- asagi01dog
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彫刻のように美しい君が僕を見つめる。手を頬に添えれば、猫のように擦り寄り、伏せた睫毛がまた美しく揺れた。君の声を僕はまだ知らないけれど、これから過ごしていけばいつか聴けるだろうか。
2014-06-02 19:18:45彫刻のように美しい君が僕を見つめる。手を頬に添えれば、猫のように擦り寄り、伏せた睫毛がまた美しく揺れた。君の声を僕はまだ知らないけれど、これから過ごしていけばいつか聴けるだろうか。
2014-06-02 19:18:45彼がほぼ一日を過ごすのは僕の祖父が大切にしていた温室で、世界各国の珍しくも美しい植物たちが育てられていた。それから数羽の小鳥たちがいて、彼と小鳥たちは密やかな時間を共有しているようだった。
2014-06-02 19:21:16彼がほぼ一日を過ごすのは僕の祖父が大切にしていた温室で、世界各国の珍しくも美しい植物たちが育てられていた。それから数羽の小鳥たちがいて、彼と小鳥たちは密やかな時間を共有しているようだった。
2014-06-02 19:21:16彼の興味は今、其処にある。それはとてもいいことではあったけど、もう少し人間世界に馴染んで欲しいとも思う。植物に囲まれた彼は未だ、別世界に生きてしまっている。
2014-06-02 19:23:52彼の興味は今、其処にある。それはとてもいいことではあったけど、もう少し人間世界に馴染んで欲しいとも思う。植物に囲まれた彼は未だ、別世界に生きてしまっている。
2014-06-02 19:23:52「はじめまして」彼と彼を会わせたのは、それからしばらくしてだった。はじめての僕以外の人間に彼は一瞬戸惑い、けれどすぐに興味を引かれていったのがわかった。
2014-06-02 19:26:06「はじめまして」彼と彼を会わせたのは、それからしばらくしてだった。はじめての僕以外の人間に彼は一瞬戸惑い、けれどすぐに興味を引かれていったのがわかった。
2014-06-02 19:26:06それから友人はよくやってくるようになった。喋れない彼によく声をかけ、植物についても説明したりしていた。「可愛い方ですね」友人は今日も夕方を過ぎて、彼に手を振って別れた。
2014-06-02 19:28:35それから友人はよくやってくるようになった。喋れない彼によく声をかけ、植物についても説明したりしていた。「可愛い方ですね」友人は今日も夕方を過ぎて、彼に手を振って別れた。
2014-06-02 19:28:35(可愛い…)僕には感じた事のない感情である。まぁそう感じるのは仕方がないのかもしれない。今まで彼に話しかけたのは、日常的なモノだけだったからだ。けれど改めて彼の様子を何気なく見つめてみると、前と違っているのがなんとなく解った。
2014-06-02 19:32:21(可愛い…)僕には感じた事のない感情である。まぁそう感じるのは仕方がないのかもしれない。今まで彼に話しかけたのは、日常的なモノだけだったからだ。けれど改めて彼の様子を何気なく見つめてみると、前と違っているのがなんとなく解った。
2014-06-02 19:32:21「き、く」その朝、僕は手にしていたコーヒーカップを落とした。幸い空だったそれはただ割れただけ。そして、僕の中の何かも割れたような気がする。「き、くは、どこ?」
2014-06-02 19:35:02「き、く」その朝、僕は手にしていたコーヒーカップを落とした。幸い空だったそれはただ割れただけ。そして、僕の中の何かも割れたような気がする。「き、くは、どこ?」
2014-06-02 19:35:02「僕は、君に感謝してるよ。ありがとう、そしてさよなら」閉じた扉には頑丈な鍵を付けた。これでもう友人はやってこれないだろう。そして彼も、出れることはないだろう。
2014-06-02 19:37:17「僕は、君に感謝してるよ。ありがとう、そしてさよなら」閉じた扉には頑丈な鍵を付けた。これでもう友人はやってこれないだろう。そして彼も、出れることはないだろう。
2014-06-02 19:37:17「ぼく?」「そう、君だ」「なまえ…」「うん。言えるかな」「なまえは…」あぁ、やっと彼が君に変われるんだね。小鳥が小さく鳴いた。
2014-06-02 19:41:44「ぼく?」「そう、君だ」「なまえ…」「うん。言えるかな」「なまえは…」あぁ、やっと彼が君に変われるんだね。小鳥が小さく鳴いた。
2014-06-02 19:41:44「残念です、博士」はっと気付けば、其処は薄暗いラボだった。目の前では赤いランプが点滅し、耳障りな警告音が鳴り響いている。「失敗した…と?」となりにいた助手はこくりと頷いた。
2014-06-02 19:44:01「残念です、博士」はっと気付けば、其処は薄暗いラボだった。目の前では赤いランプが点滅し、耳障りな警告音が鳴り響いている。「失敗した…と?」となりにいた助手はこくりと頷いた。
2014-06-02 19:44:01「また、また君に逢えないのか…!」いつも辿り着く寸前でこの“夢”は終わる。いつもいつも、僕の名前だけ呼ばないまま。
2014-06-02 19:46:24「また、また君に逢えないのか…!」いつも辿り着く寸前でこの“夢”は終わる。いつもいつも、僕の名前だけ呼ばないまま。
2014-06-02 19:46:24「矛盾と願望、欲望。そして理不尽。そんなんじゃ決して手に入らねぇって、早く気づけよ」と悪魔の使いは嘲り笑った。
2014-06-02 19:49:25