倉山満『嘘だらけの日中近現代史』の誤りについて
倉山本p99「(溥儀は)日本の天皇は三種の神器などというガラクタを押し付けた」という、大嘘まで書いています。三種の神器が外国に渡るなどありえません」→誤り。原武史氏などが調べているが溥儀は三種の神器のレプリカを日本に懇願して貰っている。後に「関東軍に強要された」と自己弁護して云う
2014-07-01 07:16:35しばらく間が空きましたが、倉山満『嘘だらけの日中近現代史』の誤りについて、また続けたいと思います。間が開いた理由は仕事に加えて、近現代史の歴史書を読むのに時間がかかったからです。
2014-07-12 16:22:30倉山本p103「外務省正統史観」…自分で作った用語を、通説の学術用語みたいに書くのはどうなんでしょう。『私はこう名づけたい』なら分かりますけど。
2014-07-12 16:24:04p104から110まで内田康哉を罵倒して石井菊次郎をヨイショしているが、このあたりのエピソードの出典は不明。あと内田康哉の評価って調べた限りなんでここまで貶されなければならないのか謎です。どちらにしても大勢と影響ないのでは?
2014-07-12 16:26:37p111「歴史学者が頭山(満)を『右翼』『ナショナリスト』『侵略の尖兵』と罵る」…誰がいつどこで言ったのかちゃんと書くべきでしょう。朝日人物事典でも平凡社大百科事典でもそんなこと書いてないんだけど。kotobank.jp/word/%E9%A0%AD…
2014-07-12 16:31:18岩波新書の「中国近現代史」でも頭山満の悪口なんか出てこないんだよね。そもそも頭山満が出てこない。孫文を援助したのは宮崎滔天とか内田良平とか山田良政とかであって、頭山満をそこで何故出すのかはわからないんですよね…大物ではあるけど。
2014-07-12 16:38:25p112「(対華二十一箇条について)日本は14か条の要求と七か条の希望を突きつけただけです」…えーとですね、根拠も史料もなしに突然新説を書かれても困惑するばかりです。
2014-07-12 16:52:01なんか「対華二十一箇条」の条文を読んでいてなんとなく見えてきたんですが、末尾の第五号の7項目を「いわゆる希望条項」(岩波)としているので、倉山氏が言うのはそれじゃないかと思うのですが、とにかく条文も何も出さないでいきなり書かれてもなあ。
2014-07-12 16:55:50「対華二十一箇条」について倉山氏本人が勘違いしてるんじゃないかな、これ。p112「(袁世凱は対華二十一箇条のうち)脅かされた割には五か条もはねかえした」…拒絶したのは第五号の7項目だよね?『五か条もはねかえした』というのはどういう意味なんだろう?
2014-07-12 16:58:21「袁世凱は(欧米列強に工作して)…第五号については強い反対を示したものの、その他については日本の主張を了承した」(岩波p77)が一応通説のはずなんですけど、「脅かされた割には五か条もはねかえした」って倉山説の袁世凱なんかすごい実力あるんだなあ…欧米列強の力借りなくていいのか…
2014-07-12 17:02:50…近現代史に入っても、「ハイパー袁世凱さま」とか「架空の存在から罵倒される頭山満翁」「いらない子扱いの宮崎滔天」とか色々と香ばしい記述が続いていてすごい。葉山蓮子たんも大激怒ですよ。彼氏のおとうちゃん(宮崎滔天)がなかったことにされるという超展開。
2014-07-12 17:06:21p115「外交史の大家である鹿島守之助博士が執筆した『日本外交史』全三十四巻は」…これ、鹿島博士だけじゃなくて外務省の役人複数名で書いているんだけど… kiip.or.jp/book/nihongaik…
2014-07-12 17:14:29ようやくここで倉山用語の「外務省正統史観」が鹿島平和研究所・編『日本外交史』全三十四巻のことらしいと分かるんだけど、これすごい本だとは思うけど、そんなに人口に膾炙したものなんでしょうか?これ。これが正史扱いだという話は初耳。
2014-07-12 17:17:32なんかこう、中華民国の第一次大戦参戦から復辟運動のあたりまでの史実も、なんか倉山本は至る所はしょっているせいかもうわけがわかんない記述になってるよなあ…読んでいて文意がわからず、岩波新書「中国近現代史」を見て「あー、ここを飛ばすからわかんねえんだ、はっきりわかんだね」となる
2014-07-12 17:26:38袁世凱没→(安徽派・直隷派の対立→黎元洪と段祺瑞の対立)→西原借款を段祺瑞がもくろむ→(黎元洪の反撃)→張勲が復辟を図る→復辟失敗→(段祺瑞復活)→ドイツ宣戦という流れがぶつ切りになってるんだね。()が倉山氏が飛ばした所。わけわからん
2014-07-12 17:31:55取り急ぎ今日はここまでですが、何か西原借款の記述もどこからどうつっこんでいいのか分からないものになっていて、これ出版前にどういう原稿チェックをしたのか本当に気になる…簡単な検索で出てくることが誤っているというのもなあ…
2014-07-12 17:40:07倉山本(p118)「古今東西外国への工作は軍事介入かカネをやって思い通りにするしかなく」…な、なんだこの認識。経済封鎖とか日本は受けなかったのか?ABCD包囲網とかどうなってるんだ…
2014-07-19 23:45:04倉山本p119「共産主義というのは世界中の金持ちを皆殺しにすれば平和になるという危ない思想」…こ、これもすごいな。もうなんと言えばいいんだ、これは
2014-07-19 23:46:54倉山本p174「1933年は悪夢の年でデフレ不況から回復した以外すべてがダメという暗い時代」…昭和8年だよね?えーと、この頃を暗い時代だというのは左派の歴史観なんだけど。山本夏彦氏がこのことは生前さんざん言っていたことです。なぜ倉山史観は左翼じみているのだろう
2014-07-19 23:54:30昭和8年に小林多喜二が拷問死されたり滝川事件が起きたり、思想の自由的には誠に暗い年でした。では世間はどうかというとエログロナンセンス全盛時代なんだよなあ。この歳に丹下左膳が流行したんだよね
2014-07-19 23:58:56山本夏彦曰く「戦前が真っ暗だったというのは社会主義者が言いふらしたのです。彼らはほんの一握りでした。彼らが短期間読売を乗っ取り日教組を作ったから定説化したにすぎません。向田邦子はこの頃を箸が転んでも笑っていたといっています」(『誰か戦前を知らないか』文春新書)
2014-07-20 00:03:13倉山満氏の「曹操を殺せなかった関羽を張飛がとりなす」の元ネタは、どうも人形劇三国志『第34回 曹操を逃がすな!』の模様。
2014-07-23 08:58:40「玄徳や孔明の前では必ず曹操をしとめると誓った関羽だったが、敗走し涙まで流している曹操を討つことはできなかった。玄徳の元に戻った関羽は処刑を覚悟するが、張飛と玄徳のとりなしで処刑は免れた。これで曹操に対する恩義を返した関羽は、あらだめて曹操と戦う決意をするのだった。」
2014-07-23 08:59:01と、homepage2.nifty.com/homesweethome/…にある。しかしまあ、本を書く時演義の訳本を見ておけばよかったのにねえ
2014-07-23 08:59:57