ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/11/05

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い短い物語です。 過去のまとめ http://togetter.com/id/laybacks
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ソラヒト/くうちゃん @blured_eden

寒い冬のスピードに負けそうになったらオシャレというトリックを使って逃げきろう。ニットやコート、ストールにブーツを味方にすれば季節とのすれ違いも楽しめるはず。そう信じて僕は悴む指先を動かかしてキーを打ちメッセージを配信する。星が煌めく夜ですら通り越して。 #twnovel

2010-11-05 00:13:50
夕凪奏恵 @k_you_nagi

#twnovel ついのべの神様はこれでも一応神様なので、神在祭にいらっしゃい、と使者が来た。今年も小さな物語をたくさん持って行くことにした。書いた人にも良いご縁がたくさんあるようにエライ神様たちにお祈りしてもらおう。ついのべの神様はにこにこしながらついのべの山に埋もれている。

2010-11-05 00:22:16
asuka @_sun3

まだ電源は入れないけど、こたつを出した。それだけでなんか一気に冬になった気がする。こたつに潜ったまま寝てしまった。ちゃんと布団で寝なさい、と懐かしい声が聞こえる気がする。早くこたつを引っ張りだすのは、自分が寂しがりやだからなのかもしれない。少し震えて、這い出た。 #twnovel

2010-11-05 00:42:53
とおる6th @windcreator

そのゼンマイはどちらも錆びていた。全く動かない。長い旅の果てにたどり着いた先で、まさか仕掛けが錆び付いていて動かないとは。童話にも寓話にもなりはしない。よくて三流喜劇というところか。 #twnovel いいえ、恋物語よ。そのオルゴールはね、二つのゼンマイを二人で同時に回すの。

2010-11-05 01:23:44
ジン太 @fujimarujinta

「友達のハッカーから聞いたんだけど、キーボードのHボタンを連打すると、PCの中に閉じ込められてる美少女を魔法使いから助け出せるらしいぞ」「兄ちゃん、くだらねーぞアホ!」そんな弟と会話の次の日、ふと父さんのPCを見ると、Hボタンがへこんでいた。「まさか…父さん?」 #twnovel

2010-11-05 01:53:44
@K_Ichida

#twnovel 時折やってくる切ない思い出の後をつけることにした。残された小さな足跡をつけてゆくと、見たこともない公園についた。大きな樹の葉っぱの裏に思い出がいた。掌サイズの妖精。手を伸ばすと、鋭い爪でひっかいて逃げた。思い出は2度と訪れて来なくなった。

2010-11-05 02:15:54
あまたす @amatasu

恋人には、自分と似ている人を。そう思っていた。ある日、まるで自分の分身のような人に出会った。でも、ダメだった。体に触れようとすると、見えない力で弾かれた。磁石の同極同士が反発しあうように。結局、その人とはそれきりだ。人は、自分自身とは恋愛できないのだ。たぶん。 #twnovel

2010-11-05 03:50:51
浅葉積木 @tsumiki_a

王様は、魔法使いに頼んで片耳だけコウモリの耳にしてもらった。「だけど王様、片耳だけじゃエコーロケーションはできないわよ?」「しまったあ!あの魔法使いめ、騙したな!」「でもモスキート音が聞こえるんじゃない? 若い人みたいでステキ」「そうか?むふふ」 満足そうだ。 #twnovel

2010-11-05 07:10:39
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 子供の頃に好きだったものを、大人になったからって嫌いになるわけがない。僕はそう信じてきた。けれど、あこがれはときに現実から乖離して独り歩きすることもある。それでも、あの頃思い描いていた理想は、消え去ることはない。まるで刻印のように、僕の胸を焦がし続けている。

2010-11-05 07:50:25
C⇔Vおばけ @ASAKi_SAKiRA

#twnovel 僕は君達の言葉を食べる。悲しい事も楽しい事も意味のない事も飲み込める。でも、たまに僕の口に入りきらない程沢山の言葉が流れる。そんな時は目を閉じて空を飛ぶ。鳥達と遊んだ後には、またお腹が減るから。え、バクみたい?僕は悪い事も良い事も食べるよ。それに僕は鯨だもの。

2010-11-05 08:36:00
おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 空を貫く柱は夜明け前の数分間だけ光の加減で姿を現す。その正体は強い強い糸を何本も束ねたものだと薄緑の天使は教えてくれた。空に昇るための塔を作っているという。羽があるのに飛ばないの、と聞くと薄緑の天使は、地球の見えない手に捕まってしまうんだ、と笑って答えた。

2010-11-05 09:51:47
おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 年老いた酔狂な商人は、海からこの街までおそろしく長いパイプを敷設した。海なんて街の誰も見たことがない。好奇心旺盛な少年が真っ先にパイプを覗かせてもらったが何も見えない。「見るんじゃないよ、耳を近づけるんだ」ごおごおと聞こえる音を、商人は海の音だと得意気に言った。

2010-11-05 09:53:03
TAG @bttftag

#twnovel 宇宙移民計画に最適な宇宙船コンペの最終候補に残ったのは、練馬区をまるごと宇宙船にするという企画だった。選考委員は理由として経済区と居住区のバランスや適度な自然を挙げている。だが「もしもの時は関越で地球に戻れる」という発言で、委員の資質に疑問が投げかけられている。

2010-11-05 10:07:24
KEN8 @_akausagi_

#twnovel 最新の技術であの世の人と会話出来る代物が開発された。「霊界電話」と言うらしい。早速、先日亡くなった最愛の恋人に掛けてみよう。「プルルル…プルルル…、こちらは霊界電話サービスです。お客様のお掛けになったお相手は霊界におられません。まだ成仏していない可能性が―」

2010-11-05 11:13:03
@akaz_b131

#twnovel それは禁断の恋だった。彼女は理想の恋人だった。手紙のやりとりでしか会話はできなかったが、彼女は何もかも理解してくれていた。だがある日彼女は「さよなら」だけ残して消えた。彼女の行方を教えてくれたのは医師だ。「彼女は君のために、その身体を共有するのをやめたんだ」

2010-11-05 11:14:07
140字物語 @shortshortshot

突然地上が、天国と地獄両方とつながってしまった。楽園に憧れる地上の人々は天国行きのエスカレーターに殺到し、地獄の亡者はここはもうごめんだと、地上になだれ込んだ。そんな中地獄に向かう人々がいた。「今なら地獄の土地を買い占められる」金の亡者とはよく言ったものである。 #twnovel

2010-11-05 14:21:59
@K_Ichida

#twnovel 作家志望だったAは、ありとあらゆる賞に応募し、デビューを果たした。しかし1年後に行方をくらましてしまった。数年後、再びAは別名義で応募をはじめ、受賞した。そしてまた姿を消した。「オレは作家になりたいじゃなく、投稿のどきどきが好きだったんだ」そう言い残して。

2010-11-05 20:00:30
@K_Ichida

#twnovel 僕は左目に眼帯をしている。左目は違う世界を旅しているのだ。夜、ひとりの時に左目の眼帯を右目につけかえてみる。すると、僕は見知らぬ大地にたち、幻獣たちと対峙している。時には空を駆けていることもある。「眼帯コントローラ使ってないで、勉強しなさい」親に叱られた。

2010-11-05 20:07:42
キヨシロウ @kiyoshiro_aoi

#twnovel 彼女に自分がどう見られているのか気になり彼女の脳に潜ってみたら少し美化された俺がいた。他の人の目も気になり友人知人の脳を覗きみてみたら様々なタイプの自分がいて眩暈がした。最後に自分の脳にダイブしたら既に原型をとどめていない劣悪なコピーがいた。

2010-11-05 20:57:31
(朝斗)外部避難中 @Asatoiro

さあ、君で最後だ。数億年栄えたこの星も残るは一日か、一時間か。どれだけの思い出が刻まれようと運命を共にしようなど考えるんじゃないよ。生き延びてこその時間だ。君はこの星の子供であり、何者でもない無二の魂なのだから。堅く閉じられたハッチ。見送る青年は霧へと消える。 #twnovel

2010-11-05 21:19:54
泥辺五郎 @dorobe56u

#twnovel 黒い靴はよくないよ。影や夜の地面との境目が曖昧になるから。黒いスーツに黒い革靴の人達は半分闇に溶けちゃってる。歩くのにも生きるのにも大した支障はないのだけれど、稀にふっといなくなる人もいる。明るい色の靴を履いてね。昼間になら、溶け込んでもまだ見つけ出せるから。

2010-11-05 22:41:38
@okanak_m

彼女の得意料理は煮しめだった。祖母から受け継いだらしいその温かみのある家庭の味を、アルミ鍋にどっさり作っては、僕や僕の両親に振る舞ってくれた。彼女が突然の事故でこの世を去った日、母親は、泣きながら煮しめを作り、「やっぱりちょっと違うわ」と言って泣きながら食べた。 #twnovel

2010-11-05 23:47:38
@suwazo

#twnovel 「誰か助けてー!」少女の叫びに応じて現れたのは『箱』だった。『箱』は悪党どもを地面に押し潰して気絶させ、少女を自らの上に乗せて空高く浮かび上がった。「あなたは誰なの……?」「ただのシュレディンガーの猫箱さ。僕はここにいて、ここにいない」箱と少女は星空を飛ぶ。

2010-11-05 23:56:08