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@shi_dakg
拠点設営の後また熱を出して寝込んでしまい今朝は拠点で留守番というか見張りを任されている訳だが、近日海軍との合同任務について会議を行う為、天幕の清掃も任された。 まぁ、怪我人といっても片腕だ。会議机の拭き掃除くらいならばこなせるだろう。 #防衛日記
2014-03-28 08:27:34
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@shi_dakg
簡素な折りたたみ机の天板を薄汚れた布を湿らせて拭いていく。 掃除は考え事に集中出来るから良い。 天板の後は別の布で椅子を拭きながら妙な夢について、思い返す。 #防衛日記
2014-03-28 08:36:04
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@shi_dakg
やたらとかわいくて若い女の子に囲まれて楽しそうに笑っていた夢だった。 …こうして文章にしてしまうとひどい欲求不満のようだが、自分はそもそも女だし、同性に興味はない。 #防衛日記
2014-03-28 08:39:51
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@shi_dakg
さておき。 その自分は寮のようなところで、なんやかんやありながらも彼女達とそれなりに楽しい生活を送っていたようなのだ。 女の子達がいたというのは覚えているがその顔はもやがかかったように思い出せないあたり夢なのだろうなと思う。 知らない知人の夢を見るのはよくあることだ。 #防衛日記
2014-03-28 08:41:58
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@shi_dakg
3/29/晴天 今日は基礎訓練のみで、清掃班と警戒班に分かれての作業となる。 件の海軍との合同任務の為だと言うが——そうかここは海の近くなのか。 #防衛日記
2014-03-29 08:43:53
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@shi_dakg
言われてみれば少し空気がべたつくような、懐かしい匂いがする。 海なんて最後に行ったのはいつだろうか。 特殊な設備のある場所でのみ遊泳が許可されているこの国では、海はそう身近なものではなかった。 母なる海、とは言うが漁業に特殊な武装が必要になって久しい。 #防衛日記
2014-03-29 13:33:28
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@shi_dakg
提督とかいう階級を軍人以外が名乗れるようになったのも自分が生まれるうんと前のことだ。 義務教育を終えてから必要な講習を受ければ名乗れる提督と、士官学校を出て護国大の提督科とか海兵科とか言われているところを出ないと名乗れない提督がいる。 #防衛日記
2014-03-29 18:41:39
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@shi_dakg
前者の提督——免許提督だとか民間委託だとか色々と呼び方と形態はあるが、条件さえ満たせば特殊な武装の使用許可が降りる為、きょうび漁師も言ってしまえば提督だ。 彼らは海から現れるクソみたいな連中にトドメを刺す為の、一番手っ取り早い武装を手にすることが出来る。 #防衛日記
2014-03-29 18:44:10
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@shi_dakg
少女の形をしたそれらは遥か昔に海のそこに沈んだ船、そこに眠る怨嗟だとか悲嘆だとか、そういうものを引き摺り出して血と肉を与えられ、鉄を纏い海を駆ける。 以前士官学校から講習に来ていた軍人が連れていたそれを見ても、人との差異は見つけられなかった。 #防衛日記
2014-03-29 19:31:58
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@shi_dakg
今度来る海軍のお偉いさんも、提督と呼ばれているのだという。 民間委託のそれとは違う、きちんとした軍人だ。 「先輩？」 手が止まっていたのか、新兵に声をかけられてはっとする。 「傷、痛みます？」 少しはな、だが特にと言う訳じゃない。考え事をしていただけだ。 #防衛日記
2014-03-29 20:34:52
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@shi_dakg
悪いな、と謝ると新兵はほっとしたようにため息をつく。 「本当にもう、先輩は先輩なのに世話が焼けるんですから。心配させないでくださいね？」 こちらの分まで雑巾をすすいで絞ってくれているのはさすがに申し訳ないが、腕は痛むのでその世話に甘えている状態だ。 #防衛日記
2014-03-29 20:39:32
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@shi_dakg
そういえば、あの時の軍人はどうしているだろうか。 ×○と自分を偉く気に入ったようで、帰り際に山ほどお菓子をくれたが、何が気に入ったのかさっぱりわからなかった。 二人して顔を見合わせて、クラスの連中とお菓子を分けたのも懐かしい。 #防衛日記
2014-03-29 20:42:05
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@shi_dakg
隊長と海軍のお偉いさんとの会議が終わったらしく、声をかけられる。 「やぁ、久しいな」 見ると、どこかで見た顔だった。 お久しぶりです、とだけ返すがこの人が誰だったか思い出せない。 どこで会ったのだったか。 #防衛日記
2014-03-30 19:25:41
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@shi_dakg
「おいおい、いくら配属が変わったとは言え私を忘れるとはあんまりじゃあないか」 白い軍服が眩しい、体格のいい男が眉を下げて情けない声を出すものだから、なんだか申し訳なくなってすいません、と謝ってしまう。 なんでこんな罪悪感を覚えているのだ自分は。 #防衛日記
2014-03-30 19:27:44
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@shi_dakg
「まぁ、直接会うのは久々だからな」 謝る自分を見て、軍人は困ったように笑った。 その顔を見て思い出した。この人は士官学校から講習に来ていた、あの軍人だ。 …すいません思い出しました、あの時はお世話になりました。 軍人は苦笑したが、気を悪くした風ではなさそうだった。 #防衛日記
2014-03-30 19:30:42
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@shi_dakg
まぁいいさ、と頭を撫でるその手はあの時のままで、ここ最近散々なことしかなかったのを思い出して思わず涙ぐむ。 「なんだ、私が泣かせたみたいじゃないか。こら、泣くのはよしなさい」 すいません、と言うものの声が震えてまともに喋れない。 #防衛日記
2014-03-30 19:35:04
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@shi_dakg
べそべそと泣いていると後ろから新兵の声がした。 「あっちょっと！先輩泣かせたのおじさまですか！？」 おいちょっと。 「まぁ、そうなるな。すまんすまん」 いやすまんすまんじゃないですよ、お前もちょっと、この人偉い人なんだからそういうのやめろ。 #防衛日記
2014-03-30 20:02:17
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@shi_dakg
「心配させる先輩が悪いんですぅ」 べー、と舌を出して天幕に戻る新兵。 …すいません後できつく言って聞かせますので。 「何、気にせんさ。ああいう明るいのも一人は必要だ」 はははと笑う様は豪快で、こちらの暗い気持ちも吹き飛ばすようだ。 #防衛日記
2014-03-30 20:04:22
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@shi_dakg
そう言っていただけると有難いです。お見苦しいところをお見せしました。 「君くらいの歳の娘ならばよくあることだ。気に病むなよ」 もう一度頭を撫でられて、はははと笑われては何も言えない。 あの、…自分は持ち場に戻りますので。 「おうそうか、すまなかったな引き止めて」 #防衛日記
2014-03-30 20:07:23
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@shi_dakg
いえ、お話出来て楽しかったです。では。 「おう——ああ、そうだ。そういえば」 一瞬、躊躇うような間があってから、 「先ほどの娘は、あの子によく似ていたな。あの子は、元気か？」 …×○のことでしょうか？ 「…あぁ、彼女は息災かな？」 最後に会ったのは大分前ですね。 #防衛日記
2014-03-30 20:09:35
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@shi_dakg
元気だと、いいのですが。 「…そうか、そうだな。きっと元気にやっているさ」 すまないな、今度こそ私も戻るよと手を振って軍人は天幕に戻っていった。 …あの少しの間は、なんだったのだろう。 #防衛日記
2014-03-30 20:10:59
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@shi_dakg
3/31/青天 明日から合同任務が始まる為、隊員同士の顔合わせが行われた。 といってもこちらは少数、道中で数も減ってしまったしあちらは大半が人ではない、艦娘と呼ばれるそれだ。 艦娘が可能なこと、不可能なことを説明され、任務の動きについての説明に移る。 #防衛日記
2014-03-31 11:24:52