Nitoro's Strange Show　『葬式』

nitoro（一日三錠） @NeoYoshikun

前置 僕じゃなくてNという人の話 友人のNに何か面白い話はないのか、とつついたら落ち着いた様子で「変な話ならある」と言った

nitoro（一日三錠） @NeoYoshikun

「葬式っていや、まぁ誰だって一度は経験するよな。うん、そう、葬式の話だよ。俺の祖母の妹、つまり大叔母の葬式の話だ。ま、祖母と大叔母はかなり仲が良かった。俺も幼稚園の頃良くして貰ったよ、お菓子貰ったりね。大叔母の家は近所なんで祖母と一緒に遊びにも行った」

nitoro（一日三錠） @NeoYoshikun

「そういえば、大叔母の家で犬に噛まれてから犬が嫌いになったんだっけかな…今は関係ない話か。んで、俺が中学生ぐらいの頃、その頃は俺と大叔母は殆ど接点がなかったんだけど、祖母はちょくちょく会ったり、未だ仲良しだった」

nitoro（一日三錠） @NeoYoshikun

「その頃に、急に大叔母が亡くなってね。事故だったかも、良く覚えてないんだけど…葬式になった。親戚だからね、家族全員出たよ。バスで送迎されて式場行って、坊さんが経を読んで、飯食って帰った。まぁ、普通の葬儀だ。どこが変な話かって思うだろ？」

nitoro（一日三錠） @NeoYoshikun

「俺はね、中学生だったんだけど、その葬式が何ていったらいいかな、ひどく虚しいっていうか…中身のないものに感じていたんだ。いや、死んだ大叔母をバカにしているわけじゃない。お世話になった人だ。そんなつもりはなかった。でも、なんというのかな『これ葬式する意味あるのか？』って感じだった」

nitoro（一日三錠） @NeoYoshikun

「俺は無意識だったんだけど、バスで送迎中に言ったんだよ。『これ誰の葬式？』って。家を出る前に聞いてた。大叔母だって。変だろ？でも、実際にそう感じてたし、ついうっかり言っちゃったんだ。つまりね、俺は、大叔母が死んだと思ってなかった、実感が無かったのかも知れない」

nitoro（一日三錠） @NeoYoshikun

「まぁ、叱られたよ。お前何言ってんだ、って。式はちゃんとやったし、祖母も泣いてた。でも、俺は腑に落ちなかったんだ。俺はずーっと何でこの葬式に出ているのか理解できなかった。大叔母の顔も見たよ、大叔母だった。それでも、やっぱり変だなって思っていた」

nitoro（一日三錠） @NeoYoshikun

「…大叔母の姿は、葬式から見てないから、死んだと思うよ。でも、あれが本当に大叔母だったのか、どっかで中身が入れ替わったんじゃないか、あるいは、全く違う何かを葬式してたんじゃないか、って。どこかで、誰かが気づいて、俺が最初だったんじゃないかなぁ、ってぼんやり思っている」

nitoro（一日三錠） @NeoYoshikun

「祖母は何も言わないし、大叔父も喋らない。悲しみを背負ってんのかな、とも思ったし、俺はその頃には疎遠だったからね。でも、祖母が死んだら四十九日も一回忌もやったし、親戚が集まったんだよ。俺んとこ地方だから、絶対集まるんだよ」

nitoro（一日三錠） @NeoYoshikun

「まぁ、俺の勘違いかもしれない。死人に対する感情は色々だから、そういうこともある。そう…じゃぁ、何で四十九日も一回忌も三回忌も無かったのか、ってのは今でも謎なんだよ。あれ本当は違う人が死んでたんじゃないのか、って今でも思う」