【創作】風鈴売りの朱夏【小ネタ】

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朱夏は青春時代を終えた人にだけ風鈴を売ってくれる人。青春が終わっても悲しみに暮れることはない、むしろこれからが夏真っ盛りで一番楽しい時なのだと教えてくれる。青き春を無事終えられた人への贈り物が、夏を彩る風鈴なのです。

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ロリ兎ことレナちゃんが夏のおねーちゃんに「ふうりん、くださいな」って言うんだ。けれど彼女はまだ春が始まったばかりの女の子。売る事が出来ない。寂しげに首を横に振ると、兎はしょぼんとしてしまう。そんな顔を見てられなくて、朱夏は髪に刺してる筆をとって紙にさらりと風鈴の絵を書いた。

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貴女が春を乗り切れるよう願いましょう。これはおまじない、音はならないけれど夏の色はここにある。あわよくば、貴女が本物の夏を手に入れられるように、祈りましょう、願いましょう。私はそれまで待っているから。

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朱夏はアンドロイド。年を取らない、壊れるまで風鈴を売り続ける、機械人形。レナが大人になるまで、彼女も元気でいなくちゃならない。 人の夏を祝うことは、自分の生きがいになるんですって。

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レナちゃんが壱（はじめ）さんに「夏のおねーちゃんにね！風鈴もらったの！」ってぴょんぴょんしてる。最初「えっ？」て思うんだけど絵を見せてもらって「ああ、彼女も粋な事をしますね」ってレナちゃんの頭くしくし撫でてやるんぐうかわ

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クローツがその話を聞いて少し風鈴欲しくなるんだけども強がって「私は大人になるまで、いらないから」って突っぱねちゃうのが見える。ティス姉に「素直じゃないわねー、可愛げないわよー」っていわれて火炎放射機ﾌｧｲﾔｱｱｱｱｱ!!されるやつ。

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クローツに「くぅちゃんもお願いしてみよー？」って無邪気に言うレナちゃん眩しい。やばい。

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でも結局言えずに夏が終わって朱夏さんハイカ亭から出ていっちゃうやつ。クロが欲しかった気持ちとか忘れてる頃に、部屋に戻ったら窓に風鈴が下がってる。綺麗な若葉色をした、風鈴。でも音がならない、上の器だけの風鈴。ちょっとだけもどかしい、夏の終わり。

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大人になったらその外身に中身を入れてあげる。ぶら下がるあの部分のことはね、「舌（ぜつ）」っていうの。 中身の詰まった一生を送れますように、今はまだ、その場所を空けておきましょうね。

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ティス姉に空の風鈴見られて「どうしたの、それ」って聞かれても、クローツは舌をべーって出したまんま何も答えない。「何よそれー」って不服そうなティスさん横目に嬉しそうな黒猫くぅちゃん。可愛い。

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ええ、猫舌です

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あと若葉色は、彼女の髪の色であるパラキートグリーンと、青春だからまだ若いのよって皮肉を込めた色。クローツがそれに気づくのは少し大人になってから。

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ハイカ亭に一番遅く入居したミディーは朱夏のことを知らない。でもレナやクロから「素敵な人だよ」って話を聞いて、会ってみたいなあって心踊らすやつ。彼女に風鈴を渡すとしたら何色だろう。宇宙色に映えるのは、何色だろう。

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朱夏を同士と唄う壱さんは、実は風鈴を貰っていない。何故か。機械には人の一生のような四季がない。常に同じ季節に居続けるからなんだとか。青い春も、赤い夏も、白い秋も無い。少しだけ寂しくなる一生。からくり人形である彼もまた同じ。

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代わりに朱夏は、ハイカ亭全体への風鈴を一つ持ってくる。誰の為でもないけれど、誰かのための風鈴。人生に四季がなくてもこの世界に四季があれば、それを楽しめるのだから。ここには他のアンドロイドもいる。彼らの一生にも、風鈴の音を刻みましょう。

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彼女は喋らない。けれど美しい声を持っているんだ。商い中の時だけその声を聞ける。竹でできたベビーメリーのような道具を、傘のように広げ、その端に一つ一つ風鈴を括り付ける。しゃらん、しゃらん、大きな音の商品に負けないように、声を張り上げる。 その時一番良い声が出るように、普段は我慢。

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商売で声からしてやばいやばいになった時に壱さんにヘルプ求める彼女が中々にシュールです。