右ババくんで１４０文字SS・３

しずく @huurinteien

貴方はシンアリで『善意の裏返し』をお題にして140文字SSを書いてください。 shindanmaker.com/375517 久しぶりに開いたらこんな…！萌える。

しずく @huurinteien

町の寂れた図書館。そこに月に一度、男が大量の本を持って現れる。「いつもありがとうございます」父からの遺産で譲られた小さな館を図書館として生まれ変わらせた。生前は世話になったから。そう言って本の寄付に訪れる男。本を受け取り、笑う。「…礼には及ばないよ」カチリ。鍵の掛かる音がした。

しずく @huurinteien

いるはずのない、彼の姿を見た。離れ離れになって、暫くたったある日。強い風が吹いてきて、ふと見た木の下に彼は立っていた。見間違えでなければ笑っていたと思う。瞬きをする間に、消えてしまったけれど。彼との別離は必然だったが、幻を見るほど恋しいと思っていることにその時、気付かされた。

しずく @huurinteien

「キスをしてない所なんてあったかな…」「え？」ジッ、と目の前の体を頭の上から足の先まで見つめる。朝から聞こえてきた誰かが戯れにつけたであろう記念日。「唇で触れる部位にも意味があるらしい。面白いね」「ええ。でも、してる時はそんなの考えてないですよね」しれっと告げた顔に吹き出した。

しずく @huurinteien

「えっ、でも…そうですよね？」突然吹き出されて焦る。確かに、今日そこかしこで聞こえてきた噂話の事は知ってるけど、特に意識するほど特別な行為だとは思っていない。「…ふっ、ふふ。まぁ、そうだな、」「意外と気にするんですね」「まさか」そのまま眉間に唇を押し当てられる。ほら、やっぱり。