「欧州の未来はジダンか、ルペンか」に対する@modi_operandiさんのつぶやき
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欧州の未来はジダンか、ルペンか【デモクラシーのゆくえ:欧州番外編】 #BLOGOS blogos.com/outline/87189/ こういう記事は日本語ではありふれているけれど、ろくでもない内容。特定の個人に「移民」や「極右」を象徴させるのだけど、仏で起きていることを何も知らない
2014-05-29 05:31:19今回の欧州議会選挙でフランスでは極右政党が第一党になった問題、日本ではまだ専門家による分析がメディアに出ていないようだ。自分は専門家ではないけれど、以下で基本的なことだけ確認しておく。
2014-05-29 05:33:51①「欧州議会」選挙という特質について。今回の選挙は、EUが単位。フランスでは、地方選挙、国政選挙、EU選挙で、時期が近くても勝利する政党が異なることが多い。極右政党は、80年代から国政選挙では得票を伸ばしてきたけれど、地方選挙では相対的に苦戦している。具体的な政策がないから。
2014-05-29 05:38:58②国家やEUレベルになると、ナショナリズムを動員して象徴闘争をすることが可能になる。フランスでは、右派とされるUMP党と左派とされる社会党が相対的に大きな政党なのだけど、両者とも政権運営能力があって現実的である。それゆえ、フランス社会の複雑で大きな問題は、すぐには解決できない。
2014-05-29 05:43:26③一方で、極右のFN党には仏共産党同様、政権運営能力が全くない。しかし、それゆえに好き勝手なことを言える。「UMPや社会党は現実を見ていないのだ、何が問題なのか分かっていないのだ」「問題は移民とグローバル化だ!」と主張するわけである。そうすると、半分くらいの人は説得されてしまう。
2014-05-29 05:46:44④ここまでは、分かりやすいはず。しかし、この先は、社会学や人類学を学んだ上で仏でフィールドワークを重ねた人でないと分かりにくいかもしれない。まず確認するべきことは、「移民」というのは実体ではなく言説であること。「移民」というのは現実にあるものというよりは、概念として構築されるもの
2014-05-29 05:50:33⑤実は日本においても、「移民」というのは実体ではなく言説である。「移民」とは何か、明確に答えられるだろうか。それが可能なのは、法律上の規定である。しかし、それだけでは「移民」に伴うイメージは十分に浮かんでこない。日本で「移民」概念を構築するには、単一民族神話を持ち出さねばならない
2014-05-29 05:53:15⑥フランスの話に戻ろう。仏にももちろん、レイシズムがある。しかし、「人種」と「国籍」によって「移民」が定義されているのかといえば、決してそんなことはない。仏の人びとが「移民」とみなす人の多くは、法律上は同国民である。また、仏では文化的レイシズムによって肌の色以外の要因で差別される
2014-05-29 05:58:09⑦何が言いたいかというと、仏においては「移民」はもう定義できないということ。だから、論理上、「移民排斥」はできない。UMPや社会党はこのことを十分に理解している。だからこそ、有効な「移民」対策ができるわけがない。仏の都市政策や教育政策の多くが、実は広義での移民政策になっている。
2014-05-29 06:01:09⑧(承前)こういうことが実質的には「移民政策」であることをフランスの人びとの大半は理解できないし、日本の場合は研究者でも理解できない人が多いだろう。「移民」とは実体ではなく言説である。このことがまずは確認されなければいけない。それでは、そのような言説にどうしてリアリティがあるのか
2014-05-29 06:04:20⑨「移民」のリアリティについて論じると何冊もの本を書けてしまうけれど、ここでは話を単純化する。それは3つの観点から考えられる。一つは、植民地主義の歴史。これが「移民」言説の基本的構造を作っている。二つ目は、マスメディアによって流布された言説とイメージ。三つ目は、日常の「実感」。
2014-05-29 06:08:51⑩メディアによって構築される偏見や助長される差別については、日本と似たような構図が仏にもあると思って頂きたい。ややこしいのは、三つ目の「実感」である。つまり、仏を脅かす存在としての「移民」が実際に存在すると肌感覚で思っている人びとが、仏には多いということだ。
2014-05-29 06:11:23⑪なぜ、多いのか。前提としては、植民地主義によって歴史的に構築された差別意識が社会構造として残っており、その社会構造の上に立って、多くの人びとは社会認識をマスメディアに頼って行っていることがある。大事なことは、多くの人びとの日常においては、そのような認識を改める必要がないこと。
2014-05-29 06:15:56⑫「必要がない」というのは、マスメディアによって構築される「移民」ーーアラブ系ムスリムや黒人で、貧しくて危険な存在ーーのイメージを覆してくれるような経験をする機会がないということ。例えば、パリ市内に住んでいたら、そのような経験をする機会は日常的にある。しかし、そうでない人は多い。
2014-05-29 06:19:31⑬仏各地に土地勘のない人には説明しにくいのだけど、面積は様々であれ、仏にも親か本人が外国の生まれである人が相対的に多い地区・地域が、多く存在する。「移民」を敵対視する人が相対的に多いのは、そのような地区・地域の中ではなく、周辺ないしは外部に住む人びとである。
2014-05-29 06:23:38⑭(承前)仏の地理と地域特性を知らないと、極右政党の支持層はフランス中に散らばっているように見える。しかし、それは一面的で表面的な見方である。「移民」としてメディアに表象される人びとが相対的に多い地区・地域があり、そこではなくその近くに住む人たちが「移民」問題を実感を抱いている。
2014-05-29 06:28:19欧州議会選挙でフランスで極右政党FNが躍進したのは、オランド政権(社会党)の支持率がきわめて低いことに加え、地方選では躍進したUMP(保守系政党)の支持層がFNに流れたということである。UMPはメルケル政権と仲が良く、俗には親EU派で括られる。今回、反EU派はUMPを避けた。
2014-05-29 07:26:16フランスで排外主義が勢いを増していて極右政党が選挙で躍進、という構図は表面的かつ一面的である。歴史と社会構造まで見るのは学者の仕事だろうけど、ジャーナリストの皆さんにはせめて政党間の関係と各党の動きを見て頂きたい。それくらいはできるでしょう。
2014-05-29 07:31:33日本政府は日本には「移民」がいないという立場を貫いていて、これは意図としては浅薄な事なかれ主義と排外主義が混ざったもの。しかし、「移民」概念を積極的に構築しないという点に限って(ここが大事!)は、この姿勢は評価できる。「移民」ではなくて人間および市民として処遇していかねばならない
2014-05-29 09:26:24さっき紹介した木村正人さんの記事はひどい内容だと思う。いくらジャーナリストだとはいえ、英語で入手できる情報だけでももっとまともなことが書けるはず。
2014-05-29 07:35:15