。古鷹の記憶が確かなら、五年も経ってそれがようやく分かって、多大な犠牲を払っていまの状態に戻して抑え込んだ。だよな、古鷹ばあちゃん」 #座礁艦隊

2014-04-15 21:21:13
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

ばあちゃん、という呼ばれ方に、古鷹は波立つ気持ちが和らいだ。あの時代の記憶はできれば思い出したくなかったが、老い先短い身だ、若い子らのために話しても良いだろうとも思えた。 「うん。私たち第一世代が数える程しか残ってない理由がそれ。人類の代わりに戦ったの。規則に従って」 #座礁艦隊

2014-04-15 21:28:18
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「古鷹はん、それってまさか、ミサイルや核や大艦隊でかかってくる深海棲艦相手にですか……!」 「そうだよ。支援艦隊の間接攻撃はあったけど、六隻ずつ、戦域が被らないように離れてね。どんどん作られてどんどん突撃して、どんどん轟沈して行ったんだ」 #座礁艦隊

2014-04-15 21:31:32
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

古鷹は終始穏やかに話した。当時の現代兵器の一切使われない、人類が手を貸せない、特攻。 「…なあ古鷹サン、それってまるで」 捨て艦。 全員の脳裏によぎる言葉。幸い朝生中佐はそれとは正反対の提督だが、この世界には理不尽な命令であたら艦娘を沈ませる鎮守府が、確かにある。 #座礁艦隊

2014-04-15 21:37:30
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「当時は仕方なかったんだよ。いち鎮守府の都合でやらされる捨て艦とは違う。私たちがやらなきゃいけなかったの。私たちは深海棲艦を倒すために生まれたんだから」 「でも、深海棲艦が真似っこしたのは人間ですやん。人間の尻拭いですやん!」 #座礁艦隊

2014-04-16 01:20:08
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

古鷹は首を振る。 「自分に無条件に仇なす未知の敵に対して、取れるあらゆる手段を使って対抗する。当たり前のことだし、仕方ないよ。私たち艦娘が生まれたタイミングもね。私もすぐ沈むはずだったんだけど、ちょっと間が良くて生き残っちゃって、そうしてるうちに戦況が落ち着いて」 #座礁艦隊

2014-04-16 01:26:51
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

座礁艦隊タグ検索に引っかからない度が増してる。

2014-04-16 01:33:02
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「気がついたら81歳、ってわけだ」 木曾が締めた。 「不思議だよねえ。周りの同期はみんな沈んじゃったのに」 「長生きしろってことだよ古鷹サン!」 長波が怒鳴る。涙で顔をぐじゅぐじゅにして男泣きしている。艦娘は女性しかいないのに。 「こうなりゃ100歳まで生きようぜ!」 #座礁艦隊

2014-04-16 01:34:47
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

ドイツ艦は、特にZ1ちゃんはあの一見男の子なレベルでちんちんついてないのが良いんだけど(よく見ると女の子な体型してるのも含めて)、ちんちんついててもいい。

2014-04-16 06:48:15
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「んふふふっ、100歳だなんて」 古鷹はたまらず吹き出す。 「でも、そうだね。生きられるなら、それくらい生きても良いかな」 「そうだよ! 頑張ろうぜ!」 とんだおばあちゃんを囲む会になってしまった。 「まったく、俺もまざっちまったけど、一応作戦行動中なんだからな」 #座礁艦隊

2014-04-16 09:34:09
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

そういえば初雪はさっきから黙って先導してるけど、と、木曾は肩越しにそっと覗き込んで見る。 「…お前泣いてんの?」 「な゛い゛て゛な゛い゛…」 泣いていた。長波に負けず劣らずだった。涙と鼻水にまみれており、すっかり鼻声になってしまっている。旗艦がこれでは仕事にならない。 #座礁艦隊

2014-04-16 09:40:16
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「あー、ほれ、鼻紙」 木曾は腰のポーチからポケットティッシュを出して初雪に渡す。あっという間に空になる。 「速度落として休憩するか?」 「…だいじょぶ」 だいじょぶでないだろ。木曾はため息をつく。 「構いませんよ。彩雲に周辺索敵させてますから」 赤城が助け舟を出す。 #座礁艦隊

2014-04-16 09:45:50
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

フムン、しょうがない。初雪から一時的に指揮を引き継ぐ。 「15ノットに減速、妖精さんは第二種配置を解除して15分ごとの半舷休息とする。対潜警戒は継続。休憩は30分。赤城、第二艦隊に遅れるって伝えといてくれ」 「了解しました」 交戦中には使えない衛星通信で送る。 #座礁艦隊

2014-04-16 09:57:30
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

おでこベリーショート叢雲ちゃん流行らすのあきらめてないからな

2014-04-16 11:40:37
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

提督「もしやうちのも…おーい望月」 望月「あーい。司令官があたし呼ぶなんて珍しいね」 提督「パンツ脱いで」 望月「……ひっ、日向ー! 日向ー!」 日向「ついに駆逐艦にまで手を出したのかこのクズは」 提督「ちっ違う誤解だ、望月のパンツは食えるって」 日向「それはあの鎮守府だけだ」

2014-04-16 12:29:22