モーリー・ロバートソンさんによる音楽家とその選択のお話

音楽方面の表現者に感じている個人的な疑問に対して、とても参考になるお話だったのでまとめました。
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モーリー・ロバートソン @gjmorley

「スクラッチ・オーケストラ」時代のパフォーマンス楽曲  "The Great Learning (Paragraph 7) by Cornelius Cardew, featuring Bird On A Wire" on Vimeo vimeo.com/58869858

2014-07-07 22:39:42
モーリー・ロバートソン @gjmorley

日本でもカーデューの楽曲が変えます。ディスク・ユニオンのカタログでは「UK即興音楽の父」の称号で呼ばれています: diskunion.net/jazz/ct/list/0…

2014-07-07 22:50:16
モーリー・ロバートソン @gjmorley

「シュトックハウゼンは帝国主義を支持する」というカーデューの文章を朗読で聴けます。 modisti.com/13/2013/03/21/… シュトックハウゼンや前衛音楽、そして帝国主義への攻撃が当時の極左組織のテンプレートにはまりきっているのも興味深いです。

2014-07-07 23:02:37
モーリー・ロバートソン @gjmorley

「シュトックハウゼンは帝国主義の下僕」(意訳)のテキストはこちらのPDF文書で47ページから読めます。これ以上がっちり左翼になることは、ほぼ不可能と思われます。何が彼をここまでプッシュしたのか? guaciara.files.wordpress.com/2010/05/cardew…

2014-07-07 23:04:32
モーリー・ロバートソン @gjmorley

「シュトックハウゼンは帝国主義の下僕」を目で追いながら朗読を聴いています。現在の日本で発信されているさまざまな陰謀論の原型、鋳型がこのマニフェストに凝縮されているように思えてなりません。英語がわかる方は是非ご一読を。

2014-07-07 23:15:20
モーリー・ロバートソン @gjmorley

カーデューのマニフェストに引用されたレーニンの格言「英国の労働者階級は力づくで抑えることはできないが、欺くことで支配できる」ポピュラー音楽や映画音楽も資本家が労働者の意識を支配するための手段だ、として糾弾されています。論理を追っていくと、終始一貫性が感じられ、簡単に否定出来ない。

2014-07-07 23:19:12
モーリー・ロバートソン @gjmorley

1970年を境に、ベトナム戦争や英国政府による北アイルランドの抑圧政策、階級格差に幻滅した数多くの音楽家・芸術家たちがよりエクストリームな極左思想へと舵取りをする現象がありました。他人の苦しみを見て、いてもたってもいられないという優しさがその基底にあったのではないかと思います。

2014-07-07 23:22:41
モーリー・ロバートソン @gjmorley

同時にソビエト陣営からの功名なプロパガンダもあり、純粋すぎるアーティストたちは入ってくる「真実」を個人的なレベルで仕分ける上で大いなるハンデを負っていました。カーデューが後に攻撃することになる作曲家ジョン・ケージも毛沢東の文化大革命を礼賛していた時期があったらしい。

2014-07-07 23:24:24
モーリー・ロバートソン @gjmorley

スターリンが行った大粛清や文化大革命の内実、北朝鮮の抑圧体制やカンボジアのポル・ポト政権が行っていた史上最大級の自国民の虐殺に関する一次情報を仮につかんでいたなら、大いに違う結果になったと思います。ただ当時の若者達の熱すぎる理想と興奮の中で立ち止まることはできなかったのかも

2014-07-07 23:26:33
モーリー・ロバートソン @gjmorley

音楽より大きなイシューへの責任感、前衛音楽が内向きになって世間離れしていたことへの幻滅、次に何をやるかがよく見えなくなった時の焦り。さまざまな要因がコーネリアス・カーデューの転向を後押ししたのだと思います。

2014-07-07 23:30:01
モーリー・ロバートソン @gjmorley

ただ、自分のそれまでの創作活動や名声を支えた環境をすべて否定し、当初は慕っていたシュトックハウゼンやジョン・ケージを政治的な正義の名のもとに個人攻撃するカーデューは一線を踏み越えていきます。自身のマニフェストが反発や非難を生むと、それに再反論する元祖・炎上マーケティングを展開。

2014-07-07 23:32:27
モーリー・ロバートソン @gjmorley

カーデューによれば「リベラリズムは支配構造の毒を感じさせないためのツール」でしかない。この姿勢に妥協の余地はなく、労働者による階級闘争と革命しかゴールはありません。体制にぶつかっていくために労働者を動員し、鼓舞することが音楽家の「使命」になっていく。そうじゃない音楽は権力側。

2014-07-07 23:36:04
モーリー・ロバートソン @gjmorley

濁りのない目で正論を述べ、行動を呼びかける音楽家たち。2014年の日本でアーティストが反原発、反安倍政権、反米、反その他に「気持よく」コミットする時、1970年代後半のカーデューとどこか相通じる心理的なプロセスを辿っているのではないだろうか?そんなことを考えた次第です。

2014-07-07 23:41:13

モーリー・ロバートソン @gjmorley

おまけ> フレデリック・ジェフスキーの「不屈の民」変奏曲 Rzewski- The People United Will Never be Defeated: youtu.be/k40HVQJZYLM Wikiエントリーはこちら:bit.ly/TYEexM

2014-07-08 00:28:29
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モーリー・ロバートソン @gjmorley

同じ曲の日本公演がテレビで流れたもの。日本語字幕あり。VHSから起こした映像かも> Hamelin - Rzewski:The people united will never be defeated!: youtu.be/_OBeb694QII

2014-07-08 00:33:48
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