忠義　長編

クラゲの秘密のお部屋 @04eighter

#106 ① from忠義 今何してるんかな 今メールしたら返ってくるかな とかそんな事を考える恋なんて何年もしてなかったのに いい歳してとかそんなん関係ないって思えるくらい好きで 空を見ると繋がってるような気がするとかそんなことまで考えてしまう 君は？俺の事考えてくれる？

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#106 ② 出会ったのは知人の結婚パーティーで 新郎はテレビ局のディレクター 新婦はスタイリスト 会場を見渡すと有名人なんかもいて適当に挨拶とかしてた ふと隅で一人椅子に座ってる子がいて めっちゃ綺麗な子やった モデルとかもいまからきっと地味に見えただけやと思う

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#106 ③ ずっとその場から動かんその子がなんでかめっちゃ気になって見てたら目が合った 恥ずかしくて目を逸らして、しばらくしてまた見たらそこには彼女はおらんかった 探したけど会場も広いしたくさんの人で見当たらんかった

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#106 ④ それでも諦められんくてキョロキョロしてたら 「大倉。明日も仕事やし先抜けさしてもらおか」 と一緒に行ってた信ちゃんが言った 渋々俺は帰ることにした 数日後 新婦やったスタイリストと一緒に仕事する機会があった 最後の望みと思って聞いてみた

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#106 ⑤ 「この前さパーティーに来てたちょっと背の低い、でも綺麗な子誰？」 私の友達だと言われて内心すごく嬉しかった どうにか頼み込んで会うことを取り付けてもらおうとする 皆の予定を合わせて日付けを決めて店は俺が予約した 楽しみで仕方ない

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#106 ❶ その日は幼馴染の結婚式でパーティーまで呼ばれたから言ったけど、テレビでみたことのある人ばかりで、見るとアイドルの人もいてカッコイイなと思った 私なんかがいていい場所じゃないな… 何て思ってずっと同じ場所で座っていたらアイドルの人と目が合った あの人なんだっけ…

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#106 ❷ 確か…大倉とか言ったかな やっぱり私がこんな所にいるから見てたんだろうな 『帰ろう』 そう思って新郎、新婦に声をかけて会場を後にした 数日後 二人の新居に呼ばれた 旦那さんは仕事らしく二人でランチを家で食べて過ごす

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#106 ❸ 「ねぇ、この前のパーティーで関ジャニ∞の子見たでしょ？話でもしたの？」 『え？何も。ってか芸能人の人ばかりですごく緊張してずっと座ってたよ』 「じゃぁ何でだろう。その大倉って子があんたに会いたいって」 『え？』 あの時目が合った人だよね？ なんでだろう…

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#106 ❹ とりあえず食事だけでもと都合を聞かれ 数日後に日時と場所がメールで来た 勤務を終えて 急いで化粧を整えて場所へと向かう どんな格好をしていいかわからなくて普段は履かないスカートを履いて目一杯のオシャレをしたけど自分には不似合いな格好に恥ずかしさでいっぱいだった

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#106 ⑥ とりあえず信ちゃんに頼み込んで来てもらい スタイリストと彼女を待った 彼女はフレアスカートを履いていてとても綺麗だった 「たつお前見過ぎや」 と事情の知ってる信ちゃんは茶化してくる 「ちょ、お願いやで強力してや」 「わかっとるわ」

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#106 ⑦ 彼女はすごく緊張しているみたいで 前に座っているのに全然目線が合わない 「なぁ。そんなに下向かんでもよくない？」 と思わず言ってしまった 『え？あ、こういうの慣れてなくて…こんな格好も久々だし似合わないから恥ずかしくて…』 と言った 「めっちゃ似合ってるけど」

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#106 ⑧ 『いや…全然っ…』 益々下を向いてしまう彼女 「俺も似合ってると思うで。自信もったらええねん」 と信ちゃんが上手く回してくれて何とか彼女は上を向いてくれた 彼女の職業は介護士で俺の知らない世界だった 大変な事の方が多いはずなのに仕事の話をする彼女はキラキラしていた

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#106 ❺ 目の前には二人の有名人がいて 二人ともすごく格好良くて 似合わない格好をしている自分が恥ずかしくてなかなか前を向けずにいた それに大倉さんの目線がずっとこっちを向いているから更に緊張してしまう そしたら「めっちゃ似合ってる」って言われてすごく戸惑った

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#106 ❻ 一緒に来ていた村上さんも「自信もったらええねん」って言ってくれて少しだけ顔を上げる事ができた 仕事を聞かれて介護をしていると言うと二人とも興味深々で色々質問された 三人に比べたら地味で縁もゆかりも無い仕事だからだろうな でも私はこの仕事にやりがいを感じていた

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#106 ❼ 2時間くらいが経って店を出た 村上さんは別の用事で帰っちゃって、友達は旦那の迎えで帰った 「送ってくわ」 と大倉さんに言われたけど 『大丈夫ですよ。まだ電車もありますし』 って言ったけど「ええから」って手を繋がれて歩く きっと芸能人だから慣れてるんだろうな

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#106 ⑨ 店を出た時信ちゃんが「この後頑張れよ」ってそっと言って帰って行った 二人きりになって浮き足立ちそうなのを何とか抑えて それでもちょっとアピールで手を繋いで歩く ドキドキしてるのが気づかれそうでタクシー乗るまで何にも話せなかった

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#106 ①⓪ タクシーに乗っても手を繋いでる 「あ、連絡先‼︎教えてくれん？」 『え、あ、はい』 「またメールとかしてもいい？」 『あ、はい…でも私なんかと？』 「うん。君としたいねん」 少し戸惑った表情 「迷惑かな？」 『いや…でも私なんかつまらないですよ』 と言う彼女

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#106 ①① 「そんな事無いで。もっと自分に自信もったらいいのに。仕事の話とかしてる時の目すごいキラキラしてたで」 『大倉さんとかの仕事に比べたら誰に憧れられるわけでもないです』 「そんな事ないって。確かに初めて知ったけどその仕事を好きって言う君はすごいって思うで」

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#106 ①② 思わず大きな声になってしまって彼女を驚かせてしまった 『ありがとうございます。最近ちょっと仕事するの辛かったんです。でもまた頑張れそうです』 と言って少し微笑んだ彼女 家に送った後一人になったタクシーで 「あかん。めっちゃ好きや」 って思った

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#106 ❽ タクシーに乗っても繋がれたままだった手は暖かくて優しかった 芸能人だから慣れてる感じではなく ごく自然に繋がれた手の感触は忘れられない そして 交換された連絡先 毎日来るようになったメール 時間のある時にかかってくる電話 いつの間にかそれを待っている自分

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#106 ❾ テレビを点けると映る彼が相手とは思えないようだった ずっと彼氏がいなくて 出会いなんて別に今はいいなんて考えていた自分が嘘のように楽しくて 忙しい中で時間を作ってご飯に誘ってくれたりする彼が自分の事を想ってくれてるんじゃないかって勘違いさえしてしまう

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#106 ❶０ 彼は芸能人だから好きになっても仕方が無いのに 食の好みが似ていたり 趣味が合う事を知ると益々惹かれてしまう 彼の出ている作品に触れてみたり テレビも意識をして見るようになった ある日友達とご飯を食べていると不意に彼の話になった

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#106 ❶❶ 自分の想いを認めながら芸能人だから付き合うとかはないと思うと告げると 「でも、好きなんでしょ。前から思ってたけど益々綺麗になったよ」 と言われた 『それはない。自分が綺麗だと思ったこと無いもん。第一オシャレしたって仕事ではほぼスッピンなんだから』

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#106 ❶❷ 「恋する乙女だね」 なんて茶化される 恋か… 当たり前の様に結婚出来ると思っていた昔とは違う現実の中彼と出会った 『好きでいるのは自由だよね』 そのうち飽きて連絡が来なくなるかも、しれない。そうなるまでこの関係が続く限り好きでいてもいいだろうか…

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#106 ①③ あの日以来隙を見てはメールを送って 時間が長くある時は電話をして 信ちゃんの「たつ、飯行こうか」を断ってまで彼女とご飯に行く 会う度に彼女の魅力を知ってどんどん惹かれてる自分がいた もう一歩踏み出してみたいけど…嫌われたく無いし… そんな事を思う日々やった