バルテュス展特別座談会レポート(+補足)

5月25日15時より東京都美術館で開催されたバルテュス展特別座談会の様子をまとめました。登壇者はヴィヴィアン佐藤(進行)、会田誠、東浩紀の三氏。 ◇東京都美術館公式サイト http://www.tobikan.jp/exhibition/h26_balthus.html ◇特設サイト 続きを読む
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橋爪勇介|美術手帖 @hashizume_y

さて、バルテュス展座談会の様子を連投します。しばしご容赦を。登壇者は会田誠・東浩紀・ヴィヴィアン佐藤(進行)のお三方。尚発言は正確ではない場合が多々ありますのであらかじめご了承下さい。

2014-05-25 17:45:26
橋爪勇介|美術手帖 @hashizume_y

1.ヴィヴィアン(以下ヴ)「この座談会は節子夫人が帰国したタイミングで開催された。バルテュスに関する印象は?」 会田「≪犬≫の時から意識にはあった、エロティックとしての先達。澁澤龍彦の煽りも凄かった。」 東「少女愛というよりは古典主義への回帰。」

2014-05-25 17:45:40
橋爪勇介|美術手帖 @hashizume_y

2.≪夢見るテレーズ≫について 会田「バルテュスの癖が抑えられている。緊張して描いている感じ。」 東「少女の肉体に対する偏愛は感じなかった。むしろイコンのよう。」 会田「(描くのは)少女じゃなければダメという人ではない。モチーフとしてよかっただけ。」

2014-05-25 17:45:56
橋爪勇介|美術手帖 @hashizume_y

3.ヴ「構図がかっちりしていて、性器に目が行くようになっている。」 東「バルテュスの中には最初から理想的な構図があるのでは?そこに人体を当てはめているのではないか。だからそれぞれの少女の個別性は低い。」

2014-05-25 17:46:11
橋爪勇介|美術手帖 @hashizume_y

4.会田「バルテュスは絵が下手ですよね。そしてバルテュスについては喋りにくい。」 東「人形愛みたい。死体として描いている。」 会田「えてして独学の人は絵が硬くなる。」 東「(少女ではなく)“絵画”を描きたかったのでは。」

2014-05-25 17:46:37
橋爪勇介|美術手帖 @hashizume_y

5.会田「猫だって人間の顔みたい。」 ヴ「≪わだばバルチュスになる≫について教えて下さい」 会田「ACACに滞在中、アート系DVDがあって、そこにバルチュスのドキュメンタリーがあった。それを見た翌日に描いたもの。何だかんだで自分との距離感を感じた。」

2014-05-25 17:47:14
橋爪勇介|美術手帖 @hashizume_y

6.東「バタイユは官能性が溢れるが、バルテュスはあまりエロティックではない。世界を閉じ込める人。今回の展覧会は節子さんの協力の元成り立っている。だからあまり肉感的なものがないのでは。ある種の方向性付けがなされている。」 ヴ「家庭画報的ですよね。」

2014-05-25 17:47:26
橋爪勇介|美術手帖 @hashizume_y

7.ヴ「バルテュスの少女は会田さんの少女とどう違うのか?」 東「記号としての少女が好きなのか、肉感としての少女が好きなのかは違う。バルテュスは記号的で日本のサブカルに近い。バルテュスは少女以外の部分に目を向けたほうが面白いのかも。」

2014-05-25 17:47:40
橋爪勇介|美術手帖 @hashizume_y

8.会田「絵画において職人性を重視する人々は日本のアカデミズムにも多い。そういう人々は面白くないが、バルテュスはどこかアンバランス。節子夫人を描いたものなんかも日本美術のエッセンスを吸収し切れていない。」 ヴ「バルテュスの絵は半径3メートル以内の絵画という感じ。」

2014-05-25 17:47:55
橋爪勇介|美術手帖 @hashizume_y

9.会田「モテる男が描いた少女という感じ。女性とのコミュニケーションに不自由したことのない絵。モデルとの関係も良好だったんだろう。全体的に悔しいです(笑)」

2014-05-25 17:48:04
橋爪勇介|美術手帖 @hashizume_y

10.会場から質問「注文肖像画は上手いのに自分が自由に描いた絵は下手ですよね?その辺りの二面性は?」 会田「書道の字と普段の字をイメージするといい。力めば出来る。描き分けているというよりは、緊張があれば上手く描けるということだと思う。」

2014-05-25 17:48:25
橋爪勇介|美術手帖 @hashizume_y

11.会田「バルテュスは自分のデッサンの狂いを分かっている節がある。その辺りが分かりにくいところ。性格が変わっていたんでしょう(笑)」以上。

2014-05-25 17:48:34

補足

永瀬恭一(一人組立) @nagasek

バルテュスの「上手さ」は別にして40年代以後、壁と空間を選ぶ事は事実で、だから可動壁は作品にそぐわないとブログには書いた→バルテュス本人なら拒否しただろう可動壁でのババルテュス d.hatena.ne.jp/eyck/20140515 展示関係者は、分かってないのでなければ無視したような。

2014-05-27 09:10:06
永瀬恭一(一人組立) @nagasek

バルテュスの上手さを別にする、というのは、彼が独自の技術体系を持っていることは承知した上で僕はその体系が受け入れられないし(30年代までは理解できるとして)、会田氏が「下手」と言ったのは、その技術体系のあまりの「狭さ」を指しての事ではないかな。

2014-05-27 09:17:33
永瀬恭一(一人組立) @nagasek

要はかなり作家に寄り添った見方を要求するんだと思うな後半のバルテュスは。

2014-05-27 09:17:39
永瀬恭一(一人組立) @nagasek

バルテュスの件、別に節子夫人がどうこうということではなく、一般にアーティストの死後に遺族が前面に出てくるのは、ほとんどネガティブな効果しか生まないと思うな。

2014-05-27 09:26:25
齋木克裕 @ka2saiki

バルテュスが下手と言っていたのって会田さんだったんですね。。 j.mp/1k82PW7 コテンパンに言っていて可笑しいですが。

2014-05-27 08:47:16
会田誠 @makotoaida

ルーベンスを上手いとするような価値観から見たら、バルテュスやセザンヌやゴッホは下手になるれど、そここそ近代絵画の肝であり、特にバルテュスは事情が複雑ーーみたいなニュアンスが言いたかったのですが、伝わらなかったかもしれません。@ka2saiki @prof_butterfly

2014-05-27 09:18:11
齋木克裕 @ka2saiki

アカデミズム的な上手さからみたら下手だけど、そこが面白いと言われてますね。 RT @makotoaida: ルーベンスを上手いとするような価値観から見たら、バルテュスやセザンヌやゴッホは下手になるれど、そここそ近代絵画の肝で… @prof_butterfly

2014-05-27 09:29:02
永瀬恭一(一人組立) @nagasek

だいたい想像した内容>会田氏の考え(少し違ったけど。バルテュスは「複雑」なのではなく、やはりその技術体系が相当「狭い」んだと思う。セザンヌやゴッホと並列するのは僕は無理)。

2014-05-27 09:33:55
会田誠 @makotoaida

バルテュスのことで僕が語り足りなかったと今思うのは、「油絵(テンペラなども含む)独自の愉悦」みたいなことかなあ。日本人画家だと高橋由一と岸田劉生にしか感じないような、あの感覚。どうせ語り始めても、もにゃもにゃして終わっただけだろうけど…。

2014-05-27 09:40:40
齋木克裕 @ka2saiki

僕が気になったのはどちらかというと上手いか下手かということより、以前TLで見かけたような孤高のアーティスト像というか、独学で美術史とは関係なく作品を作り続け、独特の作風を築き上げたというような、ある種の素朴な画家してみるような見解かな。

2014-05-27 09:51:15
野々村文宏 @nonomurax

それ言ったら、フランシス・ベーコンもそうだよね。   @ka2saiki 独学で美術史とは関係なく作品を作り続け、独特の作風を築き上げたというような、ある種の素朴な画家してみるような見解かな。>バルテュス

2014-05-27 09:55:16
齋木克裕 @ka2saiki

ですね。具象画を描いてるだけで反時代的と思われているとか。 RT @nonomurax: それ言ったら、フランシス・ベーコンもそうだよね。  

2014-05-27 09:58:37