そういえば頭の中で転職することを決めたその直後、なんだか自分が世の中での意義みたいなものを失った気がして、恐ろしく不安になった。転職コンサルタントが丁寧で優しい語調を使うのは職業からして当然なのに、恐らくそれが、実体以上に優しく丁寧に聞こえた
2014-06-28 13:40:07自分でやったことにせよ、もしかしたら人為的にそういう状況を押し付けられたにせよ、世間とのつながりを失い、あるいは自分自身がこうだと信じてきた信念とのつながりを失った人は、恐ろしく不安定になる。すがれる何かを探すし、優しそうに接すれば誰にだってしがみつく
2014-06-28 13:41:54誰かの変容を試みるのなら、つながりの切断が、準備段階として大切になってくる。自分が長所だと信じてきた何か、学んできた何かを全否定される体験。自分が仲間だと思ってきた、所属すると思ってきた家族や友人、チームや会社とのつながりを切断される体験。
2014-06-28 13:43:53全か無か、という価値軸の導入は、ある変容を強化する働きがある。「平和が好きだ」みたいな否定しにくい、好ましい価値を善であると受容してもらったら、ならばその価値に対する悪とはなんなのか。それが悪ならばこれはどうか。世界からグレーを排除していくと、わずかな白以外は全て黒になる
2014-06-28 13:47:08隣りあった相手と向かい合い、お互いの好ましいところを指摘してもらう。ほめられると嬉しいこと、褒めるのは案外難しいことが体験できる。結果としてその人は自分の長所に自信を持って、葛藤なくだれかをほめられる人になっていく
2014-06-28 13:49:46ワークショップでたとえば10人の参加者を募り、9人乗りのボートを仮想する。全員で投票を行い、誰が溺れるのか決める。溺れた誰かにその原因を、他者から見た自分の短所を語ってもらい、今度は生き残った9人から、その人の嫌な場所を、助からなかった原因を指摘してもらう
2014-06-28 13:51:25「お前は嫌な奴だ」と名指しされた誰かが自分の短所を語り、それとは全く異なった何かが、あまつさえ自分が長所と信じていた何かが、自分が救命ボートに乗れなかった原因だと指摘されたりする。状況を変え選択圧力を変え、こういうのを何時間も続けると、信念と自己とのつながりは絶たれてしまう
2014-06-28 13:53:43放課後の教室で、子供がたとえば6人ぐらい何気なくしゃべっている状況を仮想する。誰かがトイレに立ち、戻ってしゃべって解散して、トイレに立った子供が一人になったら、「あなたは皆に嫌われているね。でも私は味方だから大丈夫」と耳打ちする。それを5回繰り返すと、仲間のつながりはゼロになる
2014-06-28 13:55:03自分が検証できない状況は、日常生活において無数に存在する。トイレに立ったわずかなタイミングでも、そこを踏み台にすれば侵入すると、あると信じていた仲間のきずなは断たれてしまう。たとえ尋ねてみたところで、相手がうそを言っている可能性を排除できない以上、検証は難しい
2014-06-28 13:57:35信念の書き換えは、多かれ少なかれ、恐らくは多くの人が日常生活の中で行使しているのではないかと思う。それを体系化して、まとめて使うとけっこうとんでもないというだけで
2014-06-28 13:59:19自己の信念を切断してから新しい価値観を提案するのが自己啓発セミナーだし、地理的隔離を行ったうえで信念を切断、家族や友人とのつながりを切ったうえで新しい信念で上書きするのが新興宗教だし、同じ技術で逆に、つながりの強化を目指すのがいわゆる的なワークショップだし
2014-06-28 14:01:51他者とのつながりは切断できる。それが家族や友人みたいな近くて密なものであっても、会社に所属していること、あるいはソビエト連邦に所属していることだって、所属母体が崩壊してしまうと信念丸ごと崩れてしまったりもする
2014-06-28 14:04:23知識を持っていることも、信念の防衛には案外役に立たないのではないかと思う。新興宗教にはまる人が「バカ」なのかと言えば、少なくとも受験勉強に役立つ偏差値ならば、それが恐ろしく高い人もたくさんいるわけで
2014-06-28 14:05:43知識ではなく教養というものが、信念の安定性に寄与するのではないかと思う。教養とは面白がった体験であって。必死に覚えた退屈な知識は揺らいで崩れるけれど、何かに面白がった体験は誰にも否定できない。面白い何かが歴史の検証を経たものであればなおさら
2014-06-28 14:08:23「はい、論破」はダメージにならないのだと思う。「もったいないですね」や「残念なことになりましたね」で勝利宣言をされると厳しくなる。もったいなく過ごした時間を取り戻そうと、一発逆転の手段を示されたら飛びついてしまう。
2014-06-28 14:10:39ねずみ講みたいなうまい話に飛びつくのは、「もっと欲しい人」ではなく「取り戻したい人」なのだと思う。それがお金であれ時間であれ、あるいはきずなであっても。失った人を検索するのは難しいから、ある状況を「あなたは失った。もったいないですね」と総括してみせることが欺瞞の踏み台になる
2014-06-28 14:13:26職場が変わる。いろんな人がいる。合う人も多いし、残念な部分を持っている人だっている。変わらないかな、変えられないかなと、そんなことを思案する。
2014-06-28 14:14:56つながりの絶たれた誰かは、差し出された何かに必死ですがろうとする。仲間外れでないのはどちらなのか。多数はどちらなのか。みんなの顔が曇らない選択枝を全力で探す。平和は好ましい。この考えは好ましい。じゃあこの価値観は?じゃあこれは? 世界はいつしか真ん中以外真っ黒になる。
2014-06-28 14:18:35@medtoolz まさに先週、資源減少に悩む某団体のコンサルティング提案の場所で、かつて豊富であった「失われた資源」を取り戻すことの要望が、異なる地域や人に共通していたことの意味がよくわからなかったんです。
2014-06-28 14:23:59「つながりを断たれた体験」の直後は、いずれにしても極めて脆弱になるのだからこそ、ムンテラって気をつけてほしいよなと思う。ぶった切られた患者さんとかときどき見かけるし。
2014-06-28 14:24:14@KoujiMatsumoto 新興宗教から「救出された」人だって、ああかわいそうだったね、洗脳されたね、と同情されると、戻っちゃいますもんね。。すごい経験をしたね、その体験をぜひ学ばせてください、と水を向けていかないといけないとかなんだとか。
2014-06-28 14:25:45@medtoolz そりゃすごいですね。異分野の知識、体験の一般化は、本当にぐっさりきます。ありがとうございました。
2014-06-28 14:28:00詐欺が上手な人というのは、「逃した魚は恐ろしく大きかった」とか、「届かなかったぶどうはきっとものすごく甘かったに違いない」という物語を作って見せるのが上手なんだろうと思う
2014-06-28 14:32:14