- Eric_Ridel
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モーニングに限らず「週刊漫画誌はF1である」というのが私の持論です。“レベルが高い”ということではありません。「最もある目的に特化したレース」だ、ということです。
2010-11-11 17:45:20F1カーほど汎用性がない車はありません。たとえばラリー車やトラクターはある程度は公道でも走れそうですが、F1カーはムリ。何しろ超高回転をキープし続けなきゃすぐぶっ壊れてしまう。「速く走る」というたったひとつの目的のみに全てを捧げきっている。
2010-11-11 17:45:32週刊マンガ誌もそう。そこで走るクルマの目的は「その回その回の20ページを問答無用で楽しませる」ってこと。本来は一つの長いストーリーを、毎週ぶつ切りにして見せていくなんて、ストーリーを扱う商売としては、とんでもなくむつかしいことだし、それ以前にとても特殊で異常なことだと思う。
2010-11-11 17:45:43しかも週刊誌を買ってくれるお客さんってのは、必ずしもそこに載ってる作品のファンとは限らない。単に時間潰しでふと買ってみた、って人もいるかもしれません。そういうお客さんの心をも一発でわしづかみにして「お!? 初めて読んだけど、面白いじゃん!!」と思わせなければならない。
2010-11-11 17:45:56実際、週刊誌の最大のターゲットはこういう“冷たいお客さん”。網棚に置き去りになってるのをふと拾ったり、コンビニで何気なく立ち読みしたり…、そういう「偶然の読者」を逃がさず捕まえることで部数が伸びてきた。
2010-11-11 17:46:06でも、自動車業界全体から見たら、ほんの数パーセントの要素でしかないF1が、自動車そのものの発展に決定的影響を与え続けてきたように、たとえたった数パーセントでも「週刊連載」というスタイルは、マンガ全体にとって絶対に必要なものだと信じます。
2010-11-11 17:46:30漫画週刊誌という極めて特殊な形態が50年間にもわたって最前線でありつづけたからこそ、日本のマンガはこんなとんでもないレベルになったんだと思います。日本的スタイル・規模の漫画週刊誌ってのは、日本以外には存在しませんでした。
2010-11-11 17:46:42これほどまでに過酷なレースに挑戦する作家がずっと出現し続けてきたことは驚異です。挑戦したあと、十年以上にもわたってやり続けることもまた驚異です。というか、20年、30年にわたって週刊を続ける人はスーパー超人。
2010-11-11 17:46:52何度も言いますが、週刊連載ってのは極めて特殊で限られた漫画形態。月刊連載でも不定期連載でも、あるいは描き下ろしやその他のかたちで評価される素晴らしい作品もたくさんある。
2010-11-11 17:48:03でも新人さんが、それを経験することで得るものは大きいと思う。たとえ世間的・商業的に成功しようが失敗しようが。個人的には週刊連載というフィールドは「まだ何も得ていない。失うものもない」時代にある新人にこそもっともふさわしいと思ってます。
2010-11-11 17:48:14