大東亜決戦機、疾風

猫・工・艦（艦艇グッズ工房） @necokoucan

昔のことですが、太刀洗に陸軍の当時、東洋一と言われた飛行場がありました。昭和20年3月にB29 80機以上の爆撃で壊滅する、少し前のこと。当時勤労奉仕で太刀洗で働いていた方から聞きました。大東亜決戦機と言われた四式戦 疾風がやって来たそうです。

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そんな当時の疾風の話なんて、初めてでしたから、皆、乗り出して聴いてました。だって。あの疾風ですよ！ で飛行場に降り立った疾風にその当時少年だった彼は、急いて、かけ寄ったそうです。大東亜決戦機の疾風がきた！もうグラマンに負けない！と。

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どうも整備の手伝いしてたらしく、近寄るとコクピットをみるか！と言われたそうです。もう、聴いている我々は「早く、早くつぎいって！」って感じで聴いてました。

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その少年は、やった！と思い急いで、コクピットに登り中を覗いたそうです。聴いていた皆は、おお〜それは！感動だったろうって皆思ったはずです。猫もそう思ったのです。

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でも、その方から聞いた話は、愕然とする内容でした。 そのコクピットを覗いた少年は、コクピットの計器版を、見て「嘘だ！そんなバカな！」と思ったと思います。

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その方はこう言いました。「その計器板に計器がほとんど着いてなかった」それをきいた我々はすぐその意味に気づきました。

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当時、計器類が生産が間に合わない、または在庫なく、速度計と、高度計計位しかない特攻機で出撃したと言う話を聴いてましたので、同じ理由で計器がなかったのだろうと。とはいえ現場には破損した機体から取り出した計器もあったはずです。それで凌いだ可能性はあります。

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大東亜決戦機と期待した疾風の状況を見てしまった少年の落胆はいかほどだったのでしょう。話はそこで終わってしまいました。皆、黙り込んでしまったからです。暑くなると思い出す昔話です。

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暑くなると、大空や、海を見ながら思います。どれほどの困難な中で戦ったのだろうかと。福岡の護国神社で夏、みたままつりが開催されるでしょう。そこにガ島会の灯篭をみます。どんなに絶望的で、微塵も可能性の無い戦いを、ただ、ただ戦った幾多の方々を想うのです。