@usagi_shin @y_ich おはよう! クローバーの咲く野原で、ウサギが一匹丸くなって昼寝をしていました。 空には小さな雲が浮かび、風はそよそよと吹いてました。 それはそれは美しい五月の午後のことでした。 ウサギはむっくり起き出すと、クローバーの花をもぐもぐ食べ始め…
2014-05-18 09:18:23@usagi_shin @jina0428 @y_ich どこまでもどこまでも食べ続け、ついに世界中のクローバーをぜんぶ食べてしまいました。ウサギは、クローバーのなくなった世界を眺めてため息をつきました。「どうしたの?」別のウサギが聞きました
2014-05-18 12:27:41@usagi_shin @jina0428 @y_ich 「クローバーの花を食べたい。もっと食べたい(;_;)」「クローバーの花って美味しいの?」「それはもう。食べ始めたら止められないの。」「私も食べたい。どこにあるの?」「ないの。」「一緒に探してあげる。どんな花なのか教えて?」
2014-05-18 12:30:40@usagi_shin @jina0428 @y_ich ウサギは深く項垂れました。「教えてあげたいけど…その花はもうどこにもないの。ないものと同じものを一緒に探すのは難しいよ。」「じゃあ一緒に種をまいて育てましょう。」「種も、ないの。」「ほんとに何もないのね。」「何もないの。」
2014-05-18 12:35:39@usagi_shin @jina0428 @y_ich 「ねえ。そんな花がほんとうに、あったの?あなたはほんとうにそれを食べたの?」「…。」ウサギは、不安になってきました。「食べた…と思うんだけど…。」
2014-05-18 12:37:47@usagi_shin @jina0428 @y_ich 「どんな花だったの?」「それはもう、柔らかくて歯ごたえはしゃきしゃきしていて、ずっと噛んでるとだんだんに口のなかに草の香りが広がっていくの。」別のウサギは、食べたことのないクローバーの花の味を思い浮かべてうっとりしました。
2014-05-18 12:53:01@usagi_shin @jina0428 @y_ich ウサギは記憶の中のクローバーをできるだけ正確に、別のウサギに伝えようとしました。「あじさいの花よりずっとずっと大きくて、中にはたくさんの木の実が詰まっているの。それを前歯でかりっと噛むと甘い蜜が零れてきて…」
2014-05-18 12:59:25@usagi_shin @jina0428 @y_ich それは、この世のものとは思えない、贅沢な味わいの花でした。「そんな美味しいものを食べたの?」「うん」「ひとりで?」「うん」「ぜんぶ?」「うん」「もうひとつも残ってないの?」「うん」
2014-05-18 13:04:20@kuno_nami @usagi_shin @y_ich その時、あたりは急に暗くなって、冷たい風が吹いてきました。ウサギは驚いてあたりを見回すと...
2014-05-18 13:16:58「どうしたのかね、ウサギさん」ウサギはあたりを見回しましたが、誰もいません。 「あなたはだあれ?どこにいるの?」 「わたしかね。わたしは、そのクローバーという花を作ったものだよ」
2014-05-18 13:36:00ウサギさんは大喜びしました。 「クローバーをみんな食べちゃったの。すごく美味しかったから、もっと食べたいの。また作ってくれる?」
2014-05-18 13:40:31ウサギは必死に思い出して言いました。 「うんとね、白くて、白くなくて、小さくて、でもアジサイくらい大きくて、木の実が詰まってて、でも柔らかくて.... ううんと、とにかく美味しいの!」
2014-05-18 13:50:42声の主はちょっと考えてから、ウサギにこう言いました。 「ウサギさん、美味しい花を作ると、また全部食べちゃうね」 「うん。きっと食べちゃう...。でもまた食べたいんです。お願いです。もう一度だけ作って」
2014-05-18 14:00:23「そうかそうか、じゃもう一度だけ作ってあげよう。 ただし、一つだけ約束を守れるかな?」 ウサギさんは嬉しくてピョンピョン跳ねて喜びました。 「もちろんです。必ず守ります」
2014-05-18 14:13:09それ以来ウサギは、小さなおくちで、ちょっとずつ花を食べるようになりました。 一日中モグモグしてもクローバーの花がなくなることはありませんでした。 おしまい!
2014-05-18 14:54:49