雁屋哲 美味しんぼ 第604話についての小考察2
この連載当初、ホムンクルス本編とは別に、このトレパネーションについての数ページの特集記事がスピリッツに掲載された。トレパネーションの医学界での位置付けと、その危険性を指摘するための記事だったと記憶している。
2014-05-11 11:50:38ホムンクルスを読んで、よし、自分もちょっと頭蓋骨に穴を開けてみよう、という読者があらわれるとはなかなか想定しづらい。
2014-05-11 11:53:07しかしスピリッツ編集部は、万が一実行に移す読者がいた場合のリスクを考慮して、ある意味作品の味を薄めるような特集記事を挿入したのだろう。
2014-05-11 11:55:55つまりこのときスピリッツ編集部は、たとえフィクション内の話でも、それが科学的事実と異なり、かつ現実世界での実害に繋がる可能性がある場合、その点(漫画内の設定が事実と異なる点)をあえて解説するのが編集責任であると認識していた。
2014-05-11 11:57:54今回の美味しんぼで、作者雁屋氏は明瞭に鼻血と福島での放射能との因果関係を主張しようとしている。4月28日発売号掲載の604話を読むだけでだけでそれは明らかだ。
2014-05-11 12:01:51そして雁屋氏がそう主張することで、現実世界で実害を引き起こす可能性は相当に高い。双葉町役場は(事実かどうかはしらないが)すでにそうした被害が出ていると主張している。 http://t.co/cBKLdSZQ75
2014-05-11 12:05:04繰り返して書くが、フィクションであれば、そうした配慮が編集責任なのか、単なる親切の範疇なのか、ちょっと微妙な話であると思う。
2014-05-11 12:07:52ただ現在の美味しんぼが、フィクションの体裁をとった、作者の政治的思想を主張するためのプロパガンダ漫画であることは、作者のブログを見ても明らかである(アジテーション漫画であるとは言わないでおく)。
2014-05-11 12:13:15であれば、完全にフィクションであるホムンクルス以上に、美味しんぼが表現しようとした事実について、それが現在の科学的知見に照らしてどう位置づけられるのか、(事後ではなく)掲載時に併記しなかったのは編集責任の放棄であると思う。
2014-05-11 12:16:23あるスピリッツ編集員は「編集部は文系人間ばかり」と語った。それは別に構わない。ただそうであれば、自分たちが判断できない科学的知識に関しては、外部の有識者に事前に判断を仰ぐべきではないか。
2014-05-11 12:22:45外部の「公平な」有識者に有識者に判断を仰ぐべきではないか。誰がまともであるかというのも判断は難しいだろうが、少なくともプロパガンダ作家本人が推薦するような、作家側の御用教授や御用市長は「公平な」有識者からは外すべきだろう。
2014-05-11 12:24:48半年くらい前だったか、スピリッツ巻末のエッセイで何とかいう作家が妙な量子論の紹介の仕方をしていた。ちょっと物理の分かる高校生でも「は?」と感じるようなスカタン量子論だった。
2014-05-11 12:26:48量子論の基本のところでよくある誤解をしていて、しかもその誤解のせいで、文章自体が成立しなくなっていたエッセイだったと思う。
2014-05-11 12:31:48別に文系の作家が量子論を誤解して文章を書いてもそう責めるべきではないと思う。しかし内容についてまったくチェックせず、右から左にただ文章を掲載するのは、編集責任の放棄だと思う。
2014-05-11 12:33:01受け取った原稿をチェックせずそのまま載せるのは、編集ではなくて素通しだ。編集部の名前を改めて「「受け取った原稿そのまま載せます」部にでも改称するべきだろう。
2014-05-11 12:37:37164話は明日まで読めないので163話を読み返してみた。今度は雁屋先生の愛読者、ファンになったつもりで再度虚心坦懐に読み返してみた。
2014-05-11 13:06:32それで改めて感じたのは雁屋氏の強い怒りだ。憤激・憤怒の感情だ。その憤怒の感情が一番現れているのは、なんども取り上げたけど、このコマだ。http://t.co/UD66PZljwj
2014-05-11 13:09:20雁屋氏は、おそらくこのコマの「福島の放射線とこの鼻血とは関連づける医学的知見がありません」台詞を実際に医者に言われたのだろう。
2014-05-11 13:12:57福島の取材後「突然鼻血が出てとまらなくなった」「すごく疲労感を感じるようになった」雁屋氏は病院に行ったという( http://t.co/4MgP2fB4bZ )
2014-05-11 13:15:29もちろん病院に行く前から、雁屋氏の中ではその答えは明らかであった。医者にも、おそらくある程度誘導的に病状を説明したのだろう。
2014-05-11 13:16:42