西沢大良氏(@tairanishizawa)tweetまとめ

建築家西沢大良氏の考えさせられ勉強になるツイートまとめ。 続きを読む
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西沢大良 @tairanishizawa

まずひとこと。 20c末の建築界は人類史上最悪である。 ということが、後世の人類にとっては常識になっているだろう。 この意味がわからない建築家は琉球新報なり東京新聞なりをよく読んで、胸に手を当てて考えてくれ。

2014-03-21 23:21:36
西沢大良 @tairanishizawa

日本の近代化(戦後の高度経済成長)は、はーばーど大の経済修士では「ジャパンミラクル」と呼ばれ教材になっている。この「ミラクル」の意味内容について日本の建築界は到底理解することができないだろう。「丹下や菊竹のモダニズムはやっぱりミラクルなんだな」みたいなトンチンカンな反応になる→

2014-04-06 01:52:08
西沢大良 @tairanishizawa

→なぜそんな反応になるか。日本の近代化を欧米の近代化とだけ比べてきたからだ。だが日本の近代化は中南米の近代化と比べないと解らない。60〜70年代の中南米と比べれば「ミラクル」の意味は腑に落ちる。これでもピンとこない建築家は建築学会「建築雑誌」2013年8月号の座談会の西沢発言参照

2014-04-06 01:53:14
西沢大良 @tairanishizawa

PS 60〜70年代の中南米の近代化と比べない場合は、60〜70年代の韓国や台湾と比べること。そうすれば「ミラクル」の意味内容は完全に理解できるはず。 以上のことは、後世の建築界にとって常識になっているだろう。

2014-04-06 01:56:15
西沢大良 @tairanishizawa

江戸東京たてもの園の感想1:前川自邸は、その破風の形状(特にスタディの変遷)や基礎の納まりを見ると、コルビュジエというよりプルーヴェだ。前川とプルーヴェはほぼ同年齢、パリで会ってたかもしれない。木造の旧紀伊国屋やプレモスは、日本版プルーヴェだ(1940年代のハイテク建築)。

2014-04-09 01:26:46
西沢大良 @tairanishizawa

江戸東京たてもの園の感想2:園内右手にある施設群(1920年前後の木造による都市施設群)は素晴らしい。仕立屋、乾物屋、醤油屋など、どれを見ても飽きることがない。もしあの延長で、今日まで木造を進化させていたとしたら、日本の20世紀は人類史にとって決定的な貢献をなしていただろう。

2014-04-09 01:39:51
西沢大良 @tairanishizawa

江戸東京たてもの園の感想3:あれらの都市施設が90年前に販売していた品々、乾物や発酵品や炭すずりなどの種類の豊富さは、戦後のモダニストには見えない商工業の高度な発達の賜物である。網野義彦は商工業を抑圧することで中世が近世になったと考えたが、同じことが近世と近代の間でも起きている。

2014-04-09 01:59:44
西沢大良 @tairanishizawa

吉祥寺バウスシアターの思い出1:中2から高1の頃、吉祥寺バウスシアターに何度か通った(70年代後半)。DVDもyoutubeもなかった当時、見たいものをかけてくれたのはあそこだけだった。レットイットビーの完全版を初めて見たのはあそこだ(当時のTVは短縮版しか放映しなかった)。

2014-04-14 02:54:19
西沢大良 @tairanishizawa

2:ペットサウンズの壊れたブライアンアウィルソンを初めて見たのもあそこだが、その帰りは放心状態でサンロードを歩くことになった。モンタレーのジャニスを見た時もトランス状態でサンロードを歩いた。ウッドストックのジミヘンを見た時は失神寸前で立てなかった。あんな重要な場所が消えてしまう。

2014-04-14 02:59:59
西沢大良 @tairanishizawa

3:ところでパリのルーブルの北ウィングに、ポップスの小さな博物館がある(内装はジャンヌヴェル・竣工2000年頃か?)。あそこに行くとペットサウンズもモンタレーもウッドストックも専用ブースで見れるが、見ているおっさん達はやっぱり放心状態になっていた。パリでも放心しちゃうのね。

2014-04-14 03:03:48
西沢大良 @tairanishizawa

2011年にABC書店で、いろんな執筆者が3冊づつ推薦本をあげるというブックフェアがあった。以下はそのときの西沢推薦文。 ★『マルコムX自伝』A.ヘイリー著、中公文庫 マルコムXは恐るべき思想家・宗教家・活動家だ。その強靭なロジックを論破できる者は永久に現れないだろう→

2014-04-16 00:16:36
西沢大良 @tairanishizawa

→獄中における若きマルコムは、1950年代のアメリカ黒人の現実をあくまで旧約聖書の論理によって把握したとき、驚異的な認識に到達した。20世紀になされねばならなかった認識は、実存主義や構造主義でなく、マルコムXの認識だ。 

2014-04-16 00:17:48
西沢大良 @tairanishizawa

★『バックミンスターフラーの宇宙学校』 20世紀の建築家から2名あげよと言われたら、B.フラーに1票を入れたい。フラーは建築を超えた建築家、軍事を超えた軍人、数学を超えた数学者、エコロジーを超えたエコロジストだ。その創造力は空前絶後であり、あらゆる学問の枠組みを突き抜けている。

2014-04-16 00:20:00
西沢大良 @tairanishizawa

★『ミメーシス』E.アウエルバッハ著、ちくま学芸文庫 2つの世界大戦がアウエルバッハを生んだ。亡命先のトルコで書かれたこの本は、旧約聖書、ホメロス、福音書、ダンテ、モンテーニュ、シェイクスピア、フロベール、ウルフまでの、西洋のあらゆる文章を批評した名著である。→

2014-04-16 00:21:59
西沢大良 @tairanishizawa

→この本(ミメーシス)で引用されているのは偉大な文章ばかりだが、恐ろしいのは、それを分析するアウエルバッハの文章の方が輝きを放っていることだ。こんな本は2度と現れないだろう。

2014-04-16 00:23:15
西沢大良 @tairanishizawa

PS 建築・都市を学ぶ若い諸君へ: 本を読んで下さい。考え込むような本を読んで下さい。ツイッターは短いから、いくら読んでも新しい認識をもたらさないです。本で長い文章を読んで、頭の中で数年寝かせると、新鮮な認識が勝手に出てくるようになります。これホントだからやってみれ。 

2014-04-16 00:28:50
西沢大良 @tairanishizawa

PS2:本を読む時は、「喜怒哀楽」を総動員して読んで下さい。特に理論書を読む時にそうして下さい。驚嘆しながらむさぼるように読む、ケラケラ笑いながら読む、などです。理論書は「正しく理解しよう」としてはダメです。理論書こそ自分の全感情と共に、「喜怒哀楽」をかき立てながら読むのです。

2014-04-17 00:11:50
西沢大良 @tairanishizawa

PS3:喜怒哀楽とともに読んだ文章は、長く記憶に残ります。そういう文章が脳にたくさん溜まると、その断片が想定外の結合をしてくれて、未知の認識を勝手に生み出すようになるのです。人間の脳はそういう臓器なのであって、それを使うには「感情をあやつる」ことです。これもホントだからやってみ。

2014-04-17 00:16:25
西沢大良 @tairanishizawa

2013年に鹿島出版会から、いろんな建築家に3冊づつSD選書を推薦してもらうという小冊子が出た(SD選書の本/非売品)。西沢推薦本は『パルテノンの建築家たち(カーペンター)』『日本の近代建築(稲垣)』『アメリカ大都市の死と生(ジェイコブス)』の3つ。以下は後2者の推薦文(抜粋)。

2014-04-17 00:22:46
西沢大良 @tairanishizawa

★『日本の近代建築』稲垣栄三著 学部生のどこかで読みましたが、(略)何度も読み返しすぎてボロボロの本になってしまった。(略)私が歴史書というのを読む理由は1つしかなく、「独自のパースペクティブを提示したかどうか」だけを読んできました(それがなければ歴史書の名に値しないので)。→

2014-04-17 00:25:36
西沢大良 @tairanishizawa

→この本における稲垣栄三のパースペクティブとは、まず日本の近代建築を、いわゆる昭和期のインターナショナルスタイルだけではなく明治期の洋風建築まで含めて「どっちもモダニズムだよ」と捉えていて、ではその根拠はというと、それらの背後にある請負制度や生産体制や工業力などが同じだからだ、→

2014-04-17 00:26:46
西沢大良 @tairanishizawa

→という論証をしていたと思います(学生時代以降読み直してないのでやや不正確かもしれない)。しかも、その請負制度や生産体制や工業力などの調査が非常に綿密で、その調査の情熱に感動しながら何度も何度も読んだわけです。→

2014-04-17 00:27:52
西沢大良 @tairanishizawa

→『資本論』などもそうですが、非常に細かい近世イギリス史の記述が延々と出てくるわけで、その調査力に感動しながら読むという側面があると思うんですが、稲垣さんの場合は、今の日本のゼネコンの起源がどこにあり、廃藩置県でどのようになり、日清日露の際にどのように歪められ、→

2014-04-17 00:28:35
西沢大良 @tairanishizawa

→第二次大戦やアメリカ占領によってどのように矯正され、といった調査がし尽くされていて、今の建設業を真に「歴史」として捉えたような迫力がありました(いつかもう一度読み直したいと思って(略)いるんですが、かなりエネルギーを持って行かれた記憶があるので30年間読み直してないです)。

2014-04-17 00:29:19
西沢大良 @tairanishizawa

★『アメリカ大都市の死と生』 J.ジェイコブス著 これも学生時代に読みました。当時(80年代前半)の建築雑誌にジェイコブスの名前がたまに出てくることがあり、この本を読んだのではないか(当時は『都市の原理』はまだ未邦訳、黒川さんの『アメリカ大都市の死と生』の抄訳しかなかった)。→

2014-04-17 00:30:45
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