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倉山満『嘘だらけの日中近現代史』の誤りについて
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p48「倭などと『チビ』『猫背』の意味で読んでくれていたのが中国人です」…それは藤堂明保説であって古来の解釈ではない。「倭は順の意、道義に従う故にこうよぶ」(説文解字)という。なぜ左派系の藤堂明保説を突然持ってくるのか良くわからない。
2014-06-27 09:42:27![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
南北朝時代を「これまでとは比較にならないほど安定した統治」(p50)と言い出すのも訳がわからない。…いなかったことにされた宇宙大将軍キングカワイソス…あと東魏も西魏も政治的には混乱していた。
2014-06-27 09:44:21![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
p52「この王朝(唐)の前半150ねんくらいは文化大国なのですが、それ以降は三国時代と変わらない戦乱と殺戮で衰亡していきます」…安史の乱以降復興してますけどね。
2014-06-27 09:49:15![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
倉山本p59の「明軍の略奪暴行にあきれかえった元が北に帰った」という記述の元ネタは、杉山正明『モンゴル帝国の興亡』下巻p223「大都は明軍の略奪・暴行・破壊の巷と化した。放火により世界の帝都には焼け落ちた建物の無残な残骸が黒々と広がることになった」と思われるが、この記述は疑問
2014-06-29 14:47:43![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
まず明史巻二太祖本紀中に明の暴行などの悪事の記述はない。「八月己巳,以應天為南京,開封為北京。庚午,徐達入元都,封府庫圖籍,守宮門,禁士卒侵暴,遣將巡古北口諸隘。」
2014-06-29 14:50:17![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
そして、寺田隆信「朱元璋」、上田信「中国の歴史 明清帝国」には明の暴行略奪の記載がない。明史に従っている。杉山氏は何によって「明の暴行略奪」をいったのだろうか?杉山氏の著作には典拠がない。民間の野史だろうか?モンゴル語史料にある話なのだろうか?
2014-06-29 14:53:16![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
民間の野史「続資治通鑑」を見てみよう。ところが、この野史にも暴行略奪の記載がない。元の皇帝は「歴代皇帝の位牌(神主)と倶に家族を連れて、宮殿を掃き清めて封印して去った。」という。陳舜臣「中国の歴史」はこれにより、「元はしずしずと去り明は無血で入った」ように書いている
2014-06-29 14:59:47![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
野史「続資治通鑑」の方が正史「明史」よりやや詳しいようだ。寺田隆信氏は面白いことを書いている。元の末期の統治は落第点だった、元の内戦で六〇年間で物価二五〇〇倍というハイパーインフレが起こっていたというのだ。ところが元は何一つ経済政策をとらなかったのだ。
2014-06-29 15:03:34![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
杉山正明氏は元の経済政策は当時最高のものだったかのように書いているが、寺田隆信氏の書き方を見るとジンバブエみたいな統治なんだよなあ。ちなみにジンバブエは七年間で物価は650万倍、元はそれに比べれは小さいが、前近代で国自体の生産力が低いから比べるのもどうかと
2014-06-29 15:08:11![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
若田部昌澄氏は「ハイパーインフレの例を俟つまでもなく、インフレ率が2ケタ以上に高くなるのは経済に悪影響を及ぼす。おそらく5%を超えると望ましくないだろう」といっているという。元の年41%というインフレ率はかなり異常な数値。
2014-06-29 15:13:07![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
元は紙幣(交鈔)をバンバン刷ってモンゴル帝国の諸王国にバラまくという典型的バラマキを毎年やっていた。あまり撒きすぎてしまいには新円切り替えみたいなことまでしている。兌換紙幣も不換紙幣に変えてしまった(兌換準備金が底をついた模様)。これはあかんやつや
2014-06-29 15:18:59![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
要するに元末期の皇帝の能力は和田豊程度。「アイドントライクノウミサン」などの内紛があったのを収められない無策っぷり、(失点の)ハイパーインフレ、「いつもながらの(ファンに対する)搾取も止むところがなかった(寺田隆信)」
2014-06-29 15:27:04![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
怪しげな密教僧を妙に崇拝しているところとか、今の阪神と元との共通点は思いの外多い。赤いチームカラーの呉(のちの明)に負けるとか。
2014-06-29 15:31:55![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
和田コメの妙なポジティブさと、元の内乱時の明宗皇帝の訓示「ワイが出馬すればあっさり内乱も解決や!(ニッコリ)」も一脈合い通じるものがあるな。なお、明宗皇帝は後に原因不明の急死。国はもっと乱れた
2014-06-29 15:46:31![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
なんか元代専門の史家の人って阪神びいきのメンチコピペみたいなの多くないか。大したことのない人を異様に持ち上げて書いている印象。明は中日みたいなもん。暗い感じの落合帝国。多分実力はあるんだろうけどマスコミ受けがものすごく悪い。
2014-06-29 15:54:24![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
杉山正明「モンゴル帝国の興亡」は有名な本だが、元の悪政を尽く「明人のデマ」で一蹴するのは幾らなんでもどうなんだろうか。デマなら、なぜそれがデマなのか立証すべきではないだろうか?高島俊男はデマだと言った後で少なくとも必ず論証している。
2014-06-29 16:00:06![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
で、倉山氏も杉山本の記述をそのまま引く上に「明は一度の粛清で五万人というのが標準で北京大虐殺や南京大虐殺が頻発するというすさまじさです」(p60)とより盛った記述にしているのは頂けない。
2014-06-29 16:06:54![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
胡惟庸の獄が三万余、藍玉の獄が2万、李善長の獄が1万5000、民間の野史は犠牲者を多めに書いているが、一度に五万という倉山氏の記述に足るものは見当たらない。
2014-06-29 16:14:05![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
倉山氏の「北京大虐殺や南京大虐殺が頻発する」というのはあまりにも誇大。清の史家は基本明王朝大嫌いなのでクソミソにけなしているが、それでもここまでひどく書いてはない。
2014-06-29 16:15:10![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「一五二三年には『寧波の乱』といって、日本の細川氏と大内氏(中略)勝手に合戦を始めるのですが、明の役人はただ見ているだけというお粗末な対応です」(p60)…明史日本伝によれば明軍は大内軍を追撃している。なお大内軍は朝鮮へ漂着して戦死、逮捕されて処刑された
2014-06-29 16:31:27![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
朱元璋は基本的にろくでもない人間なんですけど、だからといって必要以上にボコボコに書くというのも余りいいことじゃないでしょうねえ。
2014-06-29 16:42:35