座礁艦隊その２８　～律法～

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

【おしらせ】筆者旅行中のため中断している。これはアイデアやインスピレーションを取り込む必要な行動でありサボりではない。いいね？ 【息抜きも大事】 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

うちの艦娘管理法は人権代わりの行動規定みたいなモノだけど、まあ、穴だらけですな。

CF型マシニーカhir @hir_CF

@ryorinovels うちの暗礁艦隊はそもそも人権だのなんだの言っている暇があったら戦わないと生き残れないというか人類滅亡。独立採算性なので艦娘を大事にしない提督は淘汰されるという。あと解体とかは魂入れる前にやりますな

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

艦娘管理法も下位の対深海棲艦戦闘規則も「妖精さんは例外なく遵守する」ただ一点でその効力が担保されている。

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

@hir_CF 非常時にまかり通る仕組みですな。

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

もしも人間が先にこれらの上陸した深海棲艦を相手にしたなら、海と同じ際限の無い軍拡と真似の押収で、取り返しのつかないことになりかねない。 深海棲艦と戦うのは艦娘のみ。過去に多大な被害を味わった人類の出した答えがそれだった。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

「だが、陸は海と違って人間が常にいる。もし深海棲艦の上陸が本格的に始まったとして、それらのすべてを艦娘が担うってのは、いささか非現実的だ。今だって鎮守府を置きたがらない国は多い。ドイツが独自に艦娘の製造に成功したことで、その状況にも変化が起きようとしているが……」 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

かつての同盟国であったとはいえ、日本以外の国が艦娘の保有を始めたことは衝撃的であったし、他の国がそれに倣う可能性が出てきた。人間の歴史はいつもそうだ。ただ今回も同じようになるかは、ひとえに妖精さん次第である。妖精さんが首を縦に振らなければ、艦娘は作れない。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

そもそも艦娘管理法自体、妖精さんとの合議で生まれた法だった。だから内容をよく読めば、その法は人類が艦娘を都合よく使うためだけにあるわけでは無いことが分かる。それに艦娘管理法は国内法であり、適用されるのは日本に属する艦娘だけだ。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

「ドイツはドイツで、管理法に似た法律を作ったでしょう。こっちと同じで、"作らされた"と言うのが正しいのかしら」 「妖精さんは何を考えてるのか分からんね」 「あら、艦娘のあなたが言うのね」 「創造主のことをよく知らないのは人間も同じだろう。見えるか見えないかだけさ」 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

「コミュニケーションすらとれない、どこにいるかも分からない私達の神様よりは、会話もできる分羨ましいわよ」 「なまじ隣にいる分、得体の知れなさが際立つってもんさ」 どこからか出てきた水兵服の妖精さんを、木曾は手に乗せて指でつつく。きゃっきゃっ、と妖精さんはじゃれる。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

まるで小動物のようだが、艦娘に施されたあらゆるオーバーテクノロジーを独占して使うのが目の前にいるこの小さな知性体なのだ。深海棲艦と戦う人類に接触し、協力し、艦娘を授けたこの存在は、どんな思惑でそうしたのか。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

「人類と艦娘との間柄もそうじゃないのか、提督」 「というと？」 「似て異なるってことさ。お互いどうしても分かり合えない部分があるだろ。言葉は通じるが話は通じないなんてことは多々あるはずだ」 「木曾は齟齬を感じたことがあるの？」 「いやァ、まあ俺は、それなりにだが」 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

「そんなの、人間同士でもしょっちゅうだわ」 提督はふふ、と自嘲気味に笑う。 「こうして話し合える分、かなりマシでしょう。分かり合えない、通じない部分があっても、その部分をお互いに確認し合えるのだから。まずはそれで良いんじゃなくて？」 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

「そうか…。まァ、そうだな。確かに」 朝生提督はやはり提督だ、と木曾は思った。人類とは違う知性体の部下を纏め上げる苦労を木曾は知る由もないが、1661支部の環境に不満を述べる艦娘はそんなに多くないことから見て、彼女の手腕は高い。それも、かなり。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

うわあ、大変なことになってきたぞ

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

うちのクソメガネ巻雲ちゃん放り込んでみ冗談です冗談

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

「鎮守府訓の二、内に溜めるな、か」 「仕事の『報、連、相』だけじゃなくってね。人間同士であっても、話さないと分からないことは多いの。もちろん話したくないことを無理にとは言わないけれど」 「少なくとも、艦娘としてどうしたいか、どうして欲しいかは、俺は伝えてるつもりだぜ」 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

「それじゃあ、陸戦に参加できない代わりに、是非あなたにやって欲しい事があるんだけれど……」 何だ、と身を乗り出そうとしたとき、ドアが強めにノックされた。 「は、初雪です…」 声がやや震えているように、木曾には聞こえた。 「オッ、もう来ちまったか」 「いいわよ。入って」 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

ドアを開けて初雪が入ってくる。入渠はすでに完了しており、着衣装甲に破れや汚れの類は無い。が、若干呼吸が早い。顔もやや紅いように見える。一緒に出撃していなければ、風邪か？ と聞きそうになる様子だった。出撃前にいいところでお預けを食らった"ごほうび"を期待しているのだ。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

初雪は木曾がいるのに気づくとぎょっとして、 「あ……、また、あとで来ます…」 と戻りそうになる。 「ああ、もう出るからそこにいな」 木曾が引き止める。 「で、やって欲しい事って？」 「建造されるこの軽巡の子に、"稽古"をつけて欲しいの」 先ほどの書類を指差す提督。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

「"稽古"、ね」 「そ。演習ではなくて、"稽古"。出立の日までに、この子に陸戦のなんたるかを叩き込んでちょうだい。提督の一人として、ヒヨッ子を送り出すのは避けたいの。断固として」 「ふっ、俺ァあんたのそういうところ、好きだぜ」 踵を返す木曾。マントがばさっ、と広がる。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

「落ちこぼれは出さないってのが、ここの方針だったな」 「外へ送り出す子も例外ではないわ。頼んだわよ」 「任せろ。初陣からあの叢雲たちについていけるよう、みっちり教えてやるさ」 木曾は去り際に初雪の頭をポンと叩く。意外だったのか、初雪は体をビクッと強張らせた。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

ドアが閉じられると、初雪はすぐ鍵をかけた。提督はそれを咎めない。出撃から帰ったら"ごほうび"。約束していたからだ。本来なら旗艦である初雪が報告を行いそのまま"ごほうび"をもらう筈であったが、ジャースクから帰る途中の遭遇戦で小破してしまったのである。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

小破程度なら後で直せばいいのだが、スハール鎮守府訓の一、「『後で』は無い」がある。守らないでもしも"ごほうび"がフイになったら…、と考えると、時間がかかっても入渠してから確実に"ごほうび"を貰う方が良い。それに、待った方がより気持ち良くなることを、初雪は知っていた。 #座礁艦隊