#一日一兎虎　※個人まとめ

キザクラ／ss・休憩中 @kzkr_ss

「寒ぃ寒ぃ」とクロゼットをかき回していた貴方。「あった」満足げに黒のセーターを被りながら歩いてくる。すとんと頭を通したところで「あ」の声が重なる。僕のカシミア。彼が着るとゆったりと袖が手の甲を隠す。っていうか下！裾から覗く生足、寒いに決まってる。なぜその格好で！ #一日一兎虎

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ほかほかの肉まんにかぶりつく。「いい匂い」ちょうど戻ってきた相棒が、笑顔で近づいてくる。「んまいぞー」食べかけだけど、と差し出せば、受け取らずにそのまま大口を開けたバニーが食らいつく。案外大雑把な一面につい見惚れた瞬間「貴方も、いい匂い」なんて囁きが耳をくすぐって。 #一日一兎虎

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「靴下なんざほっとけよ」僕が剥きたいだけ服を脱がせたせいで腕にシャツが絡まったまま動けずにいる貴方は苛立ちを隠さない。腿の付け根から舌を這わせ下りていく。足首、薄布をくわえて引き下げ、あらわになった爪先にくちづける。ね、イイんでしょう？びくりと跳ねた腰に手を伸ばす。 #一日一兎虎

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すぐにでもパーティーに出られそうな完璧な盛装。グラビアのコンセプトに、堅苦しいのは得意じゃねえと相棒は苦笑いする。それでもソファに身を沈め長い足を組めば、あちこちから感嘆の吐息が聞こえる。隙のないスーツの、裾からのぞく足首。溢れでる色気にあてれらて僕は目が眩みそう。 #一日一兎虎

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いつだって目の前で着替えてるから平気なはずなのに。「どうしました？早く脱いでみせて」なんて。色を湛えた目で見られたままじゃ、なぜかボタンがうまく外せない。やっとの思いでタンクトップのすそを捲り上げた手を掴まれ、荒々しく唇を塞がれる。むきだしの胸が擦られて、後はもう。 #一日一兎虎

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薄いプレート状の菓子を口に運ぶ。視線に気づき隣を見ると、あ、と唇を開く。隙間に押し込むようにすれば、ぱきぱき音を立てて砕かれる。「チョコレートは噛むものじゃありませんよ」ため息をつく僕に笑う貴方。「噛まずにどうすんの？」わかってるくせに。貴方がみせた舌はやけに赤い。 #一日一兎虎

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お酒に強いこの人がとろりと瞳を緩ませている。本当に酔っているか、それとも酔ったふりなのか。この際どうだって構わない。僕の膝にまたがって座り、そっと頬を両手で包む貴方。近づく顔とキスの予感にうっとりしてしまう。「目ぇ閉じろよ」ふいに低く響く声に、僕は服従するしかない。 #一日一兎虎

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荒い息づかい。にじむ汗と潤んだ瞳が、最小限に絞った灯りに反射する。粘るようにじっくりと腰を動かす。肩にしがみつく指先に力がこもり、あ、あ、と高くよがる声。抱き寄せていいところを擦れば、貴方が耳もとで低く僕を呼ぶ。ああ、なんて声で！それが引金で、僕と貴方は共に爆ぜる。 #一日一兎虎

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本を読んでるおまえの隣。なんだかんだで席を立って、戻るたびに少しずつ距離を縮めて近づく。気づかないふりをして読書を続けるから、悔しくなってぴったりくっつく。もたれかかって吐息をたっぷり混ぜて「ばに」と耳もとへ囁けば、音を立てて本を閉じたおまえが俺を乱暴に抱き寄せた。 #一日一兎虎

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しなやかで、でも節はごつくてやっぱり男の手なんだよな。俺おまえのきれーな指、大好き。唇つつかれたら痺れちまう。背中なぞられたら震えちまう。どこもかしこもきもちいいから、さわってさわってもっと、さわって。そんで、俺を優しく握って。あ、や、だめ、想像しただけでもう、俺。 #一日一兎虎

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「おやすみなさい」「ん、おやすみ」キスを交わして目を閉じる。灯りは貴方が消してくれた。暗闇の中で、どちらからともなく手探りで抱き合ってまたキスをする。「もーいっかい」「お望みならば何度でも」くすくすと笑いあって絡ませた舌も喜んでいる。明日はオフ。素敵な前夜に祝福を！ #一日一兎虎

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キスしても？と訊くが早いか相棒は俺の手をとり口元に寄せた。きらきら光る睫毛が伏せられるのが見える。フェイスオープンしてるせいだ。軽く握った俺のこぶしに唇が押し当てられる。カメラまだ回ってんだろうが！怒りつつも、グローブ越しなのに唇の感触がした気がして。体が、熱い。 #一日一兎虎

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「おはようございます」何も塗ってないのにつやつやした唇が微笑む。いや、俺が知らないだけでほんとは何か塗ってんのかも？触れたら柔らけえのは知ってんだけどな。そこまで考えて、キスしたときの感触をすんげえリアルに反芻した自分にうろたえる。「どうしました？顔、真っ赤ですよ」 #一日一兎虎

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ファッション誌の撮影のため用意された衣装にはブレスレットも含まれていた。「ばに、つけて」留め具に苦戦していた貴方が手首を差し出す。はい、と頷きつつさりげなく脈を探るように指でさすれば、身を震わせた貴方が目元を薄く染めて僕を睨む。素敵だな、こんなところも気持ちいいの？ #一日一兎虎

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「たいしたことねえよ」と渡された傷薬の蓋を開ける。手助けしたいと申し出たのは、僕が目を離した隙に相棒に怪我をさせた負い目と心配から。背中に触れ、赤く走る傷口にガーゼをあてがう。ぴくりと貴方が身を弾ませる。薬が冷たかったのか、それとも。いけない。僕は、こんな時に何を。 #一日一兎虎

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「僕のせいだ、ごめんなさい」泣きそうな顔で謝るおまえに、たいしたことねえよと傷薬を手渡す。薬を塗ったガーゼを交換してもらうためだ。背中の切り傷は逆上した犯人が振るった刃のせいで、おまえは少しも悪くない。痛みもない。少し冷たい指が肌に触れるとき、なぜか甘く痺れるだけ。 #一日一兎虎

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長引いた捕物帖のせいで、昼飯を食い損ねた俺たちに差し入れられたホットドッグはご丁寧に片方ピクルスが抜いてある。いただきます、と同時にかぶりついた相棒の唇の端がケチャップで汚れる。べろりと乱暴に舐めとり、二口目をがっつく姿に目を奪われる。合った視線で熱く貫かれた俺は。 #一日一兎虎

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日付が変わりそうな深夜、帰宅が遅くなった僕を恋人は待っていてくれた。ただいまの挨拶とキス、ハグをしてふと鼻を掠める嗅ぎ慣れた匂い。僕の香水が貴方から香るのはなぜ？囁きかけた耳元は見る間に赤く染まる。「なんか寂しくて」いじらしい貴方を当分眠らせてあげられそうにない。 #一日一兎虎

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唇が手首に押し当てられる。くすぐったいのと同時に気持ちいい、が身体を駆け抜けて思わず身をよじる。腰に腕を回し抱き寄せられ、首筋を何度も啄むようにキスされて。耳に響く音に何も考えられなくなる。ここにもくれよ。言うより早く俺から喰らいつくと、重ねた唇が笑みの形になった。 #一日一兎虎

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恋人は、頭のてっぺんから足の爪先まで俺の全身にくまなくキスをする。「どこもかしこも愛おしい」なんて囁きながら。だけどねだらないと唇へはしない。変に意地張って我慢したあげく縋りついて欲しいと素直に白状すれば、おまえは笑みを浮かべてとびきり深いキスで俺を溺れさせる。 #一日一兎虎

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「虎徹さん、僕のおでこ好きなんですか」今まさにそこへキスしたばっかなのに指摘されりゃ言葉に詰まるし、顔から火も出る。「別に？」慌ててごまかしたけど、ああそうだよ好きだよ悪いかよ。だってふたりで居る時にしか見せないだろ。ヘアメイクさんにもNG出してんの、知ってんだぞ。 #一日一兎虎

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ソファに座っている相棒が、ぽんぽんと膝をたたいて座るよう促すからおとなしく従う。するり伸びてきた手が、頬や腹を滑るように撫でる。えっちなことするんじゃなく触れ合うのはスキンシップ。あったかくて気持ちいい、を分け合うのが嬉しくて。白い頬に唇を寄せ、金の髪に顔を埋める。 #一日一兎虎

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挨拶じゃないキスを交わす時、目を開けて恋人の反応を見るのが好きだ。切なげに眉根を寄せ、うっとりととろけた表情がたまらない。上気した頬も、唇を離すと追いかけようとする舌先も、まぶたから覗く潤んだ瞳も全てが愛おしい。「目ぇ閉じろよ、は、恥ずかしいだろ」あ、バレてました？ #一日一兎虎

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かきこむように食事を始めた貴方が「いっ」と叫んだ。「ひたはんら」目尻に涙を浮かべ不明瞭な発音で訴え、赤く腫れた舌先を見せるから痛くしないようにそっと舐めるも血の味はしない。切れていない事に安心する。「急ぎすぎですよ、落ち着いて」舌を出したまま、貴方が真っ赤になる。 #一日一兎虎

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「鶏食いてえな」と相棒が呟く。いつもの店でロティサリーチキンを求め、その足で訪ねれば「あれ飲みたいな」と僕がお願いした、彼の故郷の地ビールが用意されていて。休日をお互いのために尽くすと決めた前日の夜。まずは食事のリクエストに応えあい、お腹を満たしたそのあとは。 #一日一兎虎