古鷹青葉を見守る衣笠さんbot #26

更新二十六回目のまとめです。 サブ島沖海域に出撃していた艦隊の帰投。 そしてオリョールでの第六戦隊の戦いの顛末を聞いた神通は。
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古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

私が若干後ろめたい気持ちを抱えながら答えると、川内ではなく神通さんがそれを聞きとがめた。 「……何ですって?重巡四隻で出撃して戦術的敗北?」 神通さんの低い声に、思わず体がびくりと跳ねた。その迫力に、青葉も一歩二歩と後ずさる。つかつかと歩み寄ると、神通さんは加古を揺り起こした。

2014-06-19 00:21:39
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「……起きなさい、加古」 「ひゃいっ!?」 ドスのきいた神通さんの声に、加古が今まで見たことないほどの勢いで飛び起きた。 「気をつけッ!」 神通さんの号令に、私たちの背筋が反射的にピンと伸びる。華の二水戦を率い、訓練の厳しさから駆逐艦たちに恐れられる鬼教官の顔が覗いていた。

2014-06-19 00:32:17
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「提督から聞きましたが、あなた方はサブ島沖海域を第六戦隊で攻略するのでしょう?それがなんですか?オリョール海ごときでこの体たらくですか」 口調こそ丁寧だけれど、神通さんの声は冷たい刃のように私たちの身に突き刺さった。その恐ろしさに私たちは声も出せずに震え上がる。

2014-06-19 00:36:16
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「加古」 「はいっ!」 今まで居眠りしていたとは思えないほどはっきりした声で加古が返事をする。そうしなければどんな恐ろしい目に遭うかわからないからだ。 「雷撃など避けなさい。昔それで沈んだのを忘れたんですか」 「いえ……」 「忘れたのかと聞いているんですッ!」 「忘れてません!」

2014-06-19 00:40:54
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

加古の体が小刻みに震えている。雷ちゃんから出撃の顛末を聞いた川内もニヤニヤしながら追撃を加えてきた。 「また古鷹に無茶させたの?それに青葉が指揮できなかったんだって?あんたたち、青葉に乗ってた司令官のもとなら号令なんかなくったって戦えるんじゃなかったっけ?」

2014-06-19 00:46:32
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「えっと……今はそこまでじゃ……」 私は恐る恐る答えた。そもそもつい最近まで青葉は古鷹ねーさんと一緒に出撃すらできない状態だったことだって知っているくせに、と思うけれど口に出せるはずもない。 「二人の関係は修復できたのでしょう?なら、なぜこんなことになっているのですか?」

2014-06-19 00:50:53
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神通さんの問いに、震えながら答える。 「その、私たちの練度不足が原因かと……」 「はい、よくできました。じゃあ、どうすればいいか、わかっていますね?」 神通さんが、にっこりと微笑んだ。その笑みは、まるで鬼神が無力な生贄を見つけたかのようだった。 「皆さん、特訓ですよ?」

2014-06-19 00:56:45
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

目の前が、真っ暗になるような心地がした。

2014-06-19 00:57:33