「人の不幸は蜜の味」

140字で紡ぐSSシリーズ 無事に完走いたしました 最後までお付き合いくださりありがとうございました
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鈴木楪 @crazy_cat8062

[第十五話 崩れ始めた均衡] とうとう手を出してしまった彼らに、情けと言う言葉は消え去りました 大切なもののために、彼女は悪魔となることを覚悟します たとえ身内に恐れられようとも、彼女の決意は変わらないのです

2014-06-14 23:10:30
鈴木楪 @crazy_cat8062

最悪だ。よりにもよって、妹に手を出すなんて。小悪党が、正々堂々という言葉をしらないのだろうか。本気で潰してやる #twnovel あいつは何も知らない。知らないでいいようにしてきたのだから。それなのに奴らときたら…。痛い目を見ないと分からないらしい。分かる前に沈めてやる。

2014-06-15 21:57:50
鈴木楪 @crazy_cat8062

[第十六話 動き出した世界] 彼女は動き出しました ついに時が来たのかと、彼は覚悟します 何が起こっているのか分からぬまま、彼女の大切なものたちも動き始めます

2014-06-15 22:00:07
鈴木楪 @crazy_cat8062

「あの女を連れ出すのにはこいつが一番だろうが。老いぼれが退いたと思ったら、一族の恥晒し者を当主にしやがって…。しかし、あのしじい毒でも盛られなきゃ引退しないと思ってたんだがなあ」 #twnovel 目の前で繰り広げられた会話に、血の気が引いた。そう、姉さんならやりかねないのだから

2014-06-15 22:06:03
鈴木楪 @crazy_cat8062

[第十七話 気付いた、けれど気付けない] 彼女が毒を盛って自分が当主になったのだということは分かりました なぜそんなことをしたのかは分かりません 自分に何も知らされていなかったのも気付きません

2014-06-15 22:08:18
鈴木楪 @crazy_cat8062

「いいか、早く決めるんだ」目の前に立ちはだかる親族たち。今、そんなことに構ってる時間はないのに。彼らは分かっていてやるから質が悪い。私が継がないと言えば満足するわけ? #twnovel どいつもこいつも、私を不機嫌にさせる天才だ。そんなに殺られたいの?手の中で鈍く光る銃口を、私は

2014-06-20 11:42:07
鈴木楪 @crazy_cat8062

[第十八話 理想と現実] 心のどこかで、彼女は分かり合えると期待していました けれどそれは、あっけなく打ち砕かれます その時とった行動に、なんの後悔もありません ただ彼女は、大切なものたちのために

2014-06-20 11:43:46
鈴木楪 @crazy_cat8062

もう、あたしはダメかもしれない。まともな死に方はしないと思ってたけど、いざそうなると怖い。助けて、なんて言う資格ないのに、助けてと口に出してしまった #twnovel 「お邪魔しまーす。迎えにきたよ」笑顔で扉を開けたのは、血の匂いを纏った彼女だった。これは、叔父さんの血の匂い…。

2014-06-23 23:09:54
鈴木楪 @crazy_cat8062

[第十九話 ヒーローは後からやってくる] 急いでいた彼女は、迂闊にも返り血を浴びてしまっていました それほどまでに急いでいたのです その姿を見た彼女から、理性はどこかへと行ってしまいました

2014-06-23 23:12:53
鈴木楪 @crazy_cat8062

とうとう彼女がブチギレた。目に見えて殺気の量が増えたのだ。彼女でさえ抑えきれない漏れ出る殺気に、気を失った者がいる。何より親父が一番ビビってた #twnovel 間抜けな妹のことが引金だろう。俺はただ、彼女のために動くだけだ。たとえ、親友を殺せと言われようとも。ただ、彼女のために

2014-06-24 22:56:59
鈴木楪 @crazy_cat8062

[第二十話 過ぎ去りし日々を壊す] 殺気を隠すことに長けていたはずの彼女から殺気がもれていたことに、彼は驚きました それと同時に、それだけ自分の大切なものを守ろうと必死なのだということに心打たれました

2014-06-24 22:59:48
鈴木楪 @crazy_cat8062

「どうして来たの?」奴は飄々とした表情で言い切る。ふざけるな、そんなの、お前が一番よく分かってるはずだ #twnovel 「……お前こそ、なんで――」そこから先の言葉は続かず、目の前の敵も呆気なく死んでしまった。お前がこんなに弱いはずはないのに、なんでこんなに簡単に殺されるんだ?

2014-07-28 12:40:57
鈴木楪 @crazy_cat8062

[第二十一話 その手にかけえて] 彼女の命令がなくても、彼はその手にかけていたでしょう。それを知っているから、彼に殺されることを選んだのです。 せめて、親友という肩書は消してほしくないと願いながら。

2014-07-28 12:46:30
鈴木楪 @crazy_cat8062

「あれで、本当によかったの?」事態が落ち着いて一か月。あたしたちの周りは驚くほど静かになった。もう命を狙ってくるような輩は、いない #twnovel いいんだよ、と笑う姉さんの顔には、安堵と疲れと、それからほんの少しの翳りが浮かんでいた。その理由は、ばかのあたしには分からない

2014-09-27 22:19:19
鈴木楪 @crazy_cat8062

[第二十二話 読み取れない感情] 彼女のことを理解できる人間は、この世に一人もいないでしょう。家族でさえも分からないのですから。 だからこそその強さがあるのかもしれません。 その強さゆえに、分からないのかもしれません。

2014-09-27 22:21:53
鈴木楪 @crazy_cat8062

思い出の地を今日、離れる。爆発音と共に #twnovel こんな私でも彼らは姉と慕ってくれた。それが仮染めだったと伝えなかったのは最後の慈悲。彼がそう望んだのだから。これで、私が最後の生き残り。地球上でただ一人の、吸血種。もうこれ以上悲劇は生まれない。これで、全部全部、終わり。

2014-11-20 23:13:24
鈴木楪 @crazy_cat8062

[最終話 終止符とそれから] 真実は闇に葬り去りましょう。それが一番幸せですから。 彼女はひと時の幸せと引換に生涯の孤独を手に入れました。 それが彼女の選択なのです。それ以外の道を見つけられませんでしたから。

2014-11-20 23:17:29