「雨に唄えば」 pw雨唄組 しゆう繋がり

雨に唄えば pw雨唄組 同時多発連詩の個人のつながり(つながっていそう)をまとめました。
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宮尾節子*新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

しめっぽい話から、いっきに降り出して悪いけど。いちどは、言っておきたかったからね。うんうんと、首を振る紫陽花。トタン屋根叩く、雨の気持ちを知ってるかい。本当は、なりたかったんだよ、ピアノ弾きに。そして、あびたかったんだよ、葱畑よりカーネギーで拍手喝采を。(雨に唄えば)#pw雨唄組

2014-06-15 00:01:01
akutsu ayumu ꪔ̤̮" @ayusuke_

イヤフォンから雨が降ってる 晴天を知らない指に窓が足りない 屋根裏の宝箱には 夕立のバス停が光っていて かたく結んだ靴紐を そっともつことができない 砕け散る一雫はあまいよね、と信じようとする 笑えないあの子がせめて泣いていればいいと思う 次次たたきつけられる春たち #pw雨唄組

2014-06-15 00:00:00
春森しゆう @junju_usako

満月に泣けてしまえればよかった 雲が隠してくれてほっとする いつから黄色い長靴をしまいたくなっただろう カッパが出番をなくしている 疎ましい雨が 泣き顔をかばうから 傘を捨てて私をでていく (雨に唄えば) #pw雨唄組

2014-06-15 00:10:38
草間小鳥子 @eureka13_28

おろしたての傘を傷めたくなくて、 こどもはひとり、 声を出すこともできず 無論、唄うこともせず(下唇を噛んでいるから) 長靴の先っぽをみつめ 降り染む雨がブラウスを濡らすのを赦していた。 (雨に唄えば)#pw雨唄組

2014-06-15 00:30:33
十三 @_Xiii13

満ち欠ける月。それが遙か遠い昔に定められた遺伝子なら止めてあげることは叶わない。泣き続けたのなら雨がその瞳を拭ってはくれるのでしょうか、或いは、煌めき降り注ぐ月灯りへ捧げる祈りすらも希うことがない定めだったのでしょうか。雨が散る宵にゆたう唄声に捧ぐ (雨に唄えば) #pw雨唄組

2014-06-15 00:39:57
草間小鳥子 @eureka13_28

夜のうちに雨足は遠ざかっていった。 軒先で干からびた旧盆の茄子がぐっしょりと濡れ 青い花弁は重なり雨水をたたえている。 芝をかけてきた猫のひげが雨粒でしなる。 木の幹と土の濃い匂い。 野性的とすら感じる。わたしも昨日は泣いたが、こうはなれなかった。 植物でないから。 #pw雨唄組

2014-06-15 00:00:38
梁川梨里(やながわりり) @riri_yanagawa

嵐のような梅雨が続き、 倒れたアリスとロメリアが 翌朝には立ち上がっている わたしも人間の端くれとして せめて乾いた土を、都会のアスファルトを、カツンと鳴らす 歩けない植物の代わりに せめて地に音を返すことで わが身の在ることを示そうか (雨に唄えば)#雨唄組

2014-06-15 00:17:05
春森しゆう @junju_usako

あんなにも水を含んだトマトが 雨に打たれて萎れている 赤くなるにはあなたの熱が足りない 青臭いまま目にとまることなく 雨に喰われてしまう 命の色が欲しい (雨に唄えば) #pw雨唄組

2014-06-15 00:25:23
梁川梨里(やながわりり) @riri_yanagawa

アブラムシのついたミニ薔薇が 色を無くしてゆくように、誰かの栄養は誰かの生となって循環する 美しさだけを求めているのは 仮想現実 食うか食われるかは 世界のそこらじゅうで 当たり前のように繰り返されて 当たり前のように 死んだものを超えた朝が来る (雨に唄えば)#pw雨唄組

2014-06-15 00:43:10
春森しゆう @junju_usako

寄せた植木鉢の下から 蠢くミミズとダンゴムシが出てくる 湿り気を求めて 生き延びようと必死なのは 人間だけではない おいしい水には優しい雨が必要 (雨に唄えば) #pw雨唄組

2014-06-15 00:50:27
春森しゆう @junju_usako

雨の檻に閉ざされて 深く深く眠れば 海の底に還る夢を見る 男でも女でもなければ きっと楽だ 切り取り線がみつからない (雨に唄えば) #pw雨唄組

2014-06-15 00:54:41
独り言 @n_b_k_

水のなか、声を遮って 聞こえるのは雨音ひとつ 傘を差したのは 濡れない為ではなく 距離を取りたいから 傘で囲まれた水牢 性の壁を切り裂いて 一人唄った、誰かへと (雨に唄えば) #pw雨唄組

2014-06-15 02:34:00
春森しゆう @junju_usako

広げた傘の色が どんどん変わっていく 新しい風が吹き いつもの雨音も聴こえる 数え出した傘の数に ひとりひとりの想いを読んだ 梅雨前線は必ず南からくる安心感 止まない雨はないけれど 雨音で育つことば 大切に傘をとじる (雨に唄えば)#pw雨唄組

2014-06-15 07:17:20
梁川梨里(やながわりり) @riri_yanagawa

縁取りされた軌跡の上で うっかり海水と共に巻き上げらて しまった鯨が、海までの距離を測る ものの、あまりにも遠い記憶に項垂れて、くじら雲の準備を始めた くじらは幾ついてもいい 鯨は空には大きすぎる クジラは机の瓶の中 (雨に唄えば)#pw雨唄組

2014-06-15 07:30:52
春森しゆう @junju_usako

八畳分の雨色が 悠々と飛ぶのを見上げると 笑い顔にも泣き顔にも見えて 浮かんでみたくなる しがみつく場所のなさがまた 郷愁を呼ぶ 群れていてもひとりに見える雄大さに 太古のわたしを想う (雨に唄えば) #pw雨唄組

2014-06-15 08:01:26
春森しゆう @junju_usako

梅雨入りと競争で玉葱を掘りだした 雨が止んだ合間に麦を刈らなければ稔ったまま発芽してしまう 雨と相談して馬鈴薯を掘り出さなければ 土の中にいながら腐ってしまう 雨が降らなければ紫陽花がいい色にならない 雨に踊らされている (雨に唄えば) #pw雨唄組

2014-06-15 07:41:19
宮尾節子*新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

調布と言えば地理が広がる。みなまでいうなと雨に打たれる。歩く。歩く。包帯をほどくように、クチナシの蕾が雨に解かれて、匂やかな花を開いている。ね。それ詩になるよと声が残っている。路地悲しくない。石畳がぬれているだけ。わたしはそれを踏んだ。水羽を揚げて虹へ。(雨に唄えば)#pw雨唄組

2014-06-15 07:54:24
二匹の猫は互いに同時に存在する。 @zwei_katzen

コインランドリーから出る。 傘がないから濡れてしまうよ、紫陽花を噛む君は毒気にやられて咲く。花びらを撒き散らし、歩道橋にモザイクの装飾が潤んでいく。 爪先立ちは天国への憧れ、水溜りに浸した爪先から広がる贖罪のような波紋が、どうか届きますように。 (雨に唄えば) #pw雨唄組

2014-06-15 08:15:34
春森しゆう @junju_usako

6月生まれの湿り気が 文字に纏わりついている ひとり歩く道も紫陽花の移り気で 住めば澄んだ色にも染まる ここには雨が溜まり 川になり流れ出す 源流は清らかな花 季節をだいじに 唄うひと (雨に唄えば) #pw雨唄組

2014-06-15 08:28:59
春森しゆう @junju_usako

薔薇には棘が 紫陽花の葉には毒が 百合には猫にとっての毒が ある 6月の花は 雨と共に 自分を護っている (雨に唄えば) #pw雨唄組

2014-06-15 15:11:28
梁川梨里(やながわりり) @riri_yanagawa

水性生物の淡き鱗の光が 作られた水槽の世界が 暗い部屋の中で 月のように 浮かび あなたに 触れたいと乞う 指先が滑る硝子越しの 甘い接吻のやうな夜の果てで いつか、わたしも魚となり あなたと並んで泳ぐ時間を 空想の中ならば叶えられる (雨に唄えば)#pw雨唄組

2014-06-15 20:05:07
独り言 @n_b_k_

優雅に踊るあの魚は 雨のなか呼吸する エラと呼ばれる生命線 この雨が降り止めば 鼓動もともに止めるだろう 堆積した憂鬱のなか 今日も唄うのはあの魚 (雨に唄えば) #pw雨唄組

2014-06-15 20:18:50
春森しゆう @junju_usako

月に鱗をひっかけて痛がりたくても痛点がない。 奴は丸いから海月と呼ばれたろうがそれは上から見たからだろう。 触手が蠢くのを見るのは愉快だ。 海に堕ちる雨のリングが人魚をメスばかりに見せるから泡の行方を探した。 海面に月が浮かんで兎が逃げた。 (雨に唄えば) #pw雨唄組

2014-06-15 22:03:24
愁夢 @s_shumu

涙を流し続けなければ 泡と消える鰓呼吸の人魚姫 結ばれぬ恋を唄い続ける 尾びれの先には赤い糸など 繋がりはしないでしょう 唄う、うたう、謳い続ける 影を追う瞳を濁らせたくないが故に 現実を直視しない曇った眼 かなしみなどもう止ませてしまえればいいのに (雨に唄えば) #pw雨唄組

2014-06-15 22:13:34