「提督さんと加賀さん、ですね?」指懐から写真を取り出して確認しますが、紛れもなく同じ駆逐艦です。「【伝令役】、浜風と申します。この度は矢矧の命により、加賀国は白山、白山比咩神社へご案内させていただきます」恭しく一礼をする浜風。不知火に似たものを感じます。 #加賀さん観察日記
2014-04-19 18:06:21ところで浜風、お前今迎えにきたっつったな。矢矧の命で。「なるほど。聞いてらっしゃらないと」お前を探せと言われた。「なるほど。しかし私は迎えに行けと言われましたし、電車の予想到着時刻も外見特徴も全部教えて貰いました」なるほど。「真似しないでください」 理不尽な。#加賀さん観察日記
2014-04-19 18:10:58代金を払って店を後にし、駅を出る。「ついてきて下さい」と浜風は言うが、どうやって行くつもりだろうか。矢矧と顔見知りのようだから信頼してもいいのだろうが、加賀に(何かあったら戦えるようにしておけ)とハンドサインを送る。艤装はなくとも格闘戦ならこちらに武がある。 #加賀さん観察日記
2014-04-19 18:32:04ここです、と浜風は言う。普通の軽自動車だが、黒いドアの下部は白のトライバル・ステッカーが鋭利にうねり、取り巻いている。「送ります、乗ってください」お前の車か。「ええ、公共交通機関はかなり時間がかかりますので」待て、その前に一つ聞きたいことがある。 #加賀さん観察日記
2014-04-19 18:36:44お前は本当に矢矧の命令で来たんだな?「そうですが」何者なんだ、お前も、矢矧も。「なるほど。つまり、何者、と聞いてすぐに答えなければ、車に乗らないおつもりですね。私は陽炎型駆逐艦13番艦、浜風。最終所属は、第二水雷戦隊です」浜風は車のキーリングを指で回し、掴む。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 00:41:05第二水雷戦隊。神通がよく出撃の際に口にしている言葉だ。同じく、矢矧も。彼女達元二水戦に何か特別な繋がりがあるのか?「提督は流石に、私達最後の二水戦がどこへ出撃したか、誰を護衛していたかぐらいは、御存知ですよね」ごめんわからん。「……なるほど、想像以上に手強い」 #加賀さん観察日記
2014-04-20 08:14:00「坊ノ岬って言えば流石にわかりますよね」なんか聞いたことある。大和がどうこう。「その時に出たのが二水戦です」あっ今繋がった。つまり、矢矧をはじめとしたお前ら元二水戦は、大和について回ってる、ということだな?「…なるほど、手強いが察しの良さは武蔵様の言うとおり」 #加賀さん観察日記
2014-04-20 08:20:15「私達のグループは、矢矧を中心に、大和の護衛をしていたあの『最後の二水戦』のモデル艦で結成されています」やっぱりヌーディストビーチか。「ヌーディ…?確かに矢矧は突然わけもなく脱ぎ出しますが…ああ、なるほど。それでヌーディスト」浜風は一人何かを納得しています。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 09:13:32「元々私達は別の【ゲーム】で大和とパーティーを組んでいた…えーっと、ポケットモンスター?でしたか。殿堂入りメンバーだと思ってくだされば」お前らたまにそういうこと言うから変な気分になる。「私は的確な表現をオンライン辞書から探してるだけで、遊んだことはないですよ」 #加賀さん観察日記
2014-04-20 09:19:42【プレイヤー】ではないのか。「ここだって大和以外は皆人工知能持ちのNPC扱いですよ。【プレイヤー】がNPCを殺しても構わないし、レイプしても咎められない。あの人が神みたいなものですし、人権なんてありませんから」こわ。とじまりすとこ。「提督のスラングは難解です」 #加賀さん観察日記
2014-04-20 09:24:25「それで、私達に話を戻しますが、別【ゲーム】で大層お気に入りだったらしいので、そこからデータを引っこ抜き、このステージで私達は個別に役割を与えられているのです」それでお前は【伝令役】か。「ええ、【運営】からの通達を届ける役割。本来ならば。」#加賀さん観察日記
2014-04-20 09:26:44なるほど。お前らが大和の手先なのはよくわかった。「真似しないでください」納得しただけだろうがよ。「これ以上は長くなりそうですし、後は車内でお話致します」そう言って浜風は後部座席のドアを開けました。100%信頼はしてませんが、ここは乗るのが懸命そうです。#加賀さん観察日記
2014-04-20 10:23:24「…スンスンスーン、ヤンスンスンスーン」かかってるDir en grayと全く関係ない鼻歌を歌いながら、浜風は指でトントンハンドルを叩いてリズムを取りつつスイスイ道なりに車を走らせていきます。加賀さんは後部座席で鞄を枕に寝そべって暇そうだし、狭そうです。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 10:32:39「ここあたり、バスの本数が少ないし遠いので、車できた方が早いんですよ」ウインカーを出し、浜風は注意深く窓の外を見ながら車線を切り換えていきます。不知火のトラック運転を思い出すのですが、陽炎型は車の運転に長けているよでしょうか。それとも手袋補正でしょうか。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 10:37:08「すみません、少し吸ってもいいですか」浜風は助手席側の物入れに手を伸ばします。煙草か、構わんぞ。そう言うと浜風は一礼し、物入れを開けてピーピーラムネを取り出しました。片手で器用に剥いて一つ唇で挟むと、ピィーッ、ピィーッと景気良く吹き鳴らします。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 10:50:43こいつ何やってんだと思いながら見ていると、スッと目の前にラムネが差し出されました。浜風はこちらをチラッと見て、ピョロロと気の抜けた音を鳴らしてます。手を縦にして礼を表し、一つ咥えてピィーッと吹き鳴らすと、浜風は満足そうにウンウン頷きました。なるほど。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 10:57:26車は次第に山道に入っていきます。「この辺り、採れたてのタケノコが美味しいんですよ」そうなのか。「ええ。加賀から聞いたりしてないんですか?」そうなのか?後ろの加賀に聞いても暇そうに前髪を弄ってるだけです。そういえばこいつ、ほぼ大阪から出たことがないのでした。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 11:22:59艦娘は産まれた時から自我があり、また艦としての記憶があります。それ以外はわりとまっさらです。加賀さんも「加賀の土地勘はある」みたいなことを言ってましたが、それはあくまでも植え付けられた情報で、この加賀の経験ではありません。故にタケノコとかは知らないのでしょう。#加賀さん観察日記
2014-04-20 11:28:10浜風と笛ラムネをピーピーしているうちに目的地につきました。白山比咩神社。あらゆる加賀の生まれ故郷であり、また還りつくところです。大きな看板にはしばふめいた柔らかなタッチの加賀が微笑み、その横には「ようこそ 加賀のふるさと」と流麗なフォントで書かれていました。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 15:34:56車から降りて、加賀さんに海水を飲ませようとしますが必要ないという顔でした。「特に体に不自由を感じません」といいますが、海から離れた陸上、特に内地で山中などは艦娘にとって最も命の脅かされる場所です。彼女達はサーファーよろしく潮風を感じないと生きていけないのです。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 15:38:27「このあたりはそもそも加賀の分霊元、白山比咩大神の加護があるので、陸でも海水を飲まなくて平気なんですよ」フォローを入れてきたのは浜風です。肩掛けした水筒から海水を直のみし、ぷはっと息をつきました。「まあ、その他の艦娘は飲まないと死ぬけど…」命がけです。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 15:45:12背の高い木に囲まれた鳥居を潜ると、まず狛犬ならぬ狛加賀に迎えられ、それから山路に沿った山道と、厳かな造りの本殿が見えました。鳥のさえずり以外は聞こえない、静かな場所です。色んなところに加賀を象った像があり、看板には神社と加賀についての謂れが書かれてました。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 16:05:46『艦娘加賀と白山の関係は鎌倉時代、蒙古襲来と共に日本へ渡ってきた加賀の先祖がこの山へ入り、白山比咩大神と交信し、護国の命を受け加賀の名を授けられたことから始まったとされています』ぜってーーー嘘だ。ぜってーーーーー嘘だこれ。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 16:12:30一方加賀さんはというと落ち着かなさそうな顔で辺りを見回していました。やはり中の分霊が関係しているのでしょうか。境内では巫女服を着た別の加賀がおみくじを売っていたり、掃除をしたりしているので、同属の彼女達が気になるだけかもしれません。 艦娘は同型艦に敏感です。#加賀さん観察日記
2014-04-20 16:22:19「提督、加賀さん。祈祷してもらいますので、こちらに」いつの間にか予約を取り付けていたらしく、浜風に手招きされました。掃除をしている加賀と互いに睨みあう加賀さんの袖を引っ張り、社務所の方に向かいます。この奥から本殿の中に入り、祈祷をしてもらえるようです。 #加賀さん観察日記
2014-04-20 16:32:44