茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1260回「芸術的な、紙の本」
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げか(1)このところ、小説をいくつか読んでいた。そのうちのいくつかは、単行本で読んだ。村上春樹著『女のいない男たち』、三浦しをん『舟を編む』。それで改めて気づいたことは、紙の単行本は、使う紙の質感とか、仕上がりを工夫しているものが多いということだ。
2014-06-08 08:23:23げか(2)新潮社が出してくださった『脳と仮想』は、初版からしばらくの間、製紙会社が開発した、紙の一部が透明になる紙で、タイトルが印字されていた。紙の質感も、とても細かいホワイトチョコレートをぱらぱらとまぶしたような、そんな感じになっていて、とてもいいものであった。
2014-06-08 08:25:08げか(3)あの時の担当は北本壮さんだったと思うけれども、とにかく、編集者というものが、単行本の紙の構成などを紙会社の方と打ち合わせして決めていく、ということを初めて知った。それをしばらく忘れていて、今回、小説をいくつか単行本で読んで、改めて思い出した。
2014-06-08 08:26:28げか(4)出版社の方々と喋っていると、電子書籍というものは、紙の本に比べるとまだまだ売れないようである。それが、過渡期の谷なのか、電子の世界に本が移住し損なう兆候なのか、まだわからない。私自身は、電子書籍は随分と買って、KindleやiBookで読んでいる。
2014-06-08 08:27:41げか(5)Kindleは、主に、amazon.com(米国)から英語の書籍を買うのに使っている。日本のアカウントと混ざってしまうのがイヤで、日本語書籍はiBookで読むことにしている。まだ発売されているものが限られていることもあって、紙の本を入手する。
2014-06-08 08:29:00げか(6)そして思うことは、芸術のような紙の本があるということだ。これは、文庫本とか新書だけでは、気づきにくいことかもしれない。もちろん、文庫本や新書も、紙や装丁を吟味しているとは思うけれども、ある種の単行本が持っている、紙の質感の独特の魅力には及ばない。
2014-06-08 08:30:16げか(7)紙を持って、時に指の腹でなでた時の、なんとも言えぬ質感の世界がある。もっとも、すべての単行本がそうだ、というわけではなく、一部に、異様と言っていいほど凝った単行本があるということである。これは、実物を持って確かめてみないとわからないから、本屋さんの意味も出てくる。
2014-06-08 08:31:40げか(8)考えて見ると、本の装丁うんぬんはしばしば議論されるが、それはあくまでも本のヴィジュアルを指すことが多く、デジタルデータでもある程度判断できる。私が今回目覚めてしまったのは、持った時のぬくもりとか、触感の世界における芸術性で、これは実物がないと確認できない。
2014-06-08 08:32:45げか(9)今、手元にある単行本のいくつかで確認してみたけれども、すべてが、凝った紙の使用をしているわけではないようだ。小説などの文芸書の世界の編集者の中に、芸術的にみてすぐれた紙の使用をする方が多いのかもしれぬ。紙表紙を外した時の本のさわり心地を確認する、ヘンな習慣がつきそうだ。
2014-06-08 08:34:30